本書は怪奇小説のスタンダードともいえる「ゴースト・ストーリィー」物で、<ジョー・ヒル>のデビュー作ですが、「プラム・ストーカー賞」・「ローカス賞」を受賞したアメリカン・モダンホラーの神髄が楽しめました。
主人公は54歳の元ロック歌手<ジュード・コイン>ですが、スナッフフィルムなど異様な物を収集する趣味があり、ある日ネット・オークションで「幽霊の取り付いたスーツ」を落札、自宅に『ハート形の箱に入ったスーツ』が届いた瞬間から、怪奇な出来事が起こり始めます。
現れた老人の幽霊の正体は、かって付き合っていた<アンナ>の義父の<クラッド>で、<アンナ>は手首を切り自殺していますが、<ジュード>の責任だと復讐心に燃えて責め立てます。
<ジュード>は、現在の恋人<ジョージア(メアリベス)>と愛車マスタングに乗り、スーツを売りつけた<アンナ>の姉<ジェシカ>の家に対策を講じに出向いていきます。
自らの過去と対峙するとともに、<アンナ>の事件の真相が突き止められ、一気に結末へと読者を引きずり込ませる手法は見事で、600ページを超える大作が楽しめました。
来るべき裁判員制度に向けて、神戸地方裁判所の敷地内にて、増築棟の工事が行われています。
裁判所に出向くたびに、工事中の現場を横目に見ていましたが、本日足場が解体され、新しい増築棟の姿を眼にすることが出来ました。
「ふむ」
本館も、昭和50年代後半より、解体新築か現地保存とかで、随分物議をかもし出しました。最終的には、ルネッサンス様式の煉瓦の外壁を残し、内部は全面改修、近代的な材料・工法であるハーフミラーのカーテンウォールを用いた折衷案に落ち着いた経緯があります。
たとえて言うならば、袴をはき、蝶ネクタイをしているような違和感のデザインで、そのときにも「ふむ」と感じました。
その時代の社会状況として「よし」としなければいけないようです。年月を積み重ねれば、これはこれなりにまたランドマークとしての価値もでてくることだとおもいます。
同系列の家庭裁判所は、すべて新築工事ですので、近代的な材料・工法を用いてのデザイン手法で、まだまとまりがあるようです。
今回の増築棟は、ハーフミラーのカーテンウォールをデザインの要として用いられています。が、外壁が銀色のリブパネルですので、これまた違和感を感じてしまいます。
やはり、同一敷地内であれば、本館との統一感を持つべきだと思います。
本館に準じて、外壁は煉瓦を主体にまとめれば、少しは落ち着いた空間になったと思います。
著者には『映画は恋愛の教科書(テキスト)』という著書がありますが、第2弾的な恋の映画を絡ませながら、古今東西の俳優24名が登場しています。
73本の映画ウィ紹介しながら、73通りの男女の機微を著者独自の恋愛観でまとめており、大人のための恋愛映画の手引書としても楽しめる内容構成です。
『ベティ・ブルー』の<ベアトリス・ダル>、『ソフィーの選択』の<メルリ・ストリープ>、『女殺油地獄』の<樋口可南子>、『東京夜曲』の<桃井かおり>など、個性派俳優の演技力に改めて関心を持ちました。
< 後藤書店の「栞」 >
本日(12月16日)讀賣新聞の神戸版を見て驚いてしまいました。三宮センター街にあります、古書籍の「後藤書店」が来月14日で、創業98年の歴史に幕をとじると出ています。
神戸で一番大きな古書店で、学術書の探索にはこの店しかないという店ですので残念でなりません。
またひとつ神戸の文化が消え、古書店巡りが楽しみである私にとっては寂しい限りです。
ひと昔前までは、元町商店街にもたくさんの古書店(古本屋)が軒を連ねていましたし、JR高架下もそうでした。今は閉店してありませんが、元町商店街の「黒木書店」の親父さんは見識も高く博学で、とっつきにくいご仁でしたが、足蹴よく通っておりました。
若者の活字離れ、インターネットの普及と、原因はいろいろとあげられますが、新刊本の定価も高くなり、高いから読みたくても買えないという、鶏が先か卵が先かの議論になりそうで、書籍離れの解決策としての対策は難しそうです。
岩波文庫の星ひとつが50円の時代は、小遣いで文庫本が何冊か買えました。現在、文庫本でさえ一冊1000円を超す時代では、そうそう手にすることも難しく、若者に対して同情的にならざるをえません。
たしか、『国家の品格』(藤原正彦著)の中で、著者は「国語力が大事」だと述べられていました。ふとその言葉が頭をよぎった、今朝の朝刊記事でした。
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