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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(60)『遠くの声に耳を澄ませて』宮下奈都(新潮文庫)

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今年の読書(60)『遠くの声に...
12話の短篇からなる構成で、たいてい短篇集のタイトルはその中の1編の作品名が付けられている場合が多いのですが、本書は全く別の表題になっています。

独立した12話で連作短篇ではありませんが、各短篇の主人公たちが、それぞれの作品の登場人物と何らかの関係でリンクする構成であることが分かり、表題の意味も自ずと理解できました。

12編に登場する主人公たちは、それぞれに違う職業で人生を歩んでいますが、ふとしたきっかけで歩んできた想い出に立ち止まり、また自分の人生観で歩み始める姿が優しく描かれています。

『足の速いおじいさん』では、建築学科を卒業した<七海>のおじさんは、海外に飛び出したままその後行方知れずになっています。<七海>が家庭教師をしている<繭子>から聞いた話で、公園にいるホームレスは行方不明のおじさんではないかと按ずるのですが、同じ建築学科卒業としては心痛む作品でしたが、作者の優しい目線に救われました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(59)『カソウスキの行方』津村記久子(講談社文庫)

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今年の読書(59)『カソウスキ...
「カソウスキ」という言葉に「ん?」と感じ、手に取りました。
著者は、『ポトスライムの船』にて、第140回芥川賞(2009年下半期)を受賞しています。

表題作をはじめ、3篇の作品が収録されていますが、どの作品も旨いシャンペンを感じさせる味わいで楽しめました。

「カソウスキ」は「仮想好き」の意味であり、本社から郊外の倉庫勤務に左遷させられた<イリエ>は、28歳の独身で彼氏はいません。
倉庫業務は残業もなく、同僚の<藤川>は妻子持ち、もう一人の<森川>が独身だと言うことで彼氏と仮定して仕事に励んでいる心情を、明るく描き切っています。

他の二作品についても、20代の男女の恋愛感が素直に語られており、ストイックでユーモアのある語り口がどの作品にも感じられ、さわやかな読後感が残りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(58)『ミレニアム2』スティーグ・ラーソン(ハヤカワ文庫)

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今年の読書(58)『ミレニアム...
第1部の 『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上・下)』 に続く第2部が、本書『ミレニアム 火と戯れる女(上・下)』です。

前作で苦境に陥った経済誌<ミレニアム>の記者である<ミカエル>は、フリーの調査員<リスベット>のたぐいまれな調査能力で依頼された事件を無事に解決しますが、彼女は12歳の頃に起こった「ある事件」により、無能力者扱いをされ、後見人をつけられる立場に置かれています。

無事に記者として<ミレニアム>に復帰した<ミカエル>は、幼い少女の人身売買と売春に従事させられる実態をあばくべく取材を進めている<ダグ>とそれを論文にまとめる恋人の<ミア>と共同作業を進めていましたが、ある日<ダグ>と<ミア>は銃殺され、その現場には<リスベット>の指紋が残された拳銃が残され、また<リスベット>の後見人である弁護士も死体で発見されます。

警察に殺人犯として指名手配を受ける<リスベット>ですが、彼女の無実を信じ、それと並行して人身売売買に関与する謎の人物<ザラ>を追い求める<ミカエル>の息詰まる攻防が物語を盛り上げていきます。

隠された衝撃的な<リスベット>の人生が語られると共に、終わり近い部分の読者を奈落の底に落とすような出来事が起こりますが、この先どうなるのかという不安な気持ちのまま第2部は終わりました。
結末は、第3部に引き継がれていますので、今後の楽しみに残しておきます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(57)『偽りのスラッガー』水原秀策(双葉文庫)

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今年の読書(57)『偽りのスラ...
4年前、野球の試合中の事故で膝を痛め引退した元プロ野球選手<秋草隼>は、恋人の小説家<田代塔子>の仕事を手伝って暮らしていました。

ある日、大学時代の野球部の先輩<栗林>がGM(ジェネラルマネージャー)をしている「バーバリアンズ」でコーチーをしている<峰村>から、現場復帰の話しを持ちかけられます。

どうやら「バーバリアンズ」の日本を代表するスラッガー<立花>が、ドーピングをしているという噂があるので、選手としてチームに入り、調査してほしいという依頼でした。
<秋草>は一度は断りますが、まだ32歳という若さで野球に未練があり、スパイ役として一軍選手としての調査が始まります。

プロ野球業界の商業ベースでの野球経営を主軸に、<秋草>自身の再起を掛けた男の奮闘が交差する野球ミステリーとして、楽しめる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(56)『死刑』森達也(角川文庫)

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今年の読書(56)『死刑』森達...
初めて死刑判決に対する再審無罪が確定したのは「免田事件」の<免田栄>さんですが、先月3月27日(木)、1966(昭和41)年に起こった強盗殺人放火事件、いわゆる「袴田事件」として有名な<袴田巌>さんの死刑および拘置の執行停止並びに裁判の再審が決定されています。

本書は、「罪とはなにか、罰とはなにか、そして死刑とは」の視点から、著者の独自の取材で構成されたルポルタージュです。

世界的な流れは死刑廃止国が増えているようですが、その中で日本はいまだ死刑制度が存続しています。著者は積極的に存続派・廃止派の取材を進め、また死刑確定囚の面会を通して、日本国民としての読者に死刑制度の現状と疑問を投げかけています。

「オウム真理教サリン事件」のように明らかに犯罪の立証に疑問の余地のない事件から、冒頭で述べましたように冤罪とおもわれる事件までがある現状を俯瞰して、死刑制度の本質を見直すにはいい一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(55)『ちゃんちゃら』朝井まかて(講談社文庫)

