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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(10)『アコギなのか リッパなのか』畠中恵(新潮文庫)

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今年の読書(10)『アコギなの...
時代小説が多い畠中恵さんですが、これは現代物の数少ない一冊です。
副題のタイトルには、<佐倉聖の事件簿>とあります。

元暴走族の<聖>は21歳の大学生ですが、腹違いの8歳したの弟<拓>の面倒を見ながら、引退した大物政治家<大堂剛>の事務所で事務員として働いています。

<聖>は、腕っ節が強くて機転が効くということで、<大堂>の事務所『アキラ』に持ち込まれる陳情や難事件、トラブルなどの解決に駆り出され、後始末を付ける活躍が、ユーモアを交えて編纂されている短篇集です。

政治家の事務所の現状と、選挙の実情などの裏話を入れながらの構成は、楽しめました。

政治家に必要なモノは、<気力・体力・時の運>と言わしめていますが、奥深い「アコギ」な世界が垣間見れる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(9)『達人の弟子 海を渡る』室積光(中公文庫)

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今年の読書(9)『達人の弟子 ...
たった一人でカルト教団の三十数人をなぎ倒した前作 『達人山を下る』 のときは80歳でしたが、あれから10年が経ち、「昇月流柔術」の達人<山本俊之>は、今でも岡山県の山奥・賢人岳で陶芸を作り暮らしています。

岡山平和国際大学の学生で、サッカーの試合中に「屁コク大」とヤジを飛ばされ乱闘になった<田上晃吉>は謹慎になり、達人の技を取得したい同じ寮生のクロアチアからの留学生<マルコ>とともに、<厚東>教授の紹介で達人のもとに出向きます。

そこには、イルジスタン人の<アバス>が先輩として修業していますが、故国の政治情勢の不安定から同郷人の襲撃を受けてしまいます。ところが、達人の修業を受けている孫娘や<マルコ>たちの活躍で円満に解決、<アバス>の新しい目標が見定められます。

一見取りとめもない『失禁のツボ突き』や『石仏の突き』など、笑いを誘う技も飛び出すドタバタ喜劇ですが、武芸の本当の強さとは何かを伝えながら、人間の生き方を考えさせられる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(8)『浮世女房洒落日記』木内昇(中公文庫)

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今年の読書(8)『浮世女房洒落...
大正初年に建てられた古い洋館を購入した主が、天井裏にある木箱を開けますと、江戸時代に書かれた小間物屋の女房<葛>の日記を、以前の主が現代訳したもを発見します。
それが、この『浮世女房洒落日記』です。

江戸時代の庶民の生活や風習を、一月(睦月)から十二月(師走)の一年を通して描かれており、主人の<辰三>や奉公人も<清さん>、おなじ長屋の住人たちとの喜怒哀楽が、落語調の洒脱な文体で書かれています。

植物好きとしては、当時は、花見や夏の朝顔、菊見や紅葉狩りなど四季の移り変わりを楽しむ生活が自然と密着しているのを、羨ましく感じました。

「サンシキスミレ」のことを「遊蝶花」、<(鏡を)木賊(トクサ) で丹念に磨いてゆく>、<椋の木の皮を煎じた汁で髪をすすいだら>、<(髪を)胡桃油をつけて結い直す>、<重陽の節句。菊酒を飲む>等、いまでは忘れ去られたエコな生活が心に残ります。

普段使用しなくなった当時の言葉などがふんだんに取り入れられていますので、時代小説好きとしても、これは一読の価値十分の一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(7)『ブラッド・ブラザー』ジャック・カーリイ(文春文庫)

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今年の読書(7)『ブラッド・ブ...
訳者の三角和代さんの力量と合わさり、海外ミステリーでは珍しく主人公は一人称の「僕」という名称を用いて語り継がれてゆきますので、とても読みやすく楽しめました。

アラバマ州モビール市警察の<カーソン・ライダー>刑事は、ニューヨークで起きた殺人事件に出向くことになります。
どうやら犯人は実兄の<ジェレミー>のようで、彼は子供の頃に実父を殺し、さらに5人の女性を殺害して矯正施設の中で厳重に監視されていましたが、施設所長の<ヴァンジー>とともに脱走、さらに殺人を重ねていきます。

