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前作)『新任刑事(上)』に続く)『新任刑事(下)』ですが、読み終わって、「これはすごい」と唸ってしまう、結末と秀逸な構成の刑事物としての物語でした。
やや冗長的な刑事としての細かい仕事内容のてじゅんや描写、しかも作成される各種作成書類がそのものの体裁として、文中に綴じられていた伏線、会社組織にたとえられてゆく警察組織の縦社会の意味合い、刑事としての観察眼の重要性、などが、見事に(下巻)に集約されています。
新任刑事の『原田貢」の面目躍如といった誰もが予想していなかったであろう予想外の結末で、交番所から彼を刑事として引き抜いた「土居」署長の見識等もさすがですが、帯に書かれているように。見事な警察署としての「職場小説」であり、新任刑事としての「成長小説」であり、「本格ミステリー」として楽しめ、伏線の見事さに二度読みしたくなるエンターティナメントでした。
本書は、テレビドラマ並びに映画の実写化が期待できる、刑事ミステリーで、ぜひ一読してほしいおすすめの出来ばえです。
刑事物好きとして、著者<古野まほろ>の 『パダム・パダム』 が面白く読めましたので、文庫にての新刊の広告を見て購入したのが、本書『新任刑事(上)・(下)』の2冊です。
冒頭の書き出しで、景観殺しの傷害致死の時効寸前の「渡辺美彌子」が登場しますので、ある程度の筋立てを予測しながら読み出しましたが、標題通り新任刑事「原田貢」の刑事としての捜査環境と警察組織の描写に徹した感じで(上巻)は費やされています。
愛予警察署の駅前交番勤務から、「土居」署長の抜擢で刑事捜査一課強行班に組み込まれた28歳の巡査長「原田貢」は、同期の「上内亜梨子」巡査部長のしたで、次々と舞い込む変死体や作成しなければならない膨大な書類作成に新人として奮闘していました。そんなおり、「原田貢」は、全国指名手配の逃亡犯「渡辺美彌子」に関するタレ込み電話を受けます。
「美彌子」に殺害されたのは愛予警察署の公安課長ということで、時効完成まで2カ月と迫った事件に愛予警察署として犯人確保は「土居」署長の至上命令でした。
上甲警部以下の強行班メンバーの執念の追跡が始まります。タレ込み電話を元に強行班はスナック「ルージュ」に勤務している人物が「渡辺美彌子」だと突き止め逮捕に向かうのですが、女に逃走されるところで(上)の347ページは終わります。
故<高峰秀子>(1924年3月27日~2010年12月28日)と、2009年、映画監督<松山善三>(1925年4月3日~2016年8月27日)・<高峰秀子>夫妻の養女となる作家<斎藤明美>による『高峰秀子 おしゃれの流儀』です
戦後日本初の国産カラー映画『カルメン故郷に帰る』(1951年・監督:木下恵介)や『二十四の瞳』(1954年・監督:木下恵介)・『浮雲』(1955年・監督:成瀬 巳喜男)など多くの映画に出演し、『巴里ひとりある記』(1953年・映画世界社)を初の著書として文筆家としても活躍した<高峰秀子>です。
没後10年を機に発行される本書では、彼女のクローゼットに残された着物、手袋、靴、ドレス、そして鏡台や愛車といった愛用品の数々が新たに撮り下ろされ、在りし日の写真とともに紹介されています。
巻末には、<高峰秀子>が手がけたおしゃれに関するエッセイ16編が収められています。
『海の見える理髪店』(2016年3月25日・集英社刊)で第155回直木三十五賞を受賞した<荻原浩>(63)の漫画家デビュー作品となる『人生がそんなにも美しいのなら 荻原浩漫画作品集』(集英社・1320円)が、24日に発売されています。
同作は、<荻原>氏が「漫画でしか描けなかった」と語る、センチメンタルで不可思議な世界を描いたもので、人生のほろ苦くも愛おしい一瞬から、日常の半歩先に広がるブラックで奇妙な世界までが、描かれています
