Search Bloguru posts

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://en.bloguru.com/falcon
  • Hashtag "#読書" returned 1767 results.

今年の読書(27)『紙鑑定士の事件ファイル』歌田年(宝島社文庫)

thread
今年の読書(27)『紙鑑定士の...
本書『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』は、第18回「このミステリーがすごい大賞」の受賞作品として、2020年1月に刊行され、加筆修正されて2021年2月18日に文庫本として発行されています。

建築の設計を生業としてきましたので、大賞受賞作品と言うよりは、「模型の家」と言う単語に興味を持ち手にしたのですが、あまりの面白さに、一気加勢に366ページ読み終えました。

神保町で紙鑑定事務所を営み、どんな紙でも見分けられる男「渡部圭」の事務所に、ある日「紙鑑定」を「神探偵」と勘違いしたひとりの女性「米良杏璃」が、ピンボケした戦車のプラモデルのディオラマ写真一枚をもって「彼氏の浮気調査をしてほしい」とやってきます。

「渡部」はダメ元でホビー誌の知り合いを頼りに調査を始めますが、伝説のプラモデラー「土生井」と出会ったことで意外な真相が明らかになっていきます。
「土生井」は、ごみ屋敷に認知症の母と住む冴えない中年独身男性ですが、プラ模型のことが絡むと驚くべき洞察力と知識で、名推理を披露していきます。

そして無事に浮気事件を解決したその翌日、「渡部」の事務所に「行方不明になった妹・英玲奈を探してほしい」と言う女性「曲野晴子」が、妹の部屋にあった古い住宅のミニチュアを持って訪ねてきます。
再び「土生井」の模型に対する造詣の深さと推理力の協力を得て、住宅のミニチュア模型を調査していた「渡部」は、その中に恐ろしい大量殺人が示唆されていることを知り、真相を突き止めるため奔走します。

「紙」と「模型」の達人コンビが、知識と推理力を駆使して織りなすミステリーですが、ぐいぐいと引き込まれてゆく構成に圧倒されました。まだ3月ですが、早くも<濱嘉之>の『紅旗の陰謀』と並ぶ、今年のベスト3候補作品だと思います。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(26)『イエロー・エンペラー』吉川英梨(宝島社文庫)

thread
今年の読書(26)『イエロー・...
著者<吉川英梨>の作品として 『十三階の女』 や 『十三階の神』 を読んでいる間に、刑事「原麻希」を主人公とする 『アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希』 に始まるシリーズが11冊刊行され、最新刊【2021年2月18日刊)の本書『警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希 イエロー・エンペラー』が12番目を数えていますので、シリーズの人気のほどがうかがえます。

シリーズとして間が飛んでしまいましたので、関連する事件や登場人物の背景が心配でしたが、本書単体でも十分に読み応えがありました。

警視庁捜査一課八係に所属する「原麻希」は、連続殺人事件を首謀したと思われる極右翼組織「大日本皇桜会」の「椿聖一郎」の捜査をすすめていました。そんなある日、自宅で偶然に催眠術の番組の生配信を見ていると殺人現場が放送され、あわてて現場に向かうも単なるショー番組でした。

しかしその裏には「椿」の殺人事件への陰謀の幕開けでした。「椿」事件の捜査と並行して、元恋人の「広田達也」刑事のパニック障害の催眠治療の様子が描かれ、大学の時から26年経つ現在までの「達也」と「麻希」の関係がせつなく描かれています。

パニック障害の本当の原因はなんなのか、「椿」によって引き起こされた事件の真相の究明は、最後まで面白く読め、次回13作目へと期待がかかります。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(25)『玉村警部補の巡礼』海堂尊(宝島社文庫)

thread
今年の読書(25)『玉村警部補...
2014年は、弘法大師が遍路創設1200年の節目に当たる年ということで四国88カ所を舞台とした『玉村警部補の巡礼』は、2018年4月に単行本として刊行され、2020年11月20日に文庫本として発行されています。

四国88カ所は、一度は巡礼として「歩き遍路」で回ってみたいと思いながら、<熊倉伸宏>の 『あそび遍路』 や<宮田珠己>の 『だいたい四国八十八ヶ所』 等で楽しむだけでしたが、遍路の概略の素地があっただけに、本書をより楽しめた気がします。

表題通り、リフレッシュ休暇で八十八カ所を巡ろうとする桜宮署の「玉村誠警部」になぜかデジタル・ハウンドドッグ(電子猟犬)と怖れられる警察庁の「加納警視正」が同行し、遍路先で不可解な事件にあうのですが、解決してゆく4件の事件が納められています。

前作『玉村警部補の災難』を引きずる場面もありますが、その他著作がらみの 「黄金の地球儀」 の登場などサービス描写も見受けられ、<海堂尊>ファンにはたまらない凸凹コンビのエンターティメントな一冊でした。

#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(24)『風のかたみ』葉室麟(朝日時代小説文庫)

thread
今年の読書(24)『風のかたみ...
時代小説の好まれる作家としては、一般的に史実的にまとめる<司馬遼太郎>を筆頭に江戸時代を舞台に、庶民や下級武士の哀歓を描いた<藤沢周平>や<池波正太郎>が人気どころだと思いますが、私は<葉室麟>も外せない作家です。
(朝日時代小説文庫)としては 『柚子の花咲く』 以来になります『風のかたみ』です。

