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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(63)『電車屋赤城』山田深夜(角川文庫)

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今年の読書(63)『電車屋赤城...
久々に「エンターティメント」な小説を読んだという、感動の一冊でした。
鉄道オタクまではいきませんが、鉄道好き、機械好きな方には、たまらない小説だと思います。

私鉄「神奈川電鉄」(通商「神電」)の車両検査部門を舞台に、下請け業者の「エース工業」の社長たちを通して、車両整備に誇りと夢をかける男たちの人間ドラマが展開されていきます。

<赤城>は、自分の過去を語ることもなく、それぞれに登場する人物たちに対して、人間として職人としての矜持を示しながら、難問解決に立ち向かう姿勢を崩しません。

高速化と電子制御化が進むなか、職人技として腕を振るえる時代は終焉を迎えつつありますが、「プロ」としての仕事へのこだわりを改めて感じさせてくれました。

7章からなる構成ですが、一遍一遍どれも感動モノのお話ばかりで、お勧めです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(62)『季節風 秋』重松清(文春文庫)

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今年の読書(62)『季節風 秋...
『季節風』というタイトルで、<冬・春・夏・秋>と四部作が出ていました。
どれも12の短篇が収められています。一番新しい『季節風 秋』を読んでみました。

以前に著者の自叙伝的な 『鉄のライオン』 を読みましたが、いい味わいの短篇集だったので、今回も期待しながら読んでみました。

親子関係、夫婦関係、幼馴染等、人間生活のどこにでも起こりえるえる物語ですが、実に味わい深く読めました。
「あとがき」に著者自らが書かれています、<「おまえはどんなものを書いているんだ?」と問われたなら、きっと「これを読んでくれればわかります」と、この四冊を差し出すだろう>との言葉通り、まさに著者の人間を観る視点が浮き彫りになる内容でした。

・・・肩を抱き寄せて。「長生きしてや、お父ちゃん」-ふるさとの言葉で言った。
・・・子どもたちは、これから長い人生を、勝ったり負けたりを繰り返して生きていく。運動会のようなさっぱりした勝負は、そう多くはないだろう。
・・・おとなには、わかっても言わないことがあるんだよ、うん。言ってもつらくなるだけだったら、言わないほうがいい。

さりげなく各短篇に出てくる文章に、著者の思い入れがにじみ出ています。
ほのぼのとしながらも胸が熱くなる人間ドラマ、ぜひ手にしていただきたい一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(61)『メディチ家の暗号』マイケル・ホワイト(ハヤカワ文庫)

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今年の読書(61)『メディチ家...
メディチ家の地下礼拝堂に眠る54の遺体を調査中に、コジモ・デ・メディチと思われし遺体から、小さな石板状の物体が発見されます。
一人その物体を調べていた古病理学者<イーディー>の叔父が発見当日に何者かに殺されてしまうところから物語は始まります。

遺体の調査のメンバーでもある<イーディー>は、携帯電話に残された最後の叔父の謎の言葉を頼りに、大学時代の先輩<ジェフ>と彼の友人<ロベルト>と共に、メディチ家の隠された謎に突き進んでいきます。

現在のヴェニツィアを舞台に繰り広げられる物語と、コジモの活躍した1410年が中心の物語が交互に語られ、二重三重の謎解きが進みます。

いつもながら史実にある程度基づいた小説は面白く、楽しみながら読みきりました。
『四季』で有名なヴィヴァルディの逸話も登場してきますし、コモジの友人ニッコロ・ニッコリがイタリック体を発明した人物だということなど、雑学面でも意義ある一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(60)『探偵・竹花 再会の街』藤田宣永(角川春樹事務所)

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今年の読書(60)『探偵・竹花...
著者の探偵ものとして、今までに「鈴切信吾」・「的矢健太郎」・「相良治郎」を主人公にした作品がありますが、この「竹花」だけには、下の名前がつていていません。

61歳の探偵・竹花、著者と同じ年齢設定で各所に育った時代背景の言葉が出てきますので、著者の分身として楽しみながら執筆されたのがうかがえます。
登場する竹花は、<酒と煙草と女と孤独を愛する>という、ステレオタイプ化された探偵のイメージですが、61歳という年齢がそれを感じさせません。