「アマゾン川流域に流れ着いた瓶の中には、日本語で綴られた遥か遠い地からの手紙が入っていました」『大河の彼方より』。「93歳。病室で最期の時を迎えようとしている幸子のもとに、次々と懐かしい人々が訪れて」『人生がそんなにも美しいのなら』、「4月1日の午後1時にあの桜の木の下で会おう。幼なじみの二人が交わした約束の行方は」『あの日の桜の木の下で』など。 全8編が収録されています。
また、『この世界の片隅に』 著者である<こうの史代>氏と<荻原>さんの刊行記念対談が、『小説すばる』5月号(集英社より発売中)に抄録掲載、24日午前11時から、集英社文芸書公式サイト「レンザブロー」と集英社文芸公式noteに全文掲載されています。
映画プロデューサー、映画評論家として知られる元文部官僚<寺脇研>(67)が、アイドル映画にスポットライトを当てた書籍が『昭和アイドル映画の時代』です。
目次には「歌謡御三家の登場」「若大将・加山雄三の60年代」「酒井和歌子の時代」「百恵・友和の時代」「薬師丸ひろ子の時代」といった人気スターをピックアップした章や、「グループサウンズ映画の時代」「アイドル青春映画の衰退と劇画ブームの到来」「松竹青春路線の復活」「ジャニーズ映画の時代」といったジャンルに焦点を当てた章など、さまざまなテーマで構成されています。
<橋幸夫>(76)、<西郷輝彦>(73)、<加山雄三>(83)、<内藤洋子>(69)、<薬師丸ひろ子>(55)、<郷ひろみ>(64)、<山口百恵>(61)、<松田聖子>、<原田知世>(52)、<後藤久美子>(46)ら昭和の日本映画界を彩ってきた多くのスターやアイドルの名が登場し、映画での活躍が刻まれている584ページでした。
フランスの映画監督<フランソワ・トリュフォー>(88)の著作『ある映画の物語』(単行本1986年8月・草思社刊)が文庫本(1760円)となって再刊されています。翻訳は映画評論家の<山田宏一>が務めています。
本書は、『大人は判ってくれない』「1959年)・『突然炎のごとく』「1962年)・<トリュフォー>監督の最大のヒット作。 セザール賞主要十部門受賞。アカデミー外国語映画賞にノミネートされた『終電車』(1980年)などで知られ、ヌーヴェルヴァーグを代表する監督の1人である<フランソワ・トリュフォー>が、自作2作品を通して、映画という芸術形式の創造の秘密を赤裸々にかつ率直に綴った稀有な内容となっています。
本書ではディストピアSF『華氏451』(1966年)の撮影日記、映画作りの混乱する現場を描いた『映画に愛をこめて アメリカの夜』(1973年)のシナリオを通して<トリュフォー>の創作の秘密が明かされています。
俳優のわがままや技術上のトラブルなど、スケジュールに追い立てられる日々が多彩なエピソードで彩られています。
本書は、 第152回「2015年)直木賞を『サラバ!』で受賞した<西加奈子>のすでに発表されています短篇作品3篇に、加筆・修正して新たに文庫化(2020年3月11日刊)された一冊で、タイトルにもなっています、(1)『サムのこと』、(2)『猿に会う』、(3)『泣く女』が収録されています。
(1)『サムのこと』は、なぜ「サム」と呼んでいたのかもわからない「伊藤剛」を、26歳の男女5人が、交通事故で亡くなった「サム」の通夜に雨の日に出向く話です。ゲイの僕「有本」の目線で、「サム」との思い出が5人の仲間とのエピソードを絡ませ、「誰が死んでも。何が起こっても、日常は変わりない」人間関係を描いています。
(2)『猿に会う』は、中学1年生からの仲良し3人組の25歳のパラサイトシングル状態の日常を切り取り、日光東照宮の陽明門のパワースポットへ旅行する顛末を通して3人の友情関係の源を描いています。
(3)『泣く女』は、和歌山県の高校野球県大会も終わった「ノリオ」が、同じ野球部の幼馴染の「堀田」と、卒業記念に、太宰治に憧れている作家志望の「堀田」の提案で太宰の足跡を追うべく青森県に旅行に出かけます。
