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神戸花時計を写した帰り、繁華街に出てきましたので、大手書店に出向きました。
JR神戸駅近辺にも書店はありますが、品揃えはやはり売り場面積と比例するようです。
1994年に『クリスマスのフロスト』で華々しいデビューをし、その後『フロスト日和』(1997年)、『夜のフロスト』(2001年)、『フロスト気質』(2008年)と続き5年ぶりの翻訳が『冬のフロスト』です。
イギリスの地方都市デントンの警察署に勤める<フロスト警部>は、よれよれの服と小汚い海老茶色のマフラーというしょぼくれた容姿ですが、強烈な個性がなんとも楽しめる小説です。
残念がら著者は、2007年7月に亡くなっており、生前に6作目となる『A Killing Frost』を書きあげています。
シリーズを重ねるごとに長編となり、今回も前回と同様に(上・下)2冊組で(2730円)です。
読みたい本で気になりますが、金額も高く、また6作目で終わるということも分かっていますので、余裕のあるときに購入しようと見送りました。
副題に「名探偵浅見光彦の」と付いていますが、著者の一連の推理小説の主人公を登場させ、掛け合いで各地のグルメをレポートしています。
永井荷風をはじめ、池波正太郎、吉田健一、丸谷才一、東海林さだお等、作家で料理を語る人は多く、それぞれの目線の違いが楽しめます。
最初に出てきた名古屋のかしわ料理専門店「鳥久」は、神戸青年会議所が世界会議誘致のために地元青年会議所へ宣伝のために出向いたお店です。
また志摩観光ホテルの高橋シェフの「アワビのステーキ」は、ゼミの旅行で楽しみ、「伊勢海老のスープ」が絶品でした。
わたしが食べた所と重なる料理やお店が多く、食した当時を懐かしく思い出しながら、読み終えました。
タイトルの『ぬばたま』は、アヤメ科の「ヒオウギ(檜扇)」の種子を「ぬばたま(射干玉)」といい、ぬばたまのように黒いという意味から、「夜」や「髪」などにかかる枕詞のことです。
文庫本には、四話の短篇が収められていますが、それぞれの物語は「壱」・「弐」という具合に表され、短篇としてのタイトルはありません。
タイトルの「ぬばたま」が、各短篇にかかる枕詞として働いているようです。
各短篇の舞台となるのは、人里離れた「山」が舞台となり、それぞれに、男と女、闇と光、生と死、恐怖と陶酔の対比で書かれた物語が、読み手を幻想の世界に引きずりこんでいきます。
非常にリズミカルな文体で、繰り返し表れてくる文章が、読み手に対して想像力を膨らませる力を発揮している一冊です。
九州天草にある通称《地獄島(波越島)》では売春が行われており、14歳で祖母に売られた主人公<水原>は、10年間働かされたあと島抜けを果たします。
逃げ出した女は、引き戻されると一生働らかせれるという厳しい掟があり、島には日本中のヤクザが進行する古い<九凱(くがい)神社>がありました。
過去の縁を切るために、<水原>はヤクザ組織を使い、<九凱神社>を破壊し、《地獄島》の売春組織の解体に成功するのですが、そのことにより日本の警察に追われ、韓国・釜山にて隠遁生活を送る羽目に陥ります。
その矢先、かくまってくれていたヤクザ達が殺し屋<黄>に殺され、<水原>は上海元公安部の女刑事<白理>に助けられますが、<白理>もまた<黄>に刑事であった夫と子供を殺害された過去を持ち、二人して日本に潜伏している<黄>を求めての復讐劇が展開されていきます。
『ユーラシアホワイト』 も世界を股に掛けた展開でしたが、この作品も韓国・上海・日本を舞台に、脇役たちも個性的で、裏社会の現実と小気味良い二人の女の執念を感じさせてくれる一冊でした。
実在のイギリスの都市イーリーを舞台に、30数年前のガソリンスタンド強盗事件と自分の交通事故の真相を求める主人公<ドライデン>は、地元新聞社『クロウ』の記者です。
<ドライデン>の妻<ローラ>は、交通事故で意識不明の状態で入院をしていますが、新聞記者である<ドライデン>は、氷結した川から引き揚げられた車のトランクから銃で撃たれた死体を取材する傍ら、教会の大聖堂の屋根の上で白骨の死体が見つかり、真相を究明すべく緻密な取材行動に動きます。
新聞記者として、サーカス団の不審火、祭りの花火事故、大雨による大洪水という本来の記者としての取材をちりばめながら、強盗事件の真相と<ローラ>の交通事故の真相の伏線が随所に錯綜しながらの構成、息つく暇を与えずに最後まで読み手を引っ張ってくれる一冊でした。
取材の移動はすべて<ハンフリー・H・ホルト>の運転するタクシーですが、このお抱え運転手がいい脇役として印象に残ります。
