Search Bloguru posts

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://en.bloguru.com/falcon
  • Hashtag "#読書" returned 1770 results.

今年の読書(70)『さわらびの譜』葉室麟(角川文庫)

thread
今年の読書(70)『さわらびの...
今年最後の読書記は、<葉室麟>(1951年1月25日~ 2017年12月23日)の時代小説『さわらびの譜』(文庫本2015年12月25日発行)で締めくくりです。2011年に 『秋月記』 を読んで以来著者の作品は遠のいていましたが、今年は 『川あかり』 ・ 『紫匂う』 ・ 『花や散るらん』 ・ 『柚子の花咲く』 ・ 『冬姫』 と続き本書で6冊目になります。

主人公は扇野藩有川家の長女「伊也」18歳で、6歳の時から父「有川将左衛門」から日置流雪荷派の弓の指導を受け「弓矢小町」と謳われる藩内屈指の弓上手です。

八幡神社において弓を競いますが大和流の「樋口清四郎」に敗けますが、彼に惹かれる「伊也」でしたが、流派が違うということが大きく響き、2歳下の妹の「初音」に「樋口」からの縁談が持ち込まれます。

「樋口清四郎」から弓の指導を受けた際、「伊也」はあらぬ噂を立てられ、藩主「晴家」の不興を買い、「清四郎」は謹慎処分を受けてしまいますが、その汚名をそそぐため、「伊也」は「清四郎」と弓勝負で立ち合うことになります。

片や「有川家」には「新納左近」なる武士が身を寄せていて、藩主の腹違いの兄になるのですが、扇野藩のくすぶる裏事情と絡め、<葉室>独特の武士道の世界と親子や姉妹の揺れる心の模様が描かれていきます。

高潔な弓道に対する志が、心に響く感動の世界が楽しめた一冊でした。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(69)『民王』池井戸潤(角川文庫)

thread
今年の読書(69)『民王』池井...
奥付の(令和元年10月25日初版発行)だけを見て、<池井戸潤>の最新作かと購入しました『民王』ですが、本書は2010年5月にポプラ社にて刊行、2012年6月に文藝春秋において文庫化され、2015年7月期にテレビ朝日系にてドラマ化されているのを、あとがきで知りました。

混迷する政局の中、前任総理が早々と辞任、熾烈な総裁選を勝ち抜いて内閣総理大臣に就任した与党民政党の政治家「武藤泰山」は、低迷にあえぐ支持率を上げようと意気込んだのも束の間、まさかの「事件」に巻き込まれてしまいます。

総理大臣の「武藤泰山」と、息子で大学生の「翔」の人格が国会答弁中に突然入れ替わってしまう出来事が発生。混乱を避けるため、周囲には秘密のまま互いの仕事や生活を入れ替わった状態で、秘書の「貝原」の協力を得て過ごすことになります。

「翔」は政治に全く興味がなく、ろくに漢字も読めないため首相として「貝原」の用意した国会答弁を読むのも苦労する状況で、国民に醜態をさらすことになります。一方「泰山」は、「翔」の就職活動で面接官と口論、大学の授業の代理出席で講師ともめて苦闘することになります。

政権交代を目論むアメリカ企業の陰謀で脳波をコントロールされていることが判明、直面する国家の危機はことなきを得ますが、「武藤泰山」は政治家を志した頃の初心を思い出すのでした。

読みながら<中山七里>の総理の身代わりとなる 『総理にされた男』 を思い出しておりました。内容的に似通っており、著者の作品としては、軽薄なコメディー作品で、読後感はよろしくありませんでした。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(68)『みかづき』森絵都(集英社文庫)

thread
今年の読書(68)『みかづき』...
文庫本の本書『みかづき』(2018年11月25日)は、第12回(2017年)中央公論文芸賞受賞作で、617ページという長編でしたが、戦後日本における教育の実態を背景とし長さを感じることなく読み終えれました。

