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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(20)『あの日から君と、クジラの骨を探している』古矢永塔子(宝島社)

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今年の読書(20)『あの日から...
本州最北端の田舎町で、無気力に生きていた金髪の高校生<蒼>は17歳の春、気まぐれに立ち寄った心霊スポットの廃病院で、凜という地縛霊の少女と出会う。凜は、30年前に病死した永遠の16歳。儚げな容姿と芯の強さを併せ持つ。

将来の夢もなく、生きることが面倒だと言う<蒼>に、「バカッ!!」と本気で怒る<凜>。その瞬間、<蒼>の中で何かがスパークし、あっという間に心を奪われ、<凜>に告白する。<蒼>は<凜>の中に、本気になれる何かを見つけようとする。一方の<凜>は、生きることに投げやりな蒼の態度に不快感を抱く。しかし、ストレートに「好き」をぶつけてくる<蒼>に対して、<凜>の心はしだいに惹かれていく。

<凜>が住む廃病院には、水死したフランス人の<ボビー>、自殺した元女優の<明日香>、スーツ姿で元高校教師の<高田>さん、事故死した元大学生の<吉澤>君という、個性的な幽霊仲間がいる。彼らの間では、生きている人間さながらのやりとりが繰り広げられる。

<蒼>の右手首には、<蒼>が霊感体質になる原因となった、祖母の形見の黒数珠がはめられている。何度外そうとしても、外せない。<蒼>と<凜>をめぐり会わせたその数珠には、2人の絆に関わる秘密がありました。

無気力に生きる少年と、真面目に、でも死んでいる幽霊少女が、互いに心を揺さぶられ、鼓動を感じ合う恋をする。大切な人とともに生きていること、触れられることは、生きていると、つい当たり前に思ってしまう。その前提がない2人の恋のゆくえは。
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今年の読書(19)『武道館』朝井リョウ(文春文庫)

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今年の読書(19)『武道館』朝...
小さいころから唄うことと踊ることが好きだった<愛子>は、高校生になり、6人組アイドルグループ「NWXT YOU」のメンバーとして活動しています。

本書はその<愛子>の視線で、武道館でのライブ開催をめざすアイドルとは何かの問題定義を投げかけた構成でした。

他の夢を追い求めグループから「卒業」してゆくメンバー。CDの売り上げを伸ばすため特典商法での握手会の戦略、恋愛禁止といったアイドルを取り巻く環境が丁寧に描かれていて、芸能界の裏面を覗き見ることができます。

現実世界のアイドルグループを思い浮かべながら読み進みますと、アイドルの仕事の実態が身近に感じられるかもしれません。
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今年の読書(18)『最低。』佐倉まな(角川文庫)

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今年の読書(18)『最低。』佐...
本書『最低。』の著者<佐倉まな>さんは、木更津工業高等専門学校に在学中の18歳のときに]『紗倉まな AVDebut』でAV女優としてデビュー。その体験をもとに本書の1章「彩乃」編で、その事実が家族や学校にばれる「身バレ」の恐怖を切実に書いています。小説の中では釧路から東京の美容専門学校に通う女性が主人公となっています。

あとがきによりますと、在学中にAV出演していることが学校中に知れ渡って、教師にほくろの位置や歯並びまで指摘され、「これはあなたですよね、いったいなにをしているんですか?」と詰問されたという。著者はひたすら別人説で否定し続けたが、まわりから浴びせられる好奇な視線に痛みを感じたそうだ。

AVに出演した女優が週刊誌のグラビアに載ることはあっても、また<永沢光雄>の『AV女優』(文春文庫)や<中村淳彦>の『職業としてのAV女優』(幻冬新書)などの著作がありますが、女優自らの文章で体験を語ることはほとんどありません。

登場する業界人や男のいいかげんさに比べて、女性のたくましさには驚かされます。家族に黙って女優活動を続ける<彩乃>。愛する男とともに上京した札幌・ススキノの女<桃子>。夫のAVを見て出演を決意した専業主婦<美穂>。AV出演歴のある母親を憎む少女<あやこ>。4人の女優をめぐる連作短編小説の構成になっています。
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今年の読書(16)『まひるまの星』吉永南央(文春文庫)

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今年の読書(16)『まひるまの...
<紅雲町珈琲屋こよみ>シリーズとして、第1作の 『萩を揺らす雨』 に始まり、第4作の 『糸切り』 に次いで第5作目が本書です。

