酒屋さんの木製看板を、店先で一杯呑みながら捜し求めて散歩しておりますが、なかなか拝見する機会に恵まれません。
そんな折、兵庫区荒田町の永井商店さんに寄せていただきました。
りっぱな木製看板が正面に2枚、堂々と掲げられています。
ガラス戸越しに、店内を覗きましても人影がありません。仕方なく、「こんにちわ」と声を掛け、中に入りました。
80半ばのおばあちゃんが出てこられました。「すいません、一杯やりたいんですが」
「いいですよ」
店内にも横長の「菊正宗」の金文字看板。写真を撮らせて頂き、お酒談議にておばあちゃんとの話に花が咲きました。
現在のお店は、終戦の昭和20年からで、その前は同じ町内のみなと幼稚園辺りで、営業されていたのですが、空襲で焼失されて、こちらに移られてきたとか。
「日本酒も人気がないみたいですし、立ち呑み客も減って経営も大変でしょうね」
「わたしが死んだら、この店も終わりですねん」
どの酒屋さんも後継者がいません。大型スーパーで購入するか、コンビニで買われる人が大半を占め、売上は年々激減しているとのことです。
「酒屋と米屋はつぶれんと言われておったのに、あきませんわ」
店内の菊正宗の金文字看板は、昭和45年頃大阪の業者さんがお店を下見に来られ、取り付けてくれたとか。当時は、かなりの賑わいをみせていた様子が、おばあちゃの言葉から察せられます。
わたしはそれこそ立ち呑みですから、立って呑んでおりますが、おばあちゃんもお話の最中ずっと立たれたままで応対してくれておりますので、気になり「椅子に座ってくださいね」とお願いたしましても、毅然とお話が続きます。
棚の小口に使われている桜の丸太も黒光りしていて、拭き掃除の年月を感じさせてくれます。
もっとお話を伺いたかったのですが、お疲れが出てはと、失礼することにしました。
「お勘定お願いします」
「いらん」
「エエッ、そんなん困ります」
「楽しかったわ、お酒の話や看板の思い入れがよう分かったから、ええねん」
「イヤァー、こまります」
「年寄りの言う事はきくもんや。わたしの性分やさかいな」
「ンンー、恐縮です・・・」
頭を深々と下げて「ごちそうさまでした」の一言で、お店を出ました。「ええんかいなぁー」
いつまでもお元気で、看板を守ってほしという思いと感謝で一杯の、帰り道でした。
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Posted at 2008-05-21 04:16
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