《 備忘録(12月に観たい〝野生樹花3〟)!?! 》
日当たりの良い谷間の岩地に生える、落葉低木。高さは2-3mになる。
葉は互生し、長い葉柄の先に、円心形の葉身をつけ、秋に紅葉する。
葉が落ちる前後に、葉腋に独特の匂いの花を2花、背中合わせに付ける。
花は紅色で、5枚の花弁が星状に付く姿は、瀟洒だ。
果実は翌年の花時に熟し、4裂し種子を弾き飛ばす。
研究者ノート;筑波実験植物園(奥山雄大)
多くの植物や昆虫にとって、冬は休眠の時期。
でもわざわざそんな冬にあわせて花を咲かせる「変わり者」の植物がいます。
岩礫地(山地性)や低木林(低地性)にひっそりたたずむマルバノキは、
この時期、赤黒い星型の花を背中合わせに2つずつ咲かせます。
遠目からは花が咲いていることにすら気づかない程小さく地味な花ですが、
鼻を近づけてみると強い刺激臭があり、これでハエの仲間を誘っているようです。
在来種(日本固有種)。本州(中部、近畿、広島県)で野生樹が観られる。
和名のとおり葉が丸く、別名のように紅花である。樹皮は灰褐色、皮目がある。
葉は互生、長さ5~11㎝の卵円形~卵心形。花は直径約1.5㎝、2個が背中合わせにつく。
蒴果は長さ約1.5㎝の頭が窪んだ倒円心形、翌年の秋に熟すと2裂する。
種子は長さ7~8㎜、光沢のある黒色。花、果実、紅葉が秋に一緒に見られる。
紅葉の美しさと花のかわいらしさが好まれ、庭木としてよく栽培されている。
自生のものが見られるところは少ない。
中国に自生する subsp. longipesは花柄が長く9~22.5㎜あり、果時には22.5㎜以上になる。
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宮島が見える瀬戸内の海岸にブナやミズナラなどの落葉樹が植栽されている場所がある。
植栽されたツワブキの花も満開。良い雰囲気であるが、植生学的には奇妙である。
夕方であったので丸い葉で紅葉が美しい低木が植栽されていると思いつつ、
気にしていなかった。
薄暗かったので花が咲いているのを認識するのにやや時間がかかった。
近寄ってみると、おやおやマルバノキだと気がついた。
マルバノキは本州中部以西、四国に分布する。
岡山県における自然分布は1箇所しか知られていない。
花は10月から11月にかけて短枝の先端に背中合わせに2つ咲く。
花弁は暗紅紫色で長さ6mmほど。美しい紅葉と同時の開花であるが、
この状態で開花する植物は、他にあるのであろうか?
他に競争相手のない時期に花を咲かせ、
春になってから果実・種子を生長させるのであろう。
受精できれば、それでも良いわけだ。
マルバノキは、紅葉・開花時期に花材として切り取られたり、
盗掘されるなどの被害が報告されており、
保護の観点もあわせて岡山県では絶滅危惧種に指定している。
種子発芽も良好なようで、庭木として栽培・販売されている。
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最近は、ネットで色々な感慨が記載され誰でも見れる。
上記引用文の如く・・・ありがたい。
古くは、千利休も関心を寄せたと伝わる”マルバノキ”。
晩秋の高野山麓、紅葉の終わりに黄葉と赤い花を同時に見た事がある。
自生・野生の樹花だったと思う。絶滅危惧種とされてると少々寂しい。
”マルバノキ”の花言葉は、「早熟」「幸福の再来」「ひらめき」。
秋の紅葉は錦色。紅から黄色の変化が美しい。
白色を好んだ利休。が、マルバノキは紅。何れ程に心に染みたかが分かる。
茶人の千利休が茶会のときに好んで活けたといわれる花々。
オオヤマレンゲ(大山蓮華)、おおかめの木(別名ムシカリ)、
ハクウンボク(白雲木)、ナツツバキ(夏椿)、シロワビスケ(白侘助)
ヤマボウシ(山法師)、ベニマンサク(丸葉の木)。
オオヤマレンゲを好んで使い生けていた利休。白色を好んでいた事がわかる。
備忘録・記録するに足る事^^)。
「令和伍年(皇紀2683年)12月14日、記」