生まれ故郷の紅雲町にて、両親の家を改造して珈琲店「小蔵屋」を営んでいる76歳の<杉浦草>ですが、夏祭りに使う山車の保管場所を巡り、20年前の出来事が絡みひと騒動が起こります。

以前からの約束で、いずれ「小蔵屋」を年齢的にも閉鎖するときには山車の保管場所として「小蔵屋」のチュウシャスペースを使うことに同意していた<草>ですが、急に今の保管場所を移転せざる状況になり、<草>は代替えの敷地を考えますが、そこは、<草>の母<端>が、20年前になからがいした鰻屋の<小川清子>のむかえになります。

そこでは20年前に一人の男が失踪した事件があり、持ち前の好奇心で<草>は、亡き母の思いを抱きながら町内の昔の出来事を探り出すことになります。
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今年の読書(15)『闇の叫び』堂場瞬一(文春文庫)

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今年の読書(15)『闇の叫び』...
2010年7月に刊行された 『アナザフェイス』 を一巻目とする「アナザフェイス」シリーズも、前作の 『潜る女』 に次ぎ本書の『闇の叫び』でもって完結となります。

主人公<大友鉄>は、妻を交通事故で亡くし、一人息子<優斗>のために捜査一課から残業のない総務課に自ら転属、彼を一課に復帰させようとする上司の後ろ盾で、難事件の担当に引きずり込まれていきます。

<優斗>の小学生時代の同級生の母親から、娘が通う茗荷中学校の親が何者かに襲われる事件が発生しているとの連絡を受けた<大友>は、軽い気持ちで事実関係を調べますが、第2の犯行が起こり亡くなり殺人事件の捜査となります。<大友>は、事件の発生した文京中央署に派遣されます。

捜査の過程で10年前にも似た襲撃事件が発生しており、その時の容疑者が茗荷中学校の教師として転勤している事実を掴みます。生徒の面倒見の良い教師<安田>の身辺調査を進めるなか、彼の複雑な家庭環境が浮き彫りにされていきます。

<優斗>も高校受験を迎える年齢になり、独り立ちの気配の中。<大友>はかっての一課の同僚<柴克志>や<高畑敦美>と犯人を追いつめていきます。

「アナザーフェイス」シリーズは本書で完結ですが、捜査一課に復帰した<大友鉄>の活躍が、今後読めるかなと期待しています。
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今年の読書(14)『スカラムーシュ・ムーン』海堂尊(新潮文庫)

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今年の読書(14)『スカラムー...
解説文を含めて665ページの長編ですが、<海堂尊>ファンであり、既刊の 『ナニワ・モンスター』 を読んだことのある人だけに、本書をお勧めします。

冒頭は、金沢市を連想させる加賀市にある養鶏所「ナナミエッグ」を舞台として、一人娘の<名波まどか>を主人公として、現在の養鶏所の状況から、インフルエンザワクチンの問題点につなげ、『ナニワ・モンスたー』のワクチン騒動に絡めて話が進んでいきます。

奔走するのは、霞が関の陰謀を未然に防ぐべき異端の医師である「スカラムーシュ」(大ぼら吹き)こと<彦根新吾>です。

<彦根>は、ナニワ府知事<村雨弘毅>の提唱する日本からの独立を後押しすべく資金調達にヨーロッパ各地を駆けずり回ります。

対政府側は検察庁を窓口として、彼らの独立を阻止すべく対抗策を繰り出していきますが、さて結末は。読み切ったものだけの楽しみです。
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今年の読書(13)『物語の終わり』湊かなえ(朝日新聞出版)

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今年の読書(13)『物語の終わ...
山間の盆地にある小さな町のパン屋に生まれた<絵美>という文学好きの少女が、はじめの物語の主人公。年上の<ハム>さんという少年にプロポーズされる。彼は、北海道大学に進学し遠距離恋愛が始まる。やがて<ハム>さんは町に戻り、高校教師となり、正式に結婚を申し込む。しかし、作家になりたいという夢をもつ<絵美>は東京に行こうと駅に行く。すると、そこには<ハム>さんがいた。ここで物語は終わります。

