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- 今年の読書(119)『桃色東京塔』柴田よしき(文春文庫)
警視庁捜査一課の<黒田岳彦>は、ノンキャリアの刑事として職務に励んできていましたが、捜査の過程でミスを犯し、懲罰的な捜査担当に追いやられてしまいます。
殺人犯の逃走先として遠方の I 県警上野山署まで出向きますが、そこで現地担当者として捜査課係長<小倉日菜子>と出会います。
<日菜子>は、検問事故で年下の警察官の夫を亡くした過去を背負いながら、生まれ故郷で夫の遺志を継ぐべき一人前の刑事を目指しています。
本書は8編の物語からなり、それぞれが独立した刑事事件の物語として書かれていますが、東京勤務の<黒田>と、上野山の<日菜子>と関連する事件が交互に描かれ、捜査を通して二人がお互いを意識し始める「恋愛小説」の様相も伏線として織りこまれています。
地方に暮らす人間の「東京」を見る目線や、悲しい女性の性、ホームレス、一人暮らしの孤独な老人達等、現代社会の歪を取り上げられており、考えさせられる一冊でした。
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