実の弟という身分を隠して、<カーソン>は捜査に協力してゆきますが、女性大統領候補者の護衛を兼ねながら、また上司の女性刑事<シェリー>との関連を含めて、緻密な伏線を散らばせながら、読者を一気にどんでん返しの結末に導いてゆく手腕は見事です。

重くなりがちな連続殺人事件を主題にしていますが、小気味よいテンポの中にユーモアもあり、また登場人物たちの過去が見事に輪を作る構成力には唸るばかりです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(6)『後悔と真実の色』貫井徳郎(幻冬舎)

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今年の読書(6)『後悔と真実の...
少し前になりますが2009年10月刊行で、第23回山本周五郎賞を受賞している作品です。
いわゆる「警察小説」の部類になりますが、とても重厚な内容の一冊でした。

若い女性の叫び声を聞いたとの通報で、近くの交番所から制服警官が出動しますと、すでにナイフで刺殺された後でした。殺害犯は、手の人差し指を切断しているところから、物語は始まります。

前半は警察内部の複雑な人間関係の軋轢や駆け引き、ステレオタイプ化された刑事の家庭環境などが殺人事件の捜査と共に描かれてゆき、後半から一気に意外な結末に集客されていきます。

第二第三の殺人事件が、ネット社会の象徴である「掲示板」を用いて予告が行われ、捜査陣をあざ笑うかのように警察を出しぬき実行されてしまいます。

主人公である捜査一課の<西条>は、独特の推理で犯人像に迫ってゆくのですが、政治的な力が加わり、愛人問題も露見して警察を退職せざるをえなくなります。
出世や名誉欲のない<西条>は、ホームレスにまで身を落としますが、持ち前の推理と愛人を殺されたことにより犯人に辿り着きますが、家庭を壊し愛人を死なせた「後悔」の念は消えません。
このあと<西条>は、どのような人生を歩むことになるのか、気がかりになる終わり方でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(5)『紅梅』津村節子(文藝春秋)

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今年の読書(5)『紅梅』津村節...
            < カバー絵:円山応挙「老梅図」(京都・東本願寺蔵) >

作家自らが、自分の闘病生活を書き残した著作は多くありますが、夫婦そろって著名な作家でもあり、また<吉村昭>の妻としての目から冷静にかつ力強く描かれた作品として心に残りました。

学習院時代の文芸部員として知りあい結婚した二人ですが、大学時代から少女小説を手がけ、当時の十代層には人気がある著者でしたが、夫とともに丹羽文雄が主宰する同人誌『文学者』にて、文筆活動を始められています。

2005年2月、<吉村>に舌癌が発見され、療養の途中でのPET検査で膵臓癌が発見され、全摘出手術を受けています。
抗がん剤や免疫療法を試みながらの闘病生活を、長年連れ添ってきた妻である立場から、死に至る2006年7月31日までの心の動きを坦々と綴りながらの構成は見事というしかありません。

題名の『紅梅』は、東京都三鷹市にある離れの書斎の前に植えられている梅の木から取られたようで、舌癌を発病した時期と重ね合わせ、さりげない表現で文中に登場しています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(4)『殺してもいい命』秦建日子(河出文庫)

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今年の読書(4)『殺してもいい...
女刑事<雪平夏見>を主人公とする、シリーズ三作目です。
一作目の『推理小説』(2004年12月)を元に、2006年1月から関西テレビ系で、<雪平>役を<篠原涼子>が主演したドラマ『アンフェア』が放映され、また映画化もされています。

<雪平>を主人公とする連作小説ですが、これだけを読んでも十分に面白く楽しめます。

人気のない場所でアイスピックにて殺害されるている現場を発見したのが、主人公<雪平>ですが、殺されていたのは4年前に離婚した元夫<佐藤和夫>でした。
現場には、殺人を請け負うという「ふくろう」と名乗る犯人の予告チラシが残され、<雪平>に恨みを持つ者の犯行かと想わせる中、第二の犯行が行われます。
冒頭や中ほどに、この物語の伏線となる事件が書かれているのですが、最後の最後にこの部分が生きてくる緻密な計算には驚かされました。

