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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(10)『夏の雷音』堂場瞬一(小学館文庫)

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今年の読書(10)『夏の雷音』...
著者<堂場進一>の作品としては、警視庁の刑事<鳴沢了>や<高城賢吾>・<一之瀬拓真>などを主人公に据えた警察シリーズや、新聞社勤務を生かした『虚報』 ・ 『異境』 ・ 『警察周りの夏』 などがお気に入りですが、今回の『夏の雷音』の構成は、今までの作品と一線を引く意外な内容でした。

古書の町として有名な神田神保町は、アウトドアや楽器の町としての側面を持ち、主人公は明王大学法学部准教授<吾妻幹>は、後輩のギター楽器店店長の<安田>から、アメリカのオークションでヴィンテージギター「ギブソン『58』」を1億2千万円で競り落としたのだが、盗まれたという相談を持ちかけられますが、その<安田>が殺されてしまい、先輩刑事<敦賀>に疎まれながらも事件の真相に乗り出します。

生まれ育った神田神保町の細かい街並み描写や、実在店舗と思われるカレー店・喫茶店・鰻屋などや、火事にあった神田「やぶそば」までも登場してきます。そういえば1959(昭和34)年創業の天丼「いもや」さん、この3月で閉店とか。

読み進むにつれ、殺人事件の背景となるヴィンテージギター業界やオークションの裏側、ギターにまつわる世界が浮き彫りにされていきます。
#文庫本 #読書

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今年の読書(6)『クランⅥ』沢村鐡(中公文庫)

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今年の読書(6)『クランⅥ』沢...
第1作の 『クランII 警視庁渋谷南署・岩沢誠次郎の激昂』 でさらなる怒涛の展開を見せます。

警視庁内である警察官が拳銃自殺を図った。現場には公安部の面々が現れ、警察官の死を汚職と事件関係者との不適切な関係に悩んだ末の自殺と断定するが、<晴山>は釈然としない思いを抱きます。一方、渋谷では交番巡査が何者かに銃撃される事件が発生する。渋谷南署生活安全課の<岩沢>巡査部長は銃撃犯を追ううちに、渋谷の中に潜む得体の知れない「何か」の影に気付きはじめます。

クランⅢ 警視庁公安部・区界浩の陰謀』 以降、あれよあれよという間に物語は展開し、読者はいつの間にかスタート地点とは全く異なる展開に引き込まれます。前作では謎に包まれていた<晴山>たちが対峙する「闇」は、実は桁違いのスケールを持った<神>と呼ばれる「裏組織」であることが判明していきます。

<神>とはだれなのか?物語の展開だけでなく、数多く登場する刑事たちの個性も「クラン」シリーズの読みどころ。特に本作では<晴山>と対をなすもうひとりの主人公、<岩沢>巡査部長の活躍ぶりに目が離せません。現在の<岩沢>は生活安全課少年係として未成年たちと接し、若い後輩を見守る一見穏やかな警察官である。

しかし、かつては組対課(組織犯罪対策部)に所属し暴力団と密接な関係を築きながら、その人脈を活かした捜査で一目置かれていたような人物だったのだ。その<岩沢>の能力が遺憾なく発揮される場面がたのしめます。一人称が「俺」で綴られる<晴山>のパートと、「私」で統一される<岩沢>のパートが、最後まで2人のキャラクターが対比されて描かれているのも面白い構成でした。
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今年の読書(5)『沈黙の詩』鏑木蓮(PHP文芸文庫)

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今年の読書(5)『沈黙の詩』鏑...
『思い出探偵』(2009年) ・ 『ねじれた過去(思い出をなくした男・改題)』(2011年)に続く<思い出探偵>シリーズの第3作目になる『沈黙の詩(うた)』です。
失踪者や浮気現場の尾行という探偵業務ではなく、わずかな手がかりから依頼人の思い出の人や物を見つけ出すのを仕事としています。

所長の<実相浩二郎>は元京都府警の捜査一課の刑事で、妻<三千代>とは7年前に息子を亡くした過去を背負っています。署員たちもそれぞれにトラウマを抱えた人物たちでまとめられています。