1961年(昭和36年)、千葉県習志野市の小学校の用務員だった22歳の「大島吾郎」は、用務員室で私的な勉強会を始めていました。そこに来る児童のひとり、「赤坂蕗子」に「吾郎」は非凡なものを認めます。「蕗子」の母の「千明」は、家柄の違う文部官僚の男との間に設けた「蕗子」を、シングルマザーとして育てていました。「千明」は「吾郎」に対し、2人で補習塾を開くことを提案します。2人は結婚して近隣の八千代市に「八千代塾」を開き、着実に塾の経営を進めていきます。「吾郎」は教育者「ワシリー・スホムリンスキー」の評伝を書き、2人の間に娘(蘭・菜々美)も2人生まれ、「千明」の母の「頼子」も塾にくる子どもたちの相談役に勤めます。しかし、2人の塾経営をめぐる路線の対立が起き、「吾郎」は塾長を辞め家を出てしまいます。「千明」は塾を進学塾「千葉進塾」にし、津田沼駅前にも進出して、地域の有力な存在となっていきます。

「千明」の長女の「蕗子」は、母親とは離れ、一時期連絡も絶ち、塾の公私であった夫「上田」とともに秋田県に住み、公立学校の教員として、塾とは違う形での子どもたちとの触れ合いを追求します。次女の「蘭」は、塾の経営に関心をもつようになっていきます。三女の「菜々美」は親に反抗し、外国の学校に行くなど、子どもたちの世代はばらばらに歩みはじめます。

「蕗子」は夫の死後、二人の子供「一郎」と「杏」とともに実家に戻ります。「一郎」は就職がうまくいかずに、「蘭」が経営する配食サービスの会社「らんらん弁当」で配達を担当しますが、その途中で、貧困のために塾にも通えない子どもたちの存在を知り、そうした子ども向けの無料の学習塾を立ち上げます。その中で伴侶もみつけた「一郎」は、自分の中に流れる〈大島吾郎の血〉を自覚して、新しい人生の道を開拓しようとするのでした。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(67)『海よりも深く』矢口敦子(集英社文庫)

thread
今年の読書(67)『海よりも深...
これまでに様々な夫婦の、親子の、家族の愛を問い続けてきている<矢口敦子>の、文庫描き下ろしが、本書『海よりも深く』(2019年1月25日)です。

大学4年生の「佐藤真志歩」は、母親との関係をこじらせて、卒論で忙しいと言い訳をして冬休みに実家のある函館に帰省しませんでした。元日からカレー屋のアルバイトに出向き、店の前で迷子の少年「明」を見つけます。耳が聞こえないらしい少年が心配で、カレー屋の店長「柚木美咲」とかなり年上のボーイフレンド「尾崎宗二郎」たちと保護者探しに乗り出します。

身体に虐待を疑う痕跡を持つ少年を巡る事件が、「真志歩」が函館から東京の大学へと上京した背景、親に虐待された「明」や「宗二郎」の家庭環境やカレー店「華麗屋」を営む「柚木姉妹」たちの水害で行方不明の父親との関係などが明らかにされながら、それぞれの家族の深い闇を抉り出して描かれていきます。

最後は「宗二郎」と「明」の叔母「五味惠璃子」との現実的でない結末で終わりましたが、 家族のあり方と命の希望を描く心温まるミステリーでした。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(66)『珈琲店タレーランの事件簿6』岡崎琢磨(宝島社文庫)

thread
今年の読書(66)『珈琲店タレ...
本書は第1作 『珈琲店 タレーランの事件簿』 (2012年8月4日刊)に始まるシリーズとして第5作目の 『珈琲店 タレーランの事件簿5』 (2016年11月8日刊)に次ぐ『珈琲店 タレーランの事件簿6』(2919年11月21日刊)です。

「珈琲店 タレーラン」のバリスタであり、謎解きを趣味とする主人公「切間美星」の大叔父であり「珈琲店 タレーラン」のオーナーの「藻皮又次」が心臓病を患い入院してしまいます。すっかり弱気になった「又次」は、「美星」に4年前に亡くなった妻「千恵」が「又次」が割ったコーヒーカップに対して激怒し、一週間家を空けた7年前のことが気がかりで、その理由を「美星」に突き止めてほしいと依頼します。

