今年の読書(128)『老朽マンションの軌跡』井形慶子(新潮文庫)
建築家と呼ばれる人たちの理論武装の本とは対照的に、現実的な問題を体験してきた人たちの実践記は、建築設計を生業としている立場としては反面教師として楽しめる分野です。
以前にも漫画家の<内田春菊>さんの自宅建設奮闘記として 『ほんとうに建つのかな』 というのがありましたが、今回の著者はイギリス社会を中心に住宅にも関心がある編集者の立場での実践記として楽しめました。
東京の人気の町で見つけた築40年近いマンションを500万で購入、200万をかけてリフォームした経過を細かく描きながら、並行して今の日本の住宅の状況の分析を行っています。
「リノベーション」という言葉が聞かれる昨今ですが、古いというだけで壊されていく建築環境を憂い、また賃貸の家主が「貸す喜びを持つ」ような心構えがなぜ生まれないのかという疑問が、今の日本の住宅環境の貧しさを表しています。
以前にも漫画家の<内田春菊>さんの自宅建設奮闘記として 『ほんとうに建つのかな』 というのがありましたが、今回の著者はイギリス社会を中心に住宅にも関心がある編集者の立場での実践記として楽しめました。
東京の人気の町で見つけた築40年近いマンションを500万で購入、200万をかけてリフォームした経過を細かく描きながら、並行して今の日本の住宅の状況の分析を行っています。
「リノベーション」という言葉が聞かれる昨今ですが、古いというだけで壊されていく建築環境を憂い、また賃貸の家主が「貸す喜びを持つ」ような心構えがなぜ生まれないのかという疑問が、今の日本の住宅環境の貧しさを表しています。