今回の依頼は、28年間、戸籍がないために結婚もできずに内縁の妻として暮らしてきましたが、相手の過去を全く知らないうちに認知症状が出てきた85歳の<絹枝>の過去を探ることです。

<絹枝>の書き残していた「詩」の中の言葉を手掛かりに、岡山、倉敷、今治、名古屋、大阪、と所員たちは彼女の過去を追っていきます。

暗い昭和の歴史を背景とする<絹枝>の人生が浮き彫りにされ、せつなく・ほろ苦い探偵ミステリーでした。
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今年の読書(4)『故郷はなきや』佐伯泰英(新潮社文庫)

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今年の読書(4)『故郷はなきや...
<新・古着屋総兵衛>シリーズも、前作の 『にらみ』 に次ぎ15巻目となりました。

大黒屋大番頭の<鳶沢信一郎>を船団長とする大黒丸とイマサカ号は、<総兵衛>の生まれ故郷である越南(ベトナム)に無事に到着します。

新しい越南の初代皇帝との交易の締結も重要な任務でしたが、戦乱で行方不明になった<総兵衛>の母<今坂恭子>の安否を知るのも航海の重要なもくてきでしたが、無事に避難して暮らしていた<今坂恭子>の安否が確かめられ、皇帝との交易締結も無事に済ませることができました。

江戸で待つ<総兵衛>の身の周りでは、古着市の利権がらみで、浪人<筑後平十郎>なるものが、刺客として雇われたという情報を<陰吉>が伝え、小僧の<忠吉>は機転を聞かせ、<平十郎>を味方に取り込み、事なきを得ます。
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今年の読書(3)『銀翼のイカロス』池井戸潤(文春文庫)

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今年の読書(3)『銀翼のイカロ...
<池井戸潤>といえば、テレビドラマにもなった銀行員<半沢直樹>シリーズが浮かびますが、『ロスジェネの逆襲』 に次ぐシリーズ第4弾が『銀翼のイカロス』です。今回、半沢に与えられたミッションは「帝国航空」なる巨大航空会社の再建です。政府主導の再建機関がつきつけてきたのは、500億円もの債権放棄だった。とても飲める条件ではない、この難局に半沢が果敢に立ち向かいます。
 
「帝国航空」のモデルは日本航空であることは言うまでもない。現実には銀行団が4000億円もの債権を放棄し、さらに公的資金が注入され、日本航空は再建されました。こうした再建劇を下敷きとしながら、著者<池井戸潤>さんの筆は縦横に走り、悪役も含めて魅力的な人間関係が描かれていきます。
 
<半沢>が勤める東京中央銀行は、旧東京第一銀行と旧産業中央銀行が合併して誕生したメガバンクです。本シリーズではお約束の銀行内部での不正と隠蔽工作、それにかかわる行内の暗闘もたっぷり描かれています。政治と金の絡みや銀行内のいざこざはすごくリアルです。

本作は<半沢>一人が活躍するというよりもチームプレイの勝利という印象が残ります。政財界がからんだ航空会社再建というスキームの巨大さ、複雑さに応じて、「半沢直樹」シリーズも変化せざるを得ないようです。
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今年の読書(2)『勝手にふるえてろ』綿矢りさ(文藝春秋文庫)

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今年の読書(2)『勝手にふるえ...
本書『勝手にふるえてろ』の初出は『文學界』2010年8月号、単行本は2010年8月に刊行されています。昨年、<松岡茉優>の主演で 映画化『勝手にふるえてろ』(監督・脚本<大九明子>)され、秋の第30回東京国際映画祭でコンペティション部門観客賞を受賞しています。「ラブコメ史上最もキラキラしていない主人公の暴走する恋の行方を、最後まで応援したくなる痛快エンターテインメント」と評価され、12月23日から一般公開されました。映画のポスターで原作が<綿矢りさ>ということで、『憤死』 以来になりますが読んでみました。

