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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(42)『琥珀の夢(下)』伊集院静(集英社文庫)

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今年の読書(42)『琥珀の夢(...
<伊集院静>の『琥珀の夢 小説鳥井信治郎(上)』は、13歳で薬種問屋「小西儀助商店」に丁稚奉公にでた「信治郎」が、20歳になり自分で店を持ちところで終っています。

いよいよ下巻では、20歳の春、鳥井商店を開業。明治39年、屋号を寿屋洋酒店に変更、日々葡萄酒の味の研究に勤しみます。ロシアとの開戦で軍事需要が高まる中、広島の西城商店主に取引で騙され借金を抱えながら、赤玉ポートワインが完成します。ライバルは東京の神谷伝兵衛の蜂印葡萄酒。宣伝の重要性を知っていた信治郎は、新聞広告、赤玉楽劇座、劇団員の「松島栄美子」をモデルとしたヌードポスターやノベルティーと攻勢に出ます。

国産ウイスキー造りは周囲からは猛反対にあっていました。そんな時、関東大震災が起きます。瓦礫と化した東京を見て、「信治郎」は決心します。「わてが日本をええ国にするんや。ウイスキーを作ってみせる」。英国に留学していた「竹鶴政孝」を雇い、莫大な借金をして山崎蒸溜所を建設します。初の国産ウイスキーは1929年に誕生します。米英に比べれば新参国ですが、いまや世界で最高賞を取るまでになり、海外の愛好家を虜にし、破格の値段で取引されているようです。

初の国産ウイスキーを完成させた「信治郎」は、「小西儀助」が夢見ていた「ビール」の世界へと夢を広げるのでした。

上巻で気になっていたうどん屋「芳や」の女将「しの」は流行り病で亡くなっており、下巻にて、月命日には、料理屋で一人忍んで宴を開いている逸話が出てきて、ホッとしました。
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今年の読書(41)『琥珀の夢(上)』伊集院静(集英社文庫)

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今年の読書(41)『琥珀の夢(...
<北原白秋>が、1913年の歌集で「ウイスキーの強く悲しき口当たりそれにもまして春の暮れゆく」と詠んだ、琥珀色の味と香りは、かくも人を魅了してきたということで、<伊集院静>の文庫本上下2巻の長篇小説『琥珀の夢 小説鳥井信治郎』を手にしました。「サントリー」の創業者としての「鳥井信治郎」に関しては、すでに<邦光史郎>の『やってみなはれ』(集英社文庫)を読んでいますので、大まかな流れを理解しながら、改めて日本産ウイスキーの幕開けを楽しみながら読みました。

明治12年1月30日夜明け。大阪船場、薬問屋が並ぶ道修町に近い釣鐘町で一人の男児が産声を上げました。両替商、「鳥井忠兵衛」と「こま」の4人目の子どもである次男「信治郎」が誕生しています、後に日本初の国産ウイスキーを作り、今や日本を代表する企業「サントリー」の創業者の誕生でした。

次男坊の宿命で「信治郎」は13歳で薬種問屋「小西儀助商店」に丁稚奉公に入ります。小西商店では薬以外にウイスキーも輸入して扱っていましたが、「儀助」は国産の葡萄酒造りを考えていました。しかし当時の葡萄酒はアルコールに香料など様々なものを混ぜ合わせた合成酒でした。「信治郎」は夜毎、「儀助」と葡萄酒造りに励みながら、商人としてのイロハを叩き込まれると共に、合成酒づくりの基本を身に着けていきます。

丁稚奉公も終わり、いよいよ「信治郎」は自分の店を持つまでになりますが、兄「喜蔵」からもらった開店資金を使い突然神戸港から小樽までの客船の一等客になり、外国人たちの交流を楽しみ大阪に戻ってきます。開店資金を散財しますが、のちにこの経験が生きてくるのでした。

気になったのは「信治郎」の性格として、先輩の奉公人に引き合わされた子持ちのうどん屋「芳や」の女将「しの」と関係を持ち、その後もたびたび登場してくるのですが、単なる女遊びで終わるのか、あやふやのまま上巻が終ったことです。
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今年の読書(39)『刑事の約束』薬丸岳(講談社文庫)