一作目から登場している相棒の新米刑事<安藤>や<山路課長>も健在で、同僚の<林堂>や同じ女刑事<平岡>等脇役もいい味を出しており、最後まで一気に読ませてくれます。

最後は<雪平>が、犯人の銃弾に倒れるところで終わるのですが、シリーズ最終巻となるのか、奇跡の復活を見せるのか、今後が気になるところです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(3)『真贋』吉本隆明(講談社文庫)

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今年の読書(3)『真贋』吉本隆...
「戦後思想界の巨人」と言わしめた<吉本隆明>は、昨年の3月16日に亡くなっています。
彼ほど多面的で、しかも私たちの生のそれぞれの領域と現象に対して確信をついた批評家は少ないと思います。

タイトルの『真贋』は、正に著者自身の批評の眼の確信であり、あまりにも常識的な「問い」と「答え」にあふれた現状を、真剣に考える上での姿勢がよく表されている言葉です。

繰り返し本書の中で、思春期までの人間形成には母親ないし母親代理の愛情が不可欠であり、出来上がった性格は直らないからこそ、自分を冷静に見つめ考える態度が必要だと説いています。

最後の結びとして、<今は考えなければいけない時代です。考えなければどうしようもないところまで人間がきてしまったということは確かなのです。(略)いま、行き着くところまできたからこそ、人間とは何かということをもっと根源的に考えてみる必要があるのではないかと思うのです>と書かれています。

世の中に流されることなく立ち止り、モノの本質の「真贋」を見抜く目で社会に対応しなければいけない時代の難しさだけは感じ取れましたが、実践はこれまた別問題です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(2)『自白 刑事・土門功太朗』乃南アサ(文藝春秋)

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今年の読書(2)『自白 刑事・...
乃南アサには、女刑事の<音道貴子>シリーズ(6冊)と、新米警官を扱った<高木聖大>シリーズ(2冊)がありますが、これは警視庁捜査一課の係長<土門功太朗>を主人公として、短篇が4話収録されています。

作品が書かれたのは、2009~2010年ですが、<土門>が活躍するのは1980年代前後に設定されており、聖徳太子のの一万円札、テレホンカード、よど号事件等、懐かしい時代背景が描かれ、またその当時の流行歌の歌詞がうまく台詞に使われいて、楽しめました。

主人公の<土門>は、事件の解決は刑事の情熱と勘だという昔ながらの地道な捜査で容疑者を追いつめ、犯行の動機をそれとなく喋らせる人情家です。

四十半ばで娘二人の父親でもあり、後輩の面倒見の良さや上司との絡みもあり、今後のシリーズ化がこれまた楽しみな主人公の登場です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(1)『子供の眼』リチャード・ノース・パターソン(新潮社)

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今年の読書(1)『子供の眼』リ...
今年の読書の1冊目に選んだのは、『子供の眼』です。作品としては新しくありませんが、<四六版・上下二段組み・606ページ・厚さ4センチ・定価3200円>と、読み応えがありそうな<法廷スリラー>なので、お正月三日間で読み切るのにちょうどいいかなと選んできました。

6歳の娘<エレナ>の養護権を夫<リッチ>と争っている<テリーザ>は、試験的別居生活が始まると、憧れていた上司の<クリストファー>の所に身を寄せてしまいます。
<リッチ>は定職にもつかず、弁護士として働いている<テリーザ>から養育費をむしり取るために卑劣な手段で妻と諍いが続いているところ、<リッチ>が自殺として見せかけられて銃殺されてしまいます。
上院議員に立候補予定だった<クリストファー>ですが、この事件を機に容疑者として被告人となり、心許せる弁護士<キャロライン>との法廷戦術が始まります。

アメリカならではの陪審員制度を巧みに取り入れながら、検察側、弁護側の駆け引きは元弁護士ならではの知識と経験が生かされ、良く計算された筋立てで、長編にも関わらず最後まで一気に読ませてくれます。

脇役の登場人物たちの性格付けも面白く、意外な結末の伏線も、<テリーザ>の育った幼児体験と<エレナ>の家庭環境と対比させる中で散りばめらています。

被告弁護士として活躍した<キャサリン>の登場する作品が続くようですが、じっくりと腰を落ち着けて読める機会を持ちたいとおもいます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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