藩主の世継ぎ問題で、藩主と対峙した豊後安見藩一門衆筆頭の「佐野了禅」は上意討ちされ、二人の息子共々屋敷に火を付けて亡くなります。残された「佐野了禅」の妻「きぬ」をはじめ一族の女たちは、女中を含めて7人、白鷺屋敷と呼ばれる別宅で、藩の沙汰を待っている状況でした。

そんなおり、女医師「桑山伊都子」は、目付方「椎野吉左衛門」より、白鷺屋敷に住み込み、佐野家の女人たちが自害しないように、また、世継ぎが生まれないかの密偵役を務めるように指示されます。

二男の嫁「初」を巡り盗賊が現れたり怪奇な事件が起こる中、目付の「椎名」は女一族の抹殺を計りますが、佐野家の女たちは、武家の女として、したたかな思いを秘めていました。

武士としての生き方、男としての矜持を見事に描く<葉室麟>ですが、その裏を支える、武家の女たちの悲哀を心地よく描き出しています。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(23)『街と山のあいだ』若菜晃子(中央出版社)

thread
今年の読書(23)『街と山のあ...
著者<若菜晃子>が、1968年兵庫県神戸市生まれだということで、手にしてみましたエッセイ集『街と山のあいだ』(2017年9月刊)です。

学習院大学国文学科卒業後、登山の専門出版社「山と渓谷社」に入社、『wandel』編集長、『山と渓谷』副編集長を経て独立、文筆家として活躍する著者が、山にまつわる記憶や体得してきた思想を、情緒豊かに綴っています。

四季にわたる山行記やよく登る山、道具の話など、細やかなエピソードに彩られた59篇が掲載されています。「人生に、山があってよかった」と山が好きな人も山に憧れる人にも、街に埋もれている人にも自然を感じられる一冊でした。

「人生に、山があってよかった。」と言い切る著者には、山ではどんな景色が見えるのか、何度も登りたくなる理由は何なのか。著者の文章の力で、山の魅力に共感することができます。巻末には、本文に出てくる山名一覧(国内)がまとめられています。
#ブログ #単行本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(22)『モールハンター』初瀬礼(双葉文庫)

thread
今年の読書(22)『モールハン...
本書の正式なタイトルとしては、『警察庁特命捜査官水野乃亜 モールハンター』になります。

新聞広告を見て、女性捜査官「水野乃亜」が主人公だということで手にしてみましたが、すでに第1巻として『警察庁特命捜査官水野乃亜 ホークアイ』(2019年6月)が刊行されているようで、本文中に第1巻の流れをくんだであろう表現の箇所が多く出てきていました。やはり、シリーズ物は最初から続けて読むのがいいようです。

コロナ禍後、外国人労働者の受け入れ拡大に伴い外国人犯罪も増加傾向にあり、上海マフィア「七合会」を中心とし、日本の半グレ集団との抗争が絶えません。

そんな中、国は隠密に通訳を兼ねて外国人警察官の採用を検討、各国の現役警察官を通訳だとして、組織に採用、法案改正の実績を作ろうと、警察庁キャリアの「水野乃亜」に管理官として着任させますが、留置していた事件の関係者が毒殺されるという事件が発生。

警察上層部は、組織内部に「モール=内通者」がいるということで「水野乃亜」に殺人事件捜査と合わせて、「モール」のあぶり出しを任せます。

現場のノンキャリア刑事たちと、通訳という隠れ蓑の刑事たち、キャリアの「水野乃亜」という三すくみの中での捜査が進みます。事件解決後は、やはり「ホークアイ」で取り逃がした「遠藤美沙」の名が登場、第3巻へと続く伏線が感じ取れました。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(21)『監禁面接』ピエール・ルメートル(文春文庫)

thread
今年の読書(21)『監禁面接』...
著者の作品として発行が後先になっていますが、4作品目の 『その女アレックス』 (2011年)の前に3作目として発行されています『監禁面接』(2010年)が、2021年1月10日に(文春文庫〉として刊行されています。

『その女アレックス』は、面白く楽しめましたので、本作の宣伝コピーに釣られて読んではみたものの、私には3章からなる482ページが、特に第1章が長く感じる作品でした。

リストラにあい失業4年目の「アラン・デランブル」57歳は、再就職の当てもなくアルバイトで妻の「ニコル」頼りに生活をしていましたが、一流企業の最終試験に残ります。それは、「就職先の企業の重役会議を襲撃し、監禁する」状況の中での行動で重役の昇進を決めるという企画に立ち合い、人事評価を行うというものでした。

娘の住宅購入資金を借りてまで、評価対象人物の個人情報収集を探偵に頼み、テロ集団への対処を元警察官に教わり、「アラン」はある奇策をもって、最終面接試験に出向きます。