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今年の読書(39)『刑事の約束...
多くの作家が個性ある「刑事」を主人公としていますが、本書に登場する「夏目信人」も好きなキャラクターの一人です。

本書『刑事の約束』は、『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』に続く「夏目信人」シリーズの三作目になり、表題作を含む5篇の中短篇が収められています。

主人公「夏目」は、罪を犯した少年たちの心に寄り添い、その更生の手助けになる仕事がしたいと法務技官になり、一人娘が通り魔事件の被害に遭い、植物状態になったことをきっかけに30歳の時に警察官に転職した過去を持っています。6年後、東池袋署の刑事課に配属され新人刑事となった<夏目>の刑事としてのまなざしは被害者の痛みを知る優しさと罪を憎む厳しさを湛えていました。

多くの刑事物の主人公は、血気盛んな破天荒な行動力があるようですが、「夏目」は、はた目にはぼーっとしていて、定時の5時15分には帰宅する、およそ刑事らしからぬ人物として描かれ、事件中心のミステリーとして描かれる背後に、一人娘の不幸を背負った家庭人としての苦悩を抱えながら生きる刑事としての姿を描いているところに魅力が感じられます。

本作で、植物状態に陥っていた14歳の娘「絵美」が目覚めます。前作登場の検事「志藤」も再登場、「前田裕馬」のその後の展開も気になるところで、2020年3月に文庫本として発行されています次作『刑事の怒り』を読まなければいけないようです。
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今年の読書(38)『飲食店の秘密』大西良典(扶桑社)

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今年の読書(38)『飲食店の秘...
今回は、一般的な小説ではなく、いわゆる「ハウツー物」です。正式タイトルは『コロナ危機を生き残る 飲食店の秘密』とながめですので、標題では省略させていただきました。

著者の<大西良典>氏は、兵庫県神戸市生まれ、兵庫県立尼崎工業高校建築科卒業後、神戸の三大ゼネコンに入社、ゼネコン倒産後、設計事務所に転職、「モスバーガー」の店舗設計から始まり、「なか卯」の店舗設計にたずさわり、2010年に独立して、兵庫県芦屋市に「OLD  DESIGN株式会社」を設立現在に至っているという経歴です。

神戸にて長く建築設計に携わってきましたが、「神戸の三大ゼネコン」と言う言葉に出会うのは本書が初めてで、倒産ということであれば「H工務店」や「H建設」、「M組」などを思い出しながら読んでおりました。

建築設計を生業と言う職業的な意味で本書に興味を持ったわけではなく、「B級グルメファン」としての立場で読んでみましたが、内容的に特段驚くべきノウハウは読み取れませんでした。
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今年の読書(37)『北能登殺人事件』西村京太郎(講談社文庫)

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今年の読書(37)『北能登殺人...
ここの所、厚めの文庫本が続きましたので、息抜きとして<西村京太郎>の1984年7月「カッパ・ノベルス」(光文社)にて刊行されました13冊目となるトラブルミステリー『北能登殺人事件』を読みました。文中新幹線の「食堂車」の描写があり、作品の古さが感じられました。

休暇で能登に旅に出た「十津川」警部の部下である「日下」刑事は、電車内で一人旅の女性が気になり、恋路海岸まであとをつけるのですが、海岸で彼女(村田由紀子)が銃撃される場面に出くわします。「由紀子」は、交通事故死した恋人のルポライター「雨宮」を喪い、死に場所を求めていました。「由紀子」に心惹かれた「日下」は「由紀子」と同じホテルに泊まりますが、翌日、女が泊まった部屋に男の死体があり、彼女の手には凶器のナイフが握られていました。

「日下」は彼女の無実を信じ捜査に加わるのですが、「雨宮」の交通事故死も殺人事件の様相になり、東京の「十津川」や「亀井」の協力を得て、事件の鍵は「雨宮」が追っていた芸能界の黒幕「堀場達夫」に辿り着くのですが、「堀場」も殺され、捜査線に浮ぶ容疑者が次々と殺されていきます。「十津川」は最後の1人の完璧な時刻表にまつわるアリバイを崩し、「由紀子」の協力を得て、容疑者を誘い出す作戦に出ます。

