『その街の今は』柴崎友香(新潮文庫)
May
1
31歳の<百田>は年下の彼と暮らしていますが、<歌ちゃん>や<智佐>ちゃんのために合コンを企画、つまらない男たちに当たり文句をいいながら立ち寄ったお店で、<歌ちゃん>はマチ金の取り立てのアルバイトをしている25歳の<良太郎>と知り合います。
<歌ちゃん>んの趣味は、大阪の古い街並みや建物の絵葉書や写真を眺めることで、「自分が歩いているここを、昔も誰かが歩いていた」ことを確認すべく、文中に大阪の地名や建物が随時出てきます。
自分の住んでいる街を愛し、28歳という微妙な年齢の心情が見事に描かれていて、さわやかな読後感を与えてくれる一冊でした。