ダダイズムに憧れる「堀田」だけに、海辺で「泣いている女」を見かけ、太宰のごとき小説を夢見て希望に溢れます。
どの作品も、昔からの友情関係を基盤に描かれており、人生の節目にふと相手に感じる「何か」を機微にとらえた短篇だと感じました。
ちなみに、『猿に会う』は、動画配信サービス「dTVドラマ」として「乃木坂46」4期生が出演、4月10日(金)より全4話として配信されています。
グラフィックデザイナー<小笠原正勝>(1942年・東京生まれ)の仕事に焦点を当てた書籍『映画と演劇 ポスターデザインワークの50年 知られざる仕事師の全仕事』が、誠文堂新光社より4月8日に発売されています。
映画本編はもちろんのこと、関連するビジュアルとしての「映画ポスター」は、広告媒体として、また美術作品としても重要な役割を担っています。
本書はドイツの<ヴィム・ヴェンダース>監督、フランスの<ジャン=リュック・ゴダール >監督、ソ連の<アンドレイ・タルコフスキー>監督をはじめ、『ツィゴイネルワイゼン』(1980年・監督:鈴木清順)・『悲情城市』(1990年・監督:ホウ・シャオシェン(侯 孝賢))などのポスターを手がけたほか、<市川崑>『股旅』(1973年)によりカンヌ国際映画祭の第1回ポスターコンクールでグランプリを受賞している<小笠原正勝>の仕事をまとめています。
「映画ポスターの魅力 グラフィック・デザイナー小笠原正勝展」と題した特別展示が2019年11月16日(土)~2020年2月16日(日)まで静岡県浜松市中区「木下惠介記念館」(旧浜松銀行協会)が開催されたばかりですが、本書では、約500点のポスターを会社やジャンル、国別に掲載。制作にまつわるエピソードや、国立映画アーカイブの主任研究員・岡田秀則による特別寄稿など、全320ページで構成されています。
本書は、前作 『スケープゴート』 の続編にあたります。前作では、経済の立て直しにと民間人から金融大臣に就任した主人公<美沙希皓子>が、日本初の女性総理として就任するところで終わり、その後の手腕がたのしみでしたが、就任後の活躍が描かれたのが、本書『大暴落 ガラ 内閣総理大臣 三崎皓子』(2020年3月25日・中公文庫刊)です。「ガラ」とは、株価格の大暴落を指す業界用語として用いられています。
総理大臣就任と同時に、娘の「麻由」の所在が不明、同じ明正党の古手議員から組閣に対して横槍が入り任命が遅れる状況の中、関東地方をめがけて台風が2個接近、荒川が氾濫して東京都が水没する状況が迫り、<三崎>は、「災害緊急事態宣言」を発令しますが。好天気の東京ということもあり、危機感が伝わりません。
そんなおり、海外では円売りが進み日本銀行の信用失墜いう情勢の中で、20年利付国債の入札日を迎えようとしていました。
未曾有の水害対策、金融危機を総理の<三崎>の手腕が見どころとなる内容で、元債権ディーラーの経歴が生かされた構成に全507ページ、面白く読み切りました。国の危機管理、現在の新型コロナウイルス対策にも通じるところがありました。
新潮社は8日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、人気に火が付いたノーベル文学賞(1957年)受賞作家<アルベール・カミュ>(1913年11月7日~1960年1月4日)の長編小説『ペスト』(新潮文庫)の発行部数が、100万部を突破したと発表しています。
新潮社によりますと『ペスト』は、1947年にフランスで発表。ペスト感染の拡大防止のため封鎖されたアルジェリアの港町で闘う医師らを描いています。
新潮文庫版は1969年(昭和44年)刊行。最近は毎年5千部ほど増刷していましたが、今年は国内に感染が広がった2月以降に計7回、15万4千部を増刷し、累計約104万部となっています。
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