主人公は、米軍が運営するAFIP(病理学研究所)に勤務する三十代の女性遺伝子学者<アレックス>です。
自分の研究として、スペイン風邪ウイルスのゲノム解析を行っていましたが、FBI長官ポストにつきたいという野望を持つ新所長の就任で、軍基地周辺で発生している女性連続殺人事件の捜査に駆り出されてしまいます。
自分本来の研究とは違い、納得できない捜査に反発しながらも、事件の真相に近付いていきます。
著者自身が世界的な遺伝子学の権威であり、国際的な知名度もありますので、興味深い遺伝子の世界が楽しめました。
AFIPの移転問題に絡み、親しくなった下院議員とのロマンスなども散りばめられ、脇役たちの人間性も良く表現されており、ラブサスペンスとして楽しめた一冊です。
江戸の妖(あやかし)達が活躍する<しゃばけ>シリーズで人気のある、著者の初めてのエッセイ集(2009年12月刊行)の文庫版です。
<田辺聖子>さんのように大笑いするエッセイではありませんが、<曾野綾子>さんのように考えさせられるエッセイでもなく、気軽に著者の横顔が垣間見れるないようでした。
『アコギなのか リッパなのか』 という破天荒な<佐倉聖>を主人公にした現代小説もありますが、やはり江戸を舞台とした<しゃばけ>シリーズや、 <まんまこと>シリーズ がお似合いだと感じました。
・・・いかに読み手が夢中になれる時間を提供出来るのか、いかに心に響くものを書いていけるか、難しいと思い、また、軽々と越えている作品を見ると、頭でっかちに悩みすぎるだけでもいけない気がする・・・という創作の苦労を含め、著者の素顔に触れることができる一冊でした。
前作 『完全黙秘』 に次ぐ、<警視庁公安部・青山望>シリーズの第二作目です。
病院理事長<中村弘一>は、医療の技術では劣りますが病院経営では敏腕で、医師会などの肩書きも多く、参議院選挙の比例区に出馬しましたが、残念ながら次点に終わりました。
選挙コンサルタントとして当選請負人とまで呼ばれた<大場芳一>を裏金を使い雇いますが、裏金を渡している地元市会議員の<古沢幸次郎>が交通事故で死亡、ぎりぎり当選した<木下武>がこれまた交通事故で亡くなり、繰り上げ当選が決まります。
公安部公安総務課の<青山望>は、この二つの事件の裏側に暴力団が絡み、病院を舞台に悪質な企みを阻止すべく、前回と同様にノンキャリアの同期<大和田博><藤中克範><龍一彦>3人と、課をまたいだ共同捜査で事件解決に臨みます。
公安部公安総務課の経歴を持つ著者の分身を思わせる<青山望>ですが、本庁の三年勤務も終わり、これから所轄に転属になる同期の仲間の今後の活躍が楽しみになってきました。
10話からなる短篇集ですが、著者自身が心療内科医として開業されていることもあり、ご自身の経験を踏まえながら、医者と患者の心のつながりを丁寧な文章で書き綴られています。
特殊な技量を持つ俗に言う「名医」が主人公ではなく、患者目線に立つ「良医」達が主人公で、ヒューマニズムにあふれた言動・行動には、涙する場面がいくたびかありました。
患者自身を見ることもなく、触診もしないで電子カルテの数値だけが主流となっている現状を憂い、下の世話も看護師任せで自ら携わろうとしない医者達ばかりでは、人間的な信頼関係は築けないと示唆されています。
特に『チチジマ』・『震える月』は、第二次世界大戦の軍医が絡む話ですが、細やかな歴史の流れが描かれており驚きました。
最新作の『蠅の帝国』・『蛍の航跡』の副題には、共に<軍医たちの黙示録>とありますが、すでに構想として下地ができていたようです。
文庫版あとがきを読みますと、著者自身も急性骨髄性白血病で半年ほど入院をされていたようですが、またこの経験が新たな視点となる作品を期待しています。
33歳の独身OLとして、会社でふがいない部下を持ちストレスが溜まる<吉田江利>は、大学時代からの友人<友美>が出演するという落語の発表会を観に行きます。
それぞれの職業を持ちながら落語に打ちこんでいる人たちと打ち上げを楽しんでいるうちに、<江利>も落語に興味を持ち、主催者である<楽笑>の教室に通い落語にのめり込んでゆく姿が、<江利>の家族問題や<友美>の恋愛問題を絡めながら描かれています。
人情落語の面白さを、現実の生活と比べながら、またそれぞれの登場者たちの人生観も描かれており、人生訓的な要素もたっぷりでした。
文中、誰でもが知っている『寿限無』をはじめ、多くの「噺」が登場、また落語家達の特徴も良く描かれており、落語の「粋」を感じさせてくれる一冊でした。
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