「由紀子」に淡い恋心を抱きながら捜査を進める「日下」ですが、彼女が犯人ではないかとおののく「日下」が必死で捜査を進める過程が異色で、文末の2行、{結婚までいかなくても、日下にとっては、素晴らしい思い出になるだろうし、由紀子には生きる力になるだろう。}と結ばれているのが、爽やかな印象を残す一冊でした。
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今年の読書(35・36)『新装版 妖怪(上・下)』司馬遼太郎(講談社文庫)

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今年の読書(35・36)『新装...
乱読していますと、著者は違うのに前作読んだ作品とつながる描写が出てきたり、読み始めや読み終わった日が登場人物たちや著者の命日や誕生日と言う偶然に出くわすことが多々あります。

今回も本書『新装版 妖怪(上・下)』が、前回(34)の<岩井三四二>の『金閣寺建立』が舞台となった応仁の乱(1467年~1477年)前後の時代が舞台で、<足利義政>が登場、不思議な縁を感じながら、金閣寺建設当時の時代背景を楽しみながら読み終えました。

<司馬遼太郎>の作品としては、骨太の武士や理想に燃えた歴史上の人物たちが主人公の物語とは違う傾向でした。題名から「ろくろ首」や「一つ目小僧」と言った妖怪が出てくるのかと思いましたが、足利将軍にまつわる権力争いに登場する妖術使いたちがいいキャラクターで脇を固めています。

怨霊や生霊の世界が身近にあった室町時代末期。6代将軍<義教>の落胤という熊野の「源四郎」は「将軍になろう」と、飢饉と戦乱で荒廃しきった京へ上ります。都では8代将軍<足利義政>の御台所、日野富子と、側室の今参りの局が権勢争いに明け暮れていました。その暗闘に巻き込まれた「源四郎」を、側室の「お今」に憑いた幻術師「唐天子」の奇々怪々な幻戯が襲い、「富子」を抹殺しようと企みます。

将軍<足利義政>の跡継ぎ問題を中心に正室「日野富子」に付く「山名宗全」と、側室「お今」の「細川勝元」との政治的対立を応仁の乱前夜を舞台として当時の世情を背景に京に徘徊する妖術師「指阿弥」や「唐天子」の世界を鮮やかに描いています。
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今年の読書(34)『銀閣建立』岩井三四二(講談社文庫)

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今年の読書(34)『銀閣建立』...
今年は、「金閣寺」の屋根の改修工事も終り、屋根の色が18年ぶりに明るさを取り戻しているということもあり、2005年3月に単行本、2008年12月12日に文庫本として発行されています<岩井三四二>の『銀閣建立』が目につきました。

室町末期、応仁の乱で疲弊した京の都。5年ぶりに美濃から都へ呼び戻された番匠「橘三郎右衛門」は、公方御大工の父から、「足利義政」が隠居所として東山に山荘をつくることを聞かされます。

「三郎右衛門」は仕事を得るための同業者たちとの駆け引きや、口うるさい上様の注文をしのぎつつ、山上亭(西指庵)の仕事を得ることができ棟梁として技の限りを注いでいきます。宮大工としての日本建築の仕口や木割り等の描写、木曽桧の京までの流れ、家業としての大工業を、「三郎右衛門」の家族関係を織り込みながら描いています。

前回(33)の『空間・五感』でも述べていますが、<建築>とは「権力」と「金」が絡んでくるということを著者はよく見抜かれており、上様「足利義政」が自分の満足のために農民から年貢として金銭を巻き上げ、東山山荘の建築に固執、やがて土一揆が起こる都の様が「三郎右衛門」の子どもたちを絡めて描かれています。

「三郎右衛門」は、自分の身が滅んでも、のちの代まで立ち続ける建築を建てたいと、たとえ「足利義政」が銭で浄土を買う東山山荘の建立であったとしても、公方御大工職としての信念を持ち続けるのでした。
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今年の読書(33)『空間・五感』日本建築学会(井上書院)

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今年の読書(33)『空間・五感...
建築設計を生業としている立場として、読書の分野に入るのか怪しげな一冊として2021年3月20日に発行されています<日本建築学会>編集の『空間・五感』(2750円・井上書院)です。