そこからは別の章となり、それぞれ別の主人公が登場する。妊娠三カ月でがんが発覚し、子どもをあきらめて手術をするかどうか悩む<智子>。実家の工場を継ぐことを迫られ、プロのカメラマンになる夢をあきらめようとする<拓真>。志望した会社に内定が決まったが、才能に自信が持てずにいる<綾子>。夢に向かってアメリカ行きを切望する娘に反対する<大水>。夢を追う人と別れ、仕事一筋に證券会社で働いてきた<あかね>。迷いを抱えた人々が向かった先は北海道だった。彼らは「空の彼方」と題した小説のコピーをそれぞれ手渡され、読んで、その後の生き方の参考にする。「空の彼方」は、<絵美>と<ハム>さんの物語でした。

そういう構成の作品だから、予想通り、最後の章は冒頭の章の続きでした。あらすじを明かすわけにはいきませんが、結びに出てくる「北国の夏の夕方の空」のようなさわやかなラストでした。

文学好きの絵美の造形には、広島の因島で育ち、空想好きで推理小説を読みふけったという著者の少女時代が反映されている。<湊かなえ>さんの「自伝」的要素がにじんだ作品でした。
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今年の読書(12)『筋読み』田村和大(宝島社文庫)

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今年の読書(12)『筋読み』田...
元女性タレントの<宮原千寿>が白骨死体で発見され、<山下貴一>が自首してきます。殺害現場で発見されたDNA型が<山下>と一致、捜査本部は起訴間違いなしとみていましたが、捜査一課の<飯綱和也>警部補は、状況から疑問に感じ異を唱えますが、神田署に飛ばされてしまいます。

神田署に赴任草々、車から飛び出した少年が後続の車に跳ねられる事故が起こり、少年は飛び出した車に乗っていた人物たちに連れ去られてしまいます。
不審に感じた<飯綱>は、サクラ・ウェルネスという遺伝子組み換えを主とする企業にたどり着き、行方不明だった少年を発見、病院に入院させますが、拉致されてしまいます。

驚くべきことに、殺人事件の<山下>と少年のDNA型が一致するということがわかります。

操作の要であるDNA鑑定にクローン人間・デザイナーベイビー問題をからめ、ヨミヅナこと<飯綱>の「筋読み」が冴える一冊でした。
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今年の読書(11)『感染領域』くろきすがや(宝島社文庫)

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今年の読書(11)『感染領域』...
九州でトマトの葉や茎が赤く変色して枯れる病気が発生、帝都大学の植物病理学者<安藤仁>の元へ元恋人であった農林水産省の植物防疫課長の<里中しほり>が原因調査の依頼があり、現地調査に出向きます。

<安藤>は、研究室と関係のある日本最大の種苗ッメーカーの「クワバ」に勤める友人の<倉内>を訪ねますが、<倉内>は研究室で変死で発見され、彼は熟さず鎖もしないトマトの研究を行っていて、その分析を<安藤>は任されてしまいます。

植物の遺伝子レベルの操作を主軸に、種苗業界における産業スパイや学会の裏事情などを横糸ととして、<安藤>の植物学者と素人探偵役が小気味よいタッチで進行していきます。

バイオハっカー<モモちゃん>など、脇役の登場人物も楽しめ、「このミステリーがすごい」大賞の有収賞受賞作として納得できる一冊でした。

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今年の読書(10)『夏の雷音』堂場瞬一(小学館文庫)

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今年の読書(10)『夏の雷音』...
著者<堂場進一>の作品としては、警視庁の刑事<鳴沢了>や<高城賢吾>・<一之瀬拓真>などを主人公に据えた警察シリーズや、新聞社勤務を生かした『虚報』 ・ 『異境』 ・ 『警察周りの夏』 などがお気に入りですが、今回の『夏の雷音』の構成は、今までの作品と一線を引く意外な内容でした。

古書の町として有名な神田神保町は、アウトドアや楽器の町としての側面を持ち、主人公は明王大学法学部准教授<吾妻幹>は、後輩のギター楽器店店長の<安田>から、アメリカのオークションでヴィンテージギター「ギブソン『58』」を1億2千万円で競り落としたのだが、盗まれたという相談を持ちかけられますが、その<安田>が殺されてしまい、先輩刑事<敦賀>に疎まれながらも事件の真相に乗り出します。

生まれ育った神田神保町の細かい街並み描写や、実在店舗と思われるカレー店・喫茶店・鰻屋などや、火事にあった神田「やぶそば」までも登場してきます。そういえば1959(昭和34)年創業の天丼「いもや」さん、この3月で閉店とか。

読み進むにつれ、殺人事件の背景となるヴィンテージギター業界やオークションの裏側、ギターにまつわる世界が浮き彫りにされていきます。
#文庫本 #読書

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