以前に、元NHK社会部記者でありながら、29歳で山口大学の医学部に入学して医者になった野田一成さんの 『医者の言い分』 を紹介したことがあります。
今回の本も、パチプロ、数社の会社勤務を経て、父親を「ホテルニュージャパン」の火災で亡くし、一年間の引きこもりの末に30歳で医学部を目指し、37歳で京都大学医学部を卒業された著者の研修医時代の体験談が軸です。
一般的な社会人として当たり前のことが、なぜ大学病院では通じないのか、著者の実体験を通して医療現場と研修医の実態を余すところなく書かれています。
カンファレンスや教授回診の準備に関してはやたらうるさい指導医たちの口から、「患者さんと多くの時間を過ごそう」といった指示もなくなく、多くの医師が患者の立場に立って考え、患者の身になって行動しようと心がけていないといぶかります。
大学病院としては、「診療」「教育」「研究」といった三つの使命がありますが、重きを置かれるのは「研究」で「診療」はどこの病院でもできるという考え方がある故、患者に対して人間的な触れ合いは重要視されていないのが現状でしょうか。
著者自ら不器用と言わしめていますが、医者と患者という対比での関係ではなく、医者として患者に対する暖かみのある目線を感じながら読み終えました。
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Posted at 2012-04-23 11:08
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Posted at 2012-04-24 01:16
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