タイトルの通り、「視覚」・「聴覚」・「触角」・「嗅覚」・「味覚」の五感に加え「時間」・ 「多様な感覚」の全7章に有名建築を振り分けて、写真と解説文で組まれたハンドブック的な構成でした。

さすが学会として資料的といいますか学術的でなければいけないと言う編集方針が気になり、本来の「建築」の持っている「権力」「金(富・財力)」という根源的な分野での視点の切り込みがなく、つまらなく感じながら写真だけ眺めていました。
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今年の読書(32)『臨床真理』柚木裕子(角川文庫)

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今年の読書(32)『臨床真理』...
著者<柚木裕子>(52)の作品として、女性警察事務職員<森口泉>を主人公とした『朽ちないサクラ』を読んで気に入り、以後ポツリポツリと手にしていますが、家庭裁判所の調査官を主人公に据えた『あしたの君へ』以来になりましたが、本書『臨床真理』が著者のデビュー作品です。

『臨床真理』は、2009年1月 宝島社より刊行され、 2010年3月に 宝島社文庫として(上・下)の分冊で発行 され、2019年9月 に角川文庫として発行されています。

読んだ後で分かりましたが、ミステリーとして途中で事件は解決したように思えるのですが、その段階でまだ残ページがあると、もうひとひねりの裏返しが予測できてしまい、ミステリーファンとしては、ある登場人物の台詞の伏線で事件の真相が予測できてしまうからだと思います。手慣れた作家ですと、読み手の裏をかくひねりを加えてエンディングへと導くのでしょうが、デビュー作品としては無難なまとめ方だと思います。

人の感情が喋る言葉の色でわかる「共感覚」を持つという不思議な青年「藤木司」を担当することになった、新人の臨床心理士「佐久間美帆」を主人公とする、ミステリーサスペンスです。

知的障害者更生施設に入所していた20歳の「藤木司」は、親しくしていた16歳の少女「彩」が自殺未遂事件を起こし救急搬送中に救命士と問題を起こしていまいます。「彩」の色は生きる願望が見えて自殺ではないと主張する「司」を信じ、知的障害者更生施設にまつわる問題に興味を魅かれ、「美帆」は同級生の警察官「栗原」と「彩」の死の真相を調べ始めます。やがて浮かび上がってきたのは、施設の入所している少女を性の対象とする一連の事件でした。
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今年の読書(31)『朝が来る』辻村深月(文春文庫)

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今年の読書(31)『朝が来る』...
気になる文庫本の新刊も見当たらず、昨年2020年10月23日より公開されました<河瀬直美>が監督を務めた映画『朝が来る』の原作を読みました。著者の作品としては、第32回吉川英治文学新人賞受賞作の『ツナグ』以来になります。

映画『朝が来る』は、第92回米アカデミー賞国際長篇映画部門の日本代表作品であり、<河瀬直美>監督は第44回日本アカデミー賞の優秀監督賞を受賞しています。

同じ建設会社に務める「清和」と「伊都子」は遅い結婚ということもあり、子供の出産に積極的ではありませんでした。40歳を目前に不妊の原因を調べますと、「清和」は無精子症という病気であることが分かります。何回かの不妊治療を行いますが改善が見られず、子供を持つことを諦めたときに、テレビで「浅見」が主催する『ベビーバトン』という特別養子縁組のテレビ番組を見たことにより夫婦で興味を持ち、説明会に出向きます。

中学生の「片倉ひかり」は、当時付き合っていた「巧」と性行為をしたのち、望まない妊娠をしてしまいます。その後、「ひかり」の父母が紹介してくれた『ベビーバトン』と呼ばれる特別養子縁組団体によってひかりの授かった子供は「清和」と「伊都子」夫婦に引き取られ「朝斗」と名付けられ、平穏な生活を過ごしていました。

それから6年後のある日、「伊都子」は「片倉ひかり」と名乗る女から「子供を返してください。厭ならお金をください」との電話を 受け取るのでした。

実写化された映画を観ていませんので、原作に忠実な構成なのかどうか分かりませんが、読んでいて原作の「片倉ひかり」の過去から現在までの描写は必然性がよく理解できませんでした。中学生で妊娠する過程、その後の人生の苦労など不要に思える描写に疑問を感じながら、読み終えました。なお。この文庫本の解説文は、<河瀬直美>が執筆しています。
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