『白い鴉』は、新堂冬樹の一番新しい著作です。
自ら高校を中退した十代の頃より、闇金融の世界で働いていたことを公言されておられますが、その経歴を生かした「カネ」や「女」などの欲望渦巻く裏社会を描いてきています。
今回の作品も孤児院で育てられた「白い鴉」と呼ばせる主人公が、夜の六本木を舞台に、詐欺を働く様子が連綿と続きます。
冒頭に詐欺罪の被告人としての描写がありますので、読者は主人公が逮捕されるていることを知り得ながら、その手口のうまさに感心させながら、「白い鴉」の背景を読み進むことになります。
最後には、悪徳大物政治家が騙されるのですが、ノンフイクション的で、笑えました。
育った孤児院の地上げに絡む悪徳大物政治家を詐欺に遭わせ、恨みを晴らして物語は終わります。
巻き上げたお金は心の母と慕い続けている孤児院の園長に届けられますが、銀行の貸しはがしに遭遇している園長がそのお金で孤児院を守るのかどうかは、読者が想像しなければいけません。 これまたうまい結末の付け方だと、感心しました。
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Posted at 2012-03-13 15:32
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Posted at 2012-03-14 00:45
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