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神戸:ファルコンの散歩メモ

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『いつかX橋で』熊谷達也(新潮文庫)

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『いつかX橋で』熊谷達也(新潮...
終戦まじかに仙台を襲った空襲で17歳の<土屋祐輔>は母親と妹を亡くし、亡骸を火葬場に運んだ際、荼毘をするかわりに<赤間>に焼き場の手伝いをさせられます。
連日の作業の中、<武山淑子>が母親の遺体を探しに来ていましたが、どことなく魅かれた<祐輔>は、見つかったら連絡するということで<淑子>の連絡先を書きとめました。

火葬場を逃げ出した<祐輔>は仙台駅前で靴磨きの仕事を始めますが、そこで同い年の特攻崩れの<澤崎彰太>と知り合います。何かにつけて優等生の<祐輔>と愚連隊としてのし上がる<彰太>の生き様は正反対ですが、お互いに反発しあいながらも、通称「X橋」(宮城野橋)に大きな虹を掛ける夢をお互いに誓い合います。

<祐輔>はある日、警察の闇の女(パンパン)狩りから逃れた女を助けようとしますと、それは偶然にも<淑子>でしたが、彼女はアメリカ兵の「オンリーワン」と言う立場で生活をしていました。(短篇集 『懐郷』 に納められている、『X橋にガール』を思い出しました)

憧れの女性<淑子>との再生を願い奮闘する<祐輔>、ヤクザな道に大きく足を踏み入れた<彰太>の二人の青年の生き様が見事に描かれ、仙台市の戦後の一ページを飾るともいえる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『アクアリウム』篠田節子(集英社文庫)

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『アクアリウム』篠田節子(集英...
主人公<長谷川正人>は27歳の公務員、趣味でダイビングと熱帯魚を飼っている平凡な男です。

ダイバー仲間が奥多摩の地底湖に潜ったまま行方不明で、恋人の依頼で捜索に出ますが、その地底湖で不思議な体験をしてしまいます。
再度地底湖に潜った<長谷川>は、そこで海月のような半透明の皮膚に血液が透けて見える淡紅色の洞窟性生物と遭遇、人とコンタクトができる知性を持ち、名前は<イクティオザウル>であり、<長谷川>は<イクティ>と呼び心惹かれていきます。

ちょうどそのころ奥多摩では林道の開発が工事が行われており、地底湖の水質変化の影響が<イクティ>の生命に関わることを心配して、<長谷川>は工事阻止のために果敢に行動をとり始めます。

作品自体は1993年3月に発表されていますが、公害問題と自然の驚異と神秘を絡ませたファンタジー小説として面白く読み終えれました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『越女剣』金庸<岡崎由美監修:林久之・伊藤未央訳>(徳間文庫)

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『越女剣』金庸<岡崎由美監修:...
中国・香港・台湾をはじめ、華僑社会で「武侠小説家」として人気のある著者です。

本書はタイトルの作品をを含む3篇の中編からなっており、他には『白馬は西風にいななく』と『鴛鴦刀(えんおうとう)』が納められています。

どれも広大な中国大陸を舞台として、歴史的背景は要素的に薄いのですが、薄幸のヒロインのせつない恋を描いた『白馬は西風にいななく』、まぬけな強盗とのやり取りが面白い『鴛鴦刀』、表題作の『越女剣』は中国美人として日本でも有名な<西施(せいし)>と越王「勾践(こうせん)」の家臣<范蠡(はんれい)>の故事に由来した物語と楽しめました。

武侠小説として、聞き慣れぬ言葉や武器がたくさん登場してきますが、言葉の解説や武器の図録として巻末に絵が添付されているのが、ありがたい配慮でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『香菜里屋を知っていますか』北森鴻(講談社文庫)

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『香菜里屋を知っていますか』北...
著者は、故郷の山口市内において2010年1月に亡くなられています。
<香菜里屋>シリーズとしては本書を持って完結編となり、ビアバー「香菜里屋」を舞台に連作短篇の形式で5編と、未完となった『双獣記』が収録されています。

それぞれが独立した安楽探偵よろしくビアバーのカウンターの中で<工藤>マスターを中心に謎解きが展開されて行きます。

謎解きのミステリーだけでなく、「本日は・・・がいいですよ」という<工藤>マスターの創作料理の表現や、カクテルへのこだわりの描写が楽しめ、「香菜里屋」を訪れるお客さんたちのほろ苦い人生が語られる人間ドラマが交錯しています。

突然店を閉めた<工藤>マスターの行く末は謎のままで読者にゆだねられてしまいましたが、酒好きとしては是非にでも訪れてみたい「香里菜屋」として、心に残る余韻を持って読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『QED~flumen~ 九段坂の春』高田崇史(講談社文庫)

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『QED~flumen~ 九段...
1998年12月に出版された 『百人一首の呪』 をスタートに、<QEDシリーズ>は本書で14冊目になります。

数学の証明の末尾に記載されるのが「Q.E.D.」の文字は、「quod erat demonstrandum」の略称で、「以上が証明されるべきだった」、つまり「証明終了」の意味を持っています。

あとがきからすると、本書は本来の主人公<桑原崇(タタル)>の学生時代を舞台として、各作品に登場する<棚旗奈々>や<小松崎良平>・<御名形史紋>達との関連が、「春・夏・秋・冬」という4章から構成され、4つの殺人事件を絡ませてよくわかる連作短篇に仕上げられています。

古典の引用・歴史の解釈・神社仏閣のいわれ等、博識な知識が全編を通じて基本路線をなし、単なる殺人事件のミステリーに終わらない内容に驚きながら、最後の1ページまで目が離せませんでした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『思いわずらうことなく愉しく生きよ』江國香織(光文社文庫)

