今年の読書(60)『探偵・竹花 再会の街』藤田宣永(角川春樹事務所)
May
12
61歳の探偵・竹花、著者と同じ年齢設定で各所に育った時代背景の言葉が出てきますので、著者の分身として楽しみながら執筆されたのがうかがえます。
登場する竹花は、<酒と煙草と女と孤独を愛する>という、ステレオタイプ化された探偵のイメージですが、61歳という年齢がそれを感じさせません。
元大物総会屋から「別れた愛人とその娘」の居所を探してほしいという依頼で、突き止めたマンションの前で、その娘と子供が拉致される場面に遭遇して物語が始まります。
後半は思わぬどんでん返しもあり、構成的によくまとまり楽しめた一冊でした。
探偵ものとして最高峰であるレイモンド・チャンドラーの『ザ・ロング・グッドバイ(長いお別れ)』が文中に出てきます。チャンドラーといえば清水俊二の訳本ですが、<角川春樹(訳)の文庫本が買ったままになっていたのだ>には、出版社を意識しているのか、思わず笑ってしまいました。
Posted at 2012-05-12 11:35
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