昨日紹介した <ハナショウブ> は、6枚の花被片が広がる「六英咲き」の品種でしたが、この【葵の上】は、外花被片は大きく丸弁で、「江戸系」でありながら、やや垂れた平咲きの「三英咲き」の花形です。 一見すると白地の花弁に薄紫色の筋が入るように見えますが、薄紅色に赤紫色の筋が入っています。 <ハナショウブ>の特徴である外花被片の基部の黄色い部分(アイ)がよく目立ち、(アイ)の周辺にある濃い部分(ハロー)は、紅紫色の砂子が入っています。 品種名は、紫式部の『源氏物語』に登場する<光源氏>の最初の正妻<葵の上>からの命名のようで、特徴ある紋様が印象に残る品種です。
鉢植え栽培で、綺麗に花を咲かせている<ハナショウブ(花菖蒲)>を見つけました。 <ハナショウブ>は、アヤメ科アヤメ属の多年生で、野生の「ノハナショウブ(野花菖蒲)」をもとに改良された園芸品種です。 名称は、葉が「ショウブ」(サトイモ科ショウブ属)に似ていて、綺麗な花を咲かせることにより<ハナショウブ>と名が付けられました。 花の色は白・桃・青・紫・黄など多彩で絞り模様や覆輪もあり、品種の数は4000とも5000とも言われています。 大別すると原種の特徴を強く残す「長井系」をはじめ、「江戸系」・「肥後系」・「伊勢系」とあり、また「アメリカ系」も加わります。 優美な花形としっとりとした風情が魅力的で、花形は「三英咲き」と呼ばれる3枚の弁が大きく目立つもの、6枚の弁が広がる「六英咲き」、そして「八重咲き」があります。
玄関前に植木鉢を並べられ、綺麗な花を拝見することができるのですが、その玄関の石段の下と道路の隙間から【ユウゲショウ(夕化粧)】が咲いていました。 アカバナ科マツヨイグサ属の多年草で、原産地は南米から北米南部、日本には観賞用に明治時代に導入されましたが今では野生化、帰化植物として道端や空き地に咲いています。 開花時期は5月から9月にかけて、茎上部の葉脇から花径1~1.5センチの薄紅色の4弁花を咲かせ、花弁の先端は丸く、また紅色の筋が入り、中心部は黄緑色をしています。 雄しべは8本、雌しべの先端は淡い紅色で4本に分かれています。 和名の由来は午後遅く開花、艶っぽい花色をしていますので名づけられていますが、実際は昼頃から咲き出しています。 別名として「アカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)」があり、これは「オシロイバナ(化粧花)」の別名も「ユウゲショウ」と呼んでいますので紛らわしく、<アカバナ>が付けられました。
蕾の形が金平糖やアポロチョコのような姿をしていて、すぐにわかる【カルミア】です。 ツツジ科ハナガサシャクナゲ(カルミア)属の常緑樹で、北アメリカ東部からキューバにかけて約7種類ほどが分布しています。 日本には、東京市長がアメリカに桜を寄贈したお礼として1915(大正4)年に、「ハナミズキ」 と一緒に渡来したのが最初だと言われ、別名として「アメリカシャクナゲ」やインディアンがこの木の根からスプーンを作ったことに因み「スプーンの木」とも呼ばれています。 開化期は5月上旬から6月上旬、花径2センチばかりの浅いお椀型の花姿で、集合して球形のような形をつくり、満開時には木全体を覆うように咲き見事です。 雌しべは1本、雄しべは10本ありますが花弁の窪みの中に納まっており、昆虫などの飛来で刺激を受けると、飛び出してくるという仕組みを持っています。
【ヘリクリサム・モハーブ】は、蕾の形が「ハス」のような姿をしていて、とても面白いのですが、残念ながら蕾はありませんでした。 キク科ヘリクリサム(ムギワラギク)属の植物で、約600種ほどが確認されています。 特殊な花姿で、白くてキク科特有の「舌状花」に見える部分は<総苞片>が変形したもので、花弁ではありません。 草丈30センチ程度、明るい日中に開いて、暗くなると<総苞片>を閉じる性質があります。 乾燥に強く、また花自体もカサカサした感じでドライフラワーとして利用されてきています。
花径15ミリ前後と、小さな花を咲かせる<ツバキ>の【エリナ】です。 <ツバキ>といえば、花径10センチを超す大ぶりの 大輪種 が多いのですが、本種は小輪の花を隙間なくたくさん咲かせ、やわらかな白地の花弁にほんのりと桃色が入ります。 本種は埼玉県川口市にある「芝道本店」の<芝道昭>氏により、中国品種を元に育成された改良品種で、「農林水産省・種苗登録第11658号」の認定を受けていますので、営利目的での増殖は禁止されています。 ちなみに【エリナ】という名は、<芝>氏のお孫さんの名前だそうです。
ご近所にある【レモン】の樹ですが、実が熟していく様子を 定点観測 したことがありますが、花と遭遇する機会はありませんでした。 今回運よく花の開花と遭遇しましたが、あまり長く開花を保つ花ではなさそうです。 ミカン花ミカン属の常緑低木で、樹高は3メートルほどになり、枝には棘があります。 赤紫色の蕾を付け、白色ないし淡い桃色の5弁花を咲かせ、花径35~40ミリほどです。 原産地はインド北部のヒマラヤ地方で、10世紀頃に中国に、その後アラビア半島に伝わり、12世紀頃にアラビア人がスペインに伝え、十字軍の移動でヨーロッパに広まり、日本には明治時代初期に渡来しています。 食用としての【レモン】の栽培は、広島県が全体の50%、愛媛県が25%を占めています。
道路脇の側溝の隙間から、黄色い花の【ジニア・ルネアリス】が咲いていました。 花姿からキク科だとすぐにわかり、葉が披針形だということで【ジニア・リネアリス】とみたのですが、葉が細すぎる気もしないではありませんが、園芸品種の多いこともあり本種だと同定しました。 キク科ヒャクニチソウ属の一年草で、原産地はメキシコ、和名では「ホソバヒャクニチソウ(細葉百日草)」です。 「ヒャクニチソウ」は葉が丸いのですが本種は葉が細く、草丈も60~100センチある「ヒャクニチソウ」に比べて30センチ程度と低く、花径は3センチ程度の一重咲き、白色や橙色の花色があります。
切り取られた街路樹の切り株から、 【ノジギク(野路菊)】 が顔を出していました。 並んでいる周りの街路樹からすると、「プラタナス」系の樹木だとおもいますが、伐採されてかなり日が経つようで、乾燥しきった幹の状態にもかかわらず、苦ともしないで【ノジギク】が根を生やしたようです。 樹木自体からの水分補給は難しいでしょうから、夜露か雨頼みにならざるを得ないと思いますが、無事に大きく成長をして花を咲かせるのか、気になるところです。
ベンケイソウ科エケベリア属の多肉植物は、メキシコを中心として約180種の原種があり、数多くの園芸品種が育成されています。 本種はロゼット状に成長する「春秋生育型」で、初春から夏にかけて長い花茎を伸ばして色鮮やかなはなを咲かせます。 晩秋から秋にかけて日によく当たりますと、白粉がかった青白さが美しい葉が、きれいな紅葉色に染まります。 属名の<エケベリア>は、18世紀にメキシコにて、メキシコ植物の挿絵を描いた植物画家<アタナシオ・エチュベリア>に由来しています。