物語の展開は予想外に進み、<アラン>の一発逆転劇の作戦ににんまりさせられますが、痛快感が最後まで続かず、ハッピーエンド的な終わり方を期待していただけにスカッとした満足感は得られず、退屈冠を感じ高い評価は与えられません。☆☆といったところでしょうか。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(20)『城崎にて、殺人』西村京太郎(中公文庫)

thread
今年の読書(20)『城崎にて、...
兵庫県に関係ある地名ということで、今回は1998年11月に中央公論社にて「273作目」として刊行されています<西村京太郎>の『城崎にて、殺人』です。作品順番として後先になりましたが、「274作目」が、 『東京・松島殺人ルート』 でした。

ミステリー小説ながら、文豪<志賀直哉>の『城崎にて』(1917年5月)をもじったタイトルにも興味がわきました。

警視庁捜査一課を定年退職した「岡田利夫」は、山陰への旅の途中の車内で宝石店に勤める「北野敬」という青年に出会い名刺交換を行い、再会を約束します。翌日、「北野」の死体が城崎温泉で発見され、持っていた名刺から事情聴取を受ける「岡田」の元へかつての後輩、「十津川」警部が現れます。

東京で殺されたクラブママの女性「竹宮麻美」の部屋に、「北野」の名刺が残っていたので事件との関連を調べに来ていました。「岡田」が、別れた後の「北野」の足跡を辿ると、彼から宝石を買おうとしていた地元の名士3人が連続して不審死していたという事実が浮かび上がってきます。

山陰の3県に渡る温泉宿<城崎・三朝・玉造>において連続殺人に秘められた、事件の真相は本来主人公の「十津川」警部が捜査に乗り出すところですが、本書では引退した民間人の「岡田」が事件を追い求め、最後は犯人に殺されてしまう悲しい結末を迎えます。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(19)『インフルエンス』近藤史恵(文春文庫)

thread
今年の読書(19)『インフルエ...
『薔薇を拒む』 以来、久しぶりに<近藤史恵>(51)の本書『インフルエンス』を手にしました。2017年11月に文藝春秋から単行本が刊行されていますが、2021年1月に同社から文庫本が発行されています。

主たる登場人物は少ないのですが、何とも複雑な人間関係を主軸に扱い、最後に驚くべき結末が用意されていました。同年のファンの「戸塚友梨」から手紙をもらった作家の「私」が、送り主が語る物語を中心に進んでいきます。

大阪郊外の巨大団地で育った小学生の「戸塚友梨」。同じ団地に住む「日野里子」が、小さいころから祖父から性虐待を受けていたことを知り、衝撃を受けます。助けられなかったという自責の念を胸に抱えたまま中学生になった「友梨」は、都会的で美しい親友「真帆」を守ろうとして、脅すために男が持っていた包丁で痴漢の男を刺し殺してしまいます。ところが何故か、翌日警察に逮捕されたのは、「里子」でした。

殺人事件、スクールカースト、子育て、孤独と希望、繋がり。お互いの関係を必死に隠して幼馴染として中学生から高校生と過ごし大人になった3人の女たちが過ごした20年、その入り組んだ秘密の関係の果てに彼女たちの人生に待つものは何だったのか。大人になった三人の人生が交差した時、隠された衝撃の真実が浮かび上がってきます。

女たちが幼いころから直面する性的虐待、いじめ問題の罪、言葉で説明できないあやうい思春期の友人関係と深い信頼。ラストに用意された、作家と「友梨」との関係。 『サクリファイス』 (2008年)で第10回大藪春彦賞を受賞した<近藤史恵>が描く衝撃のミステリーでした。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(18)『紅旗の陰謀』濱嘉之(文春文庫)

thread
今年の読書(18)『紅旗の陰謀...
前作読みました著者の「院内刑事(デカ)」シリーズの 『院内刑事 パンデミック』 も新型コロナウイルスを扱ったタイムリーな内容でしたが、本書『紅旗の陰謀』(2021年1月10日刊・文庫描き下ろし)も、元警視庁公安部出身の経歴をいかんなく発揮した内容でした。

本書『紅旗の陰謀』は、警視庁公安部長の密命を受けた、国際派の若きキャリア公安マン「片野坂彰」を主人公とするシリーズの第3作目になります。

ノンキャリアの最強の先輩情報官「香川潔」と、音大出身で4か国語を操り、コンピューターのスペシャリスト女性捜査官「白澤香葉子」を相棒として、本書より新しく「望月健介」がチームに加わり、家畜泥棒のベトナム人が惨殺された事件を発端に「片野坂彰」は、チャイニーズマフィア傘下の売春組織に目を付け、「片野坂」をチーフとする4人の精鋭チームは、中国の国家ぐるみの陰謀に対峙していきます。

著者の得意分野とする、新型コロナウイルス問題、オリンピック問題。中国・ロシア・トルコ・EU諸国の裏側と国際政治問題の分析が、本筋の事件解決を忘れさすほど、面白く、最後まで一気に読ませるエンターティメントとして注文の付けようがない一冊でした。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

  • If you are a bloguru member, please login.
    Login
  • If you are not a bloguru member, you may request a free account here:
    Request Account
Happy
Sad
Surprise