元大物総会屋から「別れた愛人とその娘」の居所を探してほしいという依頼で、突き止めたマンションの前で、その娘と子供が拉致される場面に遭遇して物語が始まります。
後半は思わぬどんでん返しもあり、構成的によくまとまり楽しめた一冊でした。

探偵ものとして最高峰であるレイモンド・チャンドラーの『ザ・ロング・グッドバイ(長いお別れ)』が文中に出てきます。チャンドラーといえば清水俊二の訳本ですが、<角川春樹(訳)の文庫本が買ったままになっていたのだ>には、出版社を意識しているのか、思わず笑ってしまいました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(59)『あの頃の誰か』東野圭吾(光文社文庫)

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今年の読書(59)『あの頃の誰...
江戸川乱歩賞、直木三十五賞を受賞している作家ですので、名前ぐらいは知っていました。
人気作家らしく、新作が出ると新聞の広告欄によく名前を眺めておりましたが、読んでみたい作家ではありませんでした。

先月、米ミステリー界の最高峰である「エドガー賞」の最優秀長編部門に、同氏の『容疑者Xの献身』が受賞は逃しましたがノミネートされていると知り、どんなものかと読んでみる気になりました。

ノミネート作品ではなく、『あの頃の誰か』というミステリー短篇集で、8話が収められています。
どの短篇も作品としては古く、1989~1997年に発表されたもので、今まで収録されていない短篇ばかりです。

年代を感じる描写が多く、
・・・・生意気そうな女が、長方形の箱のようなものを持っている。巷で噂の携帯電話だ。
・・・・恋人がいなくても、とりあえずイブの夜にホテルを予約するというのが、最近の男たちのトレンドだ。<1990年>
・・・・カウントがツースリー(今はスリーツー)になった。<1994年>
・・・・DINKSという言葉知っているだろう。<1989年>

また登場する自動車も、ベンツ・BMW・レクサス・ポルシェといった馴染みの車名が出てきます。まさに上記の描写と合わせ、バブル全盛期の<あの頃の誰か>に捧げる短篇集のようです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(58)『謀略法廷』ジョン・グリシャム(新潮文庫)

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今年の読書(58)『謀略法廷』...
自らが弁護士であり、またミシシッピー州の下院議員を務めたことのある著者の法廷小説は、処女作『評決のとき』(1989年)以来、好んで読んでいます。

日本の裁判制度とは違い「陪審員制度」の米国ですが、評決に至るまでの面白さは、著者ならずとも楽しめる作品はたくさんあります。

『謀略法廷』は、化学工場が垂れ流していた廃棄物が原因で、町の人々が癌などを発病させ、その賠償を求めて正義感の強い弁護士夫婦が私財をなげうって弁護にあたり、企業側から懲罰的賠償金を含めて多大な賠償金を勝ち取ります。

大企業のオーナーは賠償金を支払う意志もなく、上告する州の最高裁判所の判事選挙に巨額の裏金を投資して、自分の意のままになる候補者を当選させるべく画策に走ります。

法廷内での原告・被告のやり取りの応酬が小説の中心ではありません。法廷外での弁護士や大企業の経営者のエゴ、裁判官の選挙自体の問題定義といった内容が濃い作品でした。

下巻のページ数が残り少なくなるにつれ、夫と子供を亡くした未亡人は賠償金を取れるのか、大企業のオーナーは生き残れるのか、破産した弁護士夫婦の今後はどうなるのか等、色々と結末を考えながら一気に読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(57)『二つの「金印」の謎』西村京太郎(祥伝社文庫)

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今年の読書(57)『二つの「金...
列車や観光地を舞台とするトラベルミステリーが多く、<十津川警部>シリーズも人気があり、テレビドラマなどにたびたび登場しています。
肩を張るような小説ではなく、気楽に電車の中で読むのに適しているのか、「キオスク」の売店では必ず著者の文庫本が何冊か置かれています。
発行される形態も、新書版か文庫本がほとんどというのも、著者ならではの特徴ではないでしょうか。