主人公<江藤良香(ヨシカ)>はマルエイ経理課に勤める26歳のOL、中学の同級生・イチ<一宮>を思い続け、妄想は膨らむばかり。中学二年生のヨシカは、教室でイチを見つけた途端好きになった。イチはクラス中でかまわれていたが、ヨシカはある時、イチが一人で憂鬱そうにため息をつくのを見た。だからヨシカは、自分は他の子と違うと思ってもらうために、イチに話しかけないことにした。昼休みに自分の席に座ったまま、イチを視野見(しやみ:見ていることに気づかれないためあみ出した技)で見るだけ。

一方、現実世界では、ヨシカと同じ会社の営業課のニ<霧島>が、ヨシカに告白する。ヨシカは、人生初の告白にやや歓喜しながらも、妄想の中で痛烈に愛するイチと、現実世界で何の魅力も感じない二を比べて、心の中でニに冷ややかな突っ込みを入れっ放しである。

妄想のイチ彼と現実のニ彼の間で揺れ動くヨシカは、ある時思い切って、イチとの再会の場を設ける。ヨシカだけがイチに視線を送らなかったことにイチは気づいていたのか、ヨシカは育て上げてきた愛をイチへ伝えるのか、二人に接点は生まれるのか。
おたく期が長かったヨシカは、妄想と現実を行ったり来たりしていたが、イチとニの存在が自分の中で少しずつ形を変えていくにつれて、現実にある大切なものに気づいていく。

タイトルの『勝手にふるえてろ』は、誰から誰に言い放たれた言葉なのか?そんな疑問を持ちながら読み進めるうちに、ヨシカの心の中で繰り広げられる、妄想や毒舌が面白味を増していきます。
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今年の読書(1)『時限捜査』堂場瞬一(集英社文庫)

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今年の読書(1)『時限捜査』堂...
今年最初の読書記録です。2016年には「134」冊読んでいますが、自由に本屋に出入りできない状況の昨年は「62」冊に終わりました。それでも何とか週一冊のペースは守れたようです。逆に新聞広告を見ての購入ですので、新刊本の割合が増えました。

本書では、『検証捜査』・・・神奈川県警の不祥事を検証するために、脛に傷ある刑事たちが集められ特殊任務に就きましたが、警視庁捜査一課の<神谷>や大阪府警の<島村>たちが再登場しています。

太陽の塔やUSJなど大阪市内で爆破事件が連続して起こるなか、JR大阪駅で人質を盾にする立てこもり事件が発生します。明日から警察学校長として赴任する梅田署長に昇進している<島村>ですが、夜中12時をもって署長を引き継がなければいけない日に立て続けに事件が発生、<島村>は引継ぎまでに事件の解決を目指します。

そんなおり、東京の公園で殺人事件が発生、<神谷>は捜査を進めていく過程で、大坂で発生している事件とのつながりを発見、殺人事件と爆破事件の真相に近づいていきます。

JRの電車を止めるのも限界のなか、指揮権を委譲せねばならない12時に近づいていきます。刻々と時間の経過とともに状況が変わる緊迫感の中、<島村>は大きな決断を実行していきます。
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今年の読書(64)『ブルース』桜木紫乃(文春文庫)

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今年の読書(64)『ブルース』...
好きな作家の北海道在住の<桜木紫乃>ですが、デビュー10周年の著者による、釧路を舞台とし、一人の男をめぐる、八人の女たちの生きざまが絡むノワール小説『ブルース』(2014年12月刊)が、2017年11月9日に文庫本として発売されています。
 
霧たちこめる釧路で生まれ、貧しく苛烈な少年時代を経て、男は、6本ある自らの過剰な指を切り落として、夜の支配者へとのし上がります。男の名は、「影山博人」です。
 
最初の物語は、没落した社長夫人が、かつて焦がれた6本指の少年の訃報を新聞に見つけるところから始まります。
 
同衾した女をみな翻弄し、不意に姿を消してしまう正体不明の男であり、故郷に戻った後、暴力で容赦なく人を支配する政治の世界の黒い権力者として君臨します。はたして、「影山博人」は、外道を生きる孤独な男なのか? それとも、女たちの「夢」の男なのか、小気味よい描写で物語は進みます。
 