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今年の読書(55)『ちゃんちゃ...
物語の舞台は、文化13(1816)年頃の第11代将軍徳川家斉の治世です。
江戸は千駄木町の庭師一家「植辰(うえたつ)」で、浮浪児として7歳の時に親方の<辰蔵>に引き取られ、修業中の<ちゃら>が主人公です。

生まれた在所も名前も分からない孤児として、「ちゃんちゃらおかしい」が口癖で、そこから<ちゃら>と呼ばれています。

「植辰」には、親方の娘<お百合>、庭師の<福助>、庭石の専門家<玄林>がおり、家族的な雰囲気の中で職人としての仕事をこなしているのですが、<辰蔵>の京都での修業中に関係ある<白陽>の登場で、物語は一変ミステリーな雰囲気に包まれていきます。

作庭が絡む話しですので、大好きな木々や植物の名前、庭に対する職人の考え方などが生き生きと描かれてており、これは素敵な作家と巡り合え、今後の作品に要注意です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(54)『お台場アイランドベイビー』伊与原新(角川文庫)

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今年の読書(54)『お台場アイ...
本書は東京湾北部、埋立地の「お台場」と呼ばれる島を中心とする臨海副都心部が直下型の地震を受け、東京は絶滅的な打撃を受けてから4年後が舞台となっています。

ある日、元刑事の<巽丑寅>は、黒人の少年<丈太>と出会い、震災直後に姿を消していた無国籍と呼ばれる子供たちが、急に街で見かける機会が多くなったことに興味を持ち、元上司である少年課担当の<鴻池みどり>に話しを持ちかけます。

その頃の東京は、若くして都知事になった<岩佐紘一郎>が復興という名目で、なぜか「お台場」を完全に封鎖し、軍隊まがいの「国土復興協力隊員」を創設、都民が立ち入らないように監視下に置いていました。

震災後に生まれた貧富の差のある生活環境と、不法滞在者の子供として無国籍な子供たちの立場を縦軸に、殺人事件を追う<みどり>の捜査を横軸として、また<岩佐>を取り巻く政治的陰謀とが絡み合い始めます。

文庫本549ページと少し厚めでしたが、第30回横溝正史ミステリー大賞受賞作として、弱者に対する社会問題を考えさせられると共に、近未来小説として楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(53)『奪還』麻生幾(講談社文庫)

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今年の読書(53)『奪還』麻生...
自衛隊員として日本の防衛を守るべく特殊部隊「バッドボーイズ」を編成・訓練していた<河合斌(たけし)>は、北朝鮮の工作船に対しての作戦を否定され自衛隊を辞め、フイリピン・ダバオ市にてダイバーズショップを経営する傍ら、地元マフィアからの依頼の仕事でも「正義」があるとおもわれる汚れ仕事をこなしていました。

ある日<国交なき医師団>の日本人女性医師<折原雪乃>が、地震で多くの被害者が出たフィリピン・コタバト市にて拉致され、行方を探す仕事を請け負います。
一度は監禁場所から<折原>を救出しますが、仲間の裏切りによりタンカーにより国外へ逃亡を許してしまいます。

そんな折、もと自衛官の同期から、与那国島に60名を超える人質を楯に引きこもる武装集団の偵察を依頼され、<河合>は昔の「バッドボーイズ」のメンバーと共に特別任務として与那国島に向かいます。

元特殊部隊員が主人公ですので、軍事的な知識と政治的な問題が絡み合い、また海を舞台とした横軸がうまく絡みあい、緊張感あふれるサスペンスとして楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(52)『藁にもすがる獣たち』曽根圭介(講談社文庫)

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今年の読書(52)『藁にもすが...
これはなんとも「痛快な」構成で、犯罪ミステリーの範疇なのですが、娯楽小説としての構成も見事で、楽しめました。

登場人物たちはどうしようもない最低の人間たちなのですが、結末が見えない中、最後まで一気に読ませてしまう面白さがありました。

サウナの受付のアルバイトをしている<赤松寛治>は、60歳。5年前に父親の跡を継いだ理髪店を閉店、まだらぼけの母親とパートの奥さんと生活していますが、夜中に来た客の忘れもののザックの中に現金が詰まっているのを見つけてしまいます。
刑事でありながら暴力団から金を借りている<江波戸良介>は、横領した知人の金を盗み取る算段をしなければ、自分の身が危ない状況に追い込みを掛けられています。
金儲けにと手を出した「FX」で大損をし、サラ金から借りた金を返すためにデリヘルで働いている主婦<庄田美奈>は、デリヘルに来た若い男に自分の暴力亭主を殺すように話しを持ちかけます。

人間の弱さと限りない欲望が交差する、秀逸な一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(51)『機密漏洩』濱嘉之(文春文庫)

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今年の読書(51)『機密漏洩』...
<警視庁公安部・青山望>シリーズも、第1作目の 『完全黙秘』 から第4作目になりました。

長崎・平戸に中国人5人の射殺死体が乗った難破船が漂流するところから物語は始まります。
船内の遺留指紋から、ひとりの人物が浮き上がり、事件情報を入手した<青山>は、持ち前の情報網を駆使して事件の調査を始めるうちに、琵琶湖でも死体が発見されます。

一見つながりのない殺人事件にみえたのですが、第3作目の 『報復連鎖』 に登場した青森県大間の原発工事と絡み、香港マフイアと東北マフイアの抗争に、歌舞伎町の裏社会、中国との政治問題を絡ませながら最後まで目が離せない展開が繰り広げられます。

中国の空気汚染と水の汚染問題を底辺に、日本側の特許技術の機密が絡み、警察小説ながら著者の中国に対する政治的姿勢も垣間見られて面白く読み切りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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