非常に多作な作家で、いつ見ても新刊本を目にしているようにおもえます。
調べますと2012年3月で、すでに書かれた作品は500冊を超えているようです。

著者が同じ推理作家である故山村美紗との関係をモデルにした私小説『女流作家』(朝日新聞社:2000年5月刊行)を読んで以来、久しぶりに手にしてみました。

列車や観光地での事件では気を引かれなかったと思いますが、「卑弥呼の金印」という日本史にからんだ事件のようで、興味を持ちました。
日本史の歴史として、1784年に志賀島で発見された「漢委奴国王」の金印は有名ですが、卑弥呼に贈られたという「親魏倭王」と彫られた金印をめぐり、連続殺人事件が発生します。
この金印を発見したという「アドベンチャー・ジャパン」という怪しげな団体が現われ、世間的に注目されるなか、最後は<十津川警部>の推理で事件は解決に至ります。

いまだに夢とロマンを与えてくれる「邪馬台国」の卑弥呼ですが、古代史の謎として、まだまだ論争が続くようです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(56)『オール ミッション2』山田悠介(角川文庫)

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今年の読書(56)『オール ミ...
どんな依頼も引き受ける「何でも屋」を舞台に、それぞれの注文(ミッション)をこなしてゆく物語が、5話ばかり収められています。

著者には失礼な話なのですが、読みながら第135回(2006年)直木三十五賞を受賞された、<三浦しをん>さんの『まほろ駅前多田便利軒』を思い出してしまいました。
こちらも、駅前で「便利屋」を営む二人の男の顛末記です。

元警官の社長である<花田>を中心に、憎めないキャラクターの男3人に、事務担当の女性社員が、それぞれの依頼主の注文に合わせて活躍する姿が描かれています。
喜ばれる仕事もあれば、依頼通りの注文をこなせずに落ちこんだりと、波乱万丈の依頼話しが展開してゆきます。

<ミッション2>ということで、2冊目のようですが、面白い依頼仕事には事欠かないでしょうから、シリーズ化が続きそうです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(55)『逝年』石田衣良(集英社文庫)

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今年の読書(55)『逝年』石田...
前作 『娼年(しょうねん)』 の続編としての作品ですが、本書だけ読みましても前回からの流れは理解できます。

二十歳の夏に「クラブ・パッション」のオーナー<御堂静香>に声をかけられ、「娼夫」の道に足を踏み入れた<リュウ>ですが、警察の手入れを受けオーナーは逮捕されてクラブは解散となります。

警察の手入れから落ち着いた一年後、<リュウ>は仲間と共にクラブを再開させます。
ほどなくオーナーも出所してきますが、エイズが発病、心の支えであるオーナーとの永遠の別れを目の前にして、<リュウ>は自分に何ができるのかと悩みます。

裏社会の性ビジネスを縦軸に、男と女の生理的な感性の違いを横軸に、そして<しょうねん>から<せいねん>に成長する男としての<リュウ>の感性が織り込まれた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(54)『れんげ荘』群ようこ(ハルキ文庫)

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今年の読書(54)『れんげ荘』...
有名広告店代理店に勤め、バブルで使い放題の接待費で毎日宴会、有名ブランドの服やバッグで身を飾っていた<ササカワキョウコ>(45歳)は、世間体を気にする価値観の母親と二人で、息詰まる生活を送っていました。
母親が70歳を超え、兄夫婦が母親と同居するのを機会に、会社も辞め仕事もせずに、月10万円だけで生活をしようと決心して、実家を飛び出します。

探しだしたのは、共同トイレと共同のシャワー室がある、月3万円の木造アパート「れんげ荘」です。
古いということで2階は空き家のまま、1階には60歳を超えた<クマガイ>さん、自称旅人と称する20歳過ぎの女性、割烹店にて板前修業中の<サトウ>くんが住んでいます。

引っ越した季節の良い春先から、梅雨時には押し入れにカビが生え、夏には蚊に悩まされ、冬には寒さに震え上がる不便な一年の生活を通して、お金では買えない心の贅沢さを感じてゆきます。

著者には『贅沢貧乏のマリア』という、『贅沢貧乏』を書かれた森茉莉さんの評伝がありますので、精神貴族としての森茉莉に触発された作品だと思います。

解説の中で岸葉子さんが、<生活のリズム化とは、削ぎ落としてゆくことだけではないのだ。だいじなの価値観の軸をシンプルにすること>と述べられていますが、まったく同感です。
自分自信の軸がぶれることなく、物質的な満足感など求めず、心の贅沢を感じる生き方で過ごしたいものです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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