不思議な魅力あふれる「影山博人」の、15歳、19歳、27歳、32歳、そして、40手前から52歳までの8つの時期を、その時々に出会った女による語りで構成されています。
 
「影山博人」と関係するそれぞれの女たちは皆何かしら困窮しています。死別で、離婚で、借金でと誰かや何かにすり減らされてひりひりと痛むような乾いた心を持っているのです。そこにある程度の「まっとう」を手に入れ、今もなお貪欲に模索している「影山博人」が現れます。そんな男に、女たちがひかれない訳がありません。もしかすると、影山の指が6本なのは、より多くの困窮にあえぐ者にチャンスを与えるために余分に備わったのではないかとすら思えてきます。
 
釧路という町の舞台が、この作品に深みのある情景を与えており、連続短篇として、心に残る物語でした。
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今年の読書(62)『一網打尽』濱嘉之(文春文庫)

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今年の読書(62)『一網打尽』...
シリーズ9作目となる前作で 『国家簒奪』 にて主人公<青山>の結婚を匂わしていましたが京都・祇園祭の夜に銃撃戦が起こり、偶然に居合わせたのは、本書<警視庁公安部・青山望>シリーズの主人公<青山望>と入籍を済ませた<文子>でした。
事件を目撃した<青山望>は、京都府警の聴取に協力します。

中国マフィアが韓国の集団スリを銃撃した事件の背後には、コリアンマフィアと中国マフィアの抗争があり、北朝鮮のサイバーテロ、そして仮想通貨強奪計画が背景にありました。

さらに絡まる半グレと芸能ヤクザとの裏事情を、情報と人脈のスペシャリストの<青山>が「同期カルテット」を結集して追い求めます。

事件の全容を解明して、「一網打尽」にできるのかの展開が、元警視庁公安部に勤務した著者のリアル過ぎる描写「サイバーテロそして仮想通過、詐欺師、地面師、振り込め詐欺」という要素を絡めながら、それらに関連した芸能プロダクションや半グレの現状。ヤクザとチンピラの間の高度化。コリアンマフィアに北朝鮮が加わり、ロシア・アメリカの国際情勢の分析が挿入され、冴え渡る軽妙なタッチが楽しめた一冊でした。
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今年の読書(61)『ユリゴコロ』沼田まほかる(双葉文庫)

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今年の読書(61)『ユリゴコロ...
恋人<千絵>の失踪、父の末期がん、母の突然の事故死と、亮介に次々と不幸が襲いかかる。<亮介>は、自分のまわりに陰湿な罠が張りめぐらされているように思えてならなかった。

ある日父の書斎で偶然見つけた、「ユリゴコロ」と題された4冊のノート。それは殺人に憑りつかれた人物の、読む者を震撼させる告白文だった。<亮介>は20年以上前、自分が長期入院し、ようやく家に帰った時、母が別人に入れ替わったように感じたことを思い出した。告白文は創作なのか、または父か、亡くなった母か、定かではないが入れ替わる前の母が、自らの過去を綴ったものなのか。亮介は家族に疑念を抱きながら、一家の真相を追う。

序盤の告白文に、背筋が凍る。覚悟して読み始める必要がある。一家の真相徐々に明らかになる過程で、絶望の淵から救いの光が見えてくる。そして最後、驚くべき真実を目の当たりにする。告白文は、殺人による恐怖の連鎖が淡々と綴られているが、ある時アナタと出会い、戸惑いながらも徐々に人間の持つ感情を知っていく、罪人の心の変化が描かれている。

著者の沼田まほかるは、主婦、僧侶、会社経営の倒産などを経て、56歳だった2004年に『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞。10年『痺れる』が「本の雑誌」上半期ベスト第2位、『猫鳴り』が「おすすめ文庫王国2010-2011」(「本の雑誌」増刊)エンターテインメント部門第1位に選ばれる。12年本書『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、本屋大賞にノミネートされています。
#ブログ #文庫本 #読書

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