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『思いわずらうことなく愉しく生...
なんとなく、『思いわずらうことなく愉しき生きよ』というタイトルが気に入り読み始めたのですが、珍しく途中でギブアップしてしまいました。
江國香織さんの本を読むのは初めてで、どのような作品の系統なのかも知りませんでした。
常時枕元には何冊かの本を置いてあるのですが、新しい本もなくなり、仕方なしにギブアップしたこの文庫本を読み切りました。

ストーリーは、三姉妹の日常の生活が中心なのですが、作品の意図も何が言いたいのかも、最後まで理解できませんでした。
長女は、夫の暴力に耐えながら、離婚することもなく生活を続けています。
二女は、結婚など目的とせず、男と同棲しているのですが、肉体的に合うという会社の男と情事を重ねています。
三女は、高校生の頃からおじさん相手に異性行為にはげみ、声をかけられた男と遊びながら、同級生の夫婦の男を部屋に泊めるという関係を持ち続けています。
おそらく、現代の女性の行動意識を反映して共感するファンが多いのでしょうが、谷崎潤一郎の性の追求や、渡辺淳一のような葛藤は感じられません。

江國ファンには申し訳ないのですが、私には理解出来ない内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『喋々喃々』小川糸(ポプラ文庫)

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『喋々喃々』小川糸(ポプラ文庫...
主人公<横山栞>は28歳、東京・谷中でアンティークの着物店を営み、4年が過ぎました。

過去にフォートジャーナリストを目指した高校の同級生の<岡田雪道>と付き合っていましたが、ひょんなことから別れ、今は彼も結婚して女の子の父親です。

ある日父親と良く似た声をした男性客<木ノ下春一郎>が表われ、お茶会用にと着物を求めに訪れます。
どことなく「キリン」を彷彿させる<春一郎>に、<雪道>との過去を心の隅に起きながら思いを寄せていく<栞>ですが、彼は10歳の女の子がいる妻子持ちでした。

下町風情たっぷりの谷中を舞台に、お菓子持参で遊びに来る<まどか>や寺の住職の嫁<イメルダ夫人>、80歳に近い<イッセイ>さんなどの脇役に囲まれながら、一年を通して成長していく<栞>の姿が、季節の移ろいと共にグルメの描写を交えて丁寧に描き出されている一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ジェノサイド』高野和明(角川書店)

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『ジェノサイド』高野和明(角川...
傭兵の<ジョナサン・イエガー>は難病の息子の治療費のために、高額報酬でコンゴで行われる「汚い仕事」の任務に就くため、他の仲間3人と共に南アフリカで訓練を受け、危険なウイルスに侵されたピグミー族を殺し、<これまで見たこともない生物>を発見した場合は、すぐに抹殺せよとの業務に付きます。

この作戦の暗号名には「ネメシス」と付けられ、アメリカ合衆国大統領<バーンズ>の巧緻な企みが隠されていました。

一方日本では、突然ウイルス学の大学教授<古賀誠治>が病気で急死、息子の薬学大学院生<古賀研人>は、父の友人である新聞記者<菅井>から、『ハイズマン・レポート』に父が興味を示していたことを教えられます。

父の葬儀を終え研究室に戻った<研人>は、亡くなった父からのメールが届いているの気が付き、父の隠れた研究室にたどり着き、父の残した仕事は、<イエガー>の息子の難病と結びついて物語は進んでいきます。

アメリカ・コンゴ・日本を舞台に、まったくつながらない2つの物語が結びつくとき、読者は驚愕の事実をしるところとなり、スリリングな場面展開と共に<これまだ見たこともない生物>に対しての結末に安堵感にひたれます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『円卓』西加奈子(文藝春秋)

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『円卓』西加奈子(文藝春秋)
中学2年生の三つ子の姉を持ち、祖父祖母両親と8人暮らしの<渦原琴子(通称こっこ)>は、小学校3年生です。

家族から愛されている<こっこ>は、家族や学校に不満ばかりが募り、「うるさいぼけ」と口が悪く、偏屈な性格ですが、逆に「孤独」に魅力を感じています。

<こっこ>の身の回りに起こる学校や家族との出来事を中心に、ひと夏の経験を通じて成長していく姿が、大阪弁の会話でユーモラスに描かれていました。

タイトルの『円卓』は、狭い公団に住む<渦原家>の食卓が、廃業した中華料理店から貰い受けてきたもので、物語の脇役としてうまく利用されています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『即身仏の殺人』高橋克彦(PHP文芸文庫)

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『即身仏の殺人』高橋克彦(PH...
出羽三山のひとつ、湯殿山の映画ロケ現場から、石棺に入った「ミイラ」が発見された場面から物語は始まります。

もともと湯殿山は即身仏で有名な場所として有名ですが、たまたま秋田県出身の女優<月宮蛍>が撮影に同行しており、公民館に安置されていた「ミイラ」が盗難にあい、<月宮>の大学の同窓であり雑誌記者の<冬掛亜里沙>や推理小説作家の<長山作治>らが、現地に出向いていきますが、副監督の<松本>が絞殺死体で発見、事件は思わぬ方向に進み出していきます。

単なる殺人事件の謎解きだけに収まらず、即身仏とは? 湯殿山信仰とは? 天明の大飢饉とは? などの歴史的事実をこまめに配置した構成で楽しめました。

事件は右に左にと揺れ動く展開ですが、最後には<塔馬双太郎>が登場、<長山>たちの推理を整理して、一連の事件を解決していきます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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