「美星」は常連客の「アオヤマ」と様さを開始しますが、遺品の中から同年代の男性と写った写真を発見、浜松にて活動していた画家の「影井城」だと判明しますが、すでに死亡していました。写真に写った背景が天橋立だとわかり、現地へでむいていきますが・・・。

これまでの事件簿は短篇での構成でしたが、本作品はじっくりと謎解きが楽しめる一冊となっています。

最後に事件も解決して、「アオヤマ」が「美星」にプロポーズめいたところで終わるのですが、シリーズも本書で打ちきりかもしれません。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(65)『夜の署長2 密売者』安東能明(文春文庫)

thread
今年の読書(65)『夜の署長2...
前作『夜の署長』(2017年3月10日)に次ぐシリーズ2作目としての『夜の署長2 密売者』(2019年11月10日)です。

前作では、東大法学部を卒業してキャリアとして入庁した新人刑事<野上>が、新宿署に配属され、「夜の署長」と異名をとる「下妻晃」の下で刑事のイロハを教え込まれる構成でしたが、今回も、茨城の国立大学を卒業して警視庁に入って5カ月の三宅島出身の「ミヤ」こと「村上沙月」が拒食と欲望に溢れた新宿署に配属され、担当する事件4つが納められています

新人刑事として聞き込み捜査に従事しますが、「下妻」は報告を受けるだけで、事件の裏側に隠された真実を紐解き、事件を解決していきます。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(64)『あしたの君へ』柚木裕子(文春文庫)

thread
今年の読書(64)『あしたの君...
司法関連として、「刑事」や「弁護士」・<和久峻三>の法廷ミステリー小説『赤かぶ検事シリーズ』を代表とする「検事」を主人公とした小説は数多くありますが、<柚木裕子> の本書『あしたの君へ』(2019年11月10日)は、家庭裁判所の「家庭裁判所調査官」を主人公としています。

本書には5篇の家庭裁判所事件を扱った短篇が納められており、「カンポ」と呼ばれる研修中の「家庭裁判所調査官補」である法学部出身の22歳「望月大地」を主人公としています。

少年案件として、窃盗事件を起こした17歳の女子高生「鈴川友里」、ストーカー事件を起こした16歳の男子高校生「星野潤」、家事案件として、中学の同級生「理沙」の離婚話、子供の親権争いでもめている35歳の「朝井可南子」や「片岡朋美」などの研修案件を通して、<望月>の調査官としての成長が描かれています。

わたしも「民事調停委員」・「司法委員」として裁判所に出向いておりましたので、「家事調停委員」たちのが登場する場面などの描写や調査官としての仕事の世界に引き込まれ、面白く楽しめた一冊です。今後のシリーズ化に期待したいです。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(63)『銀婚式』篠田節子(新潮文庫)

thread
今年の読書(63)『銀婚式』篠...
<篠田節子>の作品として、今年は 『冬の光』 に次いで本書『銀婚式』(2017年1月1日)が2冊目となります。読みやすい文章と計算された構成に魅力を感じさせる作家のひとりです、

主人公「高澤修平」は、ニューヨークの東栄証券の現地法人で働いていたときに証券会社が破綻し、妻「由貴子」はニューヨーク暮らしに心身ともに対応できず、ある日息子を連れて突然帰国し、その後離婚。会社の残務整理を片付けて帰国してからは損保会社に転職します。ところがそれが代理店切りのリストラ担当職で心身ともに疲労困憊。「鬱」と診断され、そこも辞めて3度目の職は仙台にある新設大学の金融論担当の講師に就職。もっともその大学も学閥争いや、講義以外の雑務、質の悪い学生対応で安住の地ではなく、「高澤」はずっと振りまわされるますが、ひとりの若い学部長の秘書「鷹左右恵美」に心ときめかせ、再婚を考えるのですが、息子「翔」の浪人問題等で立ち消えてしまいます。

そういう仕事の日常がひたすらリアルに語られていきます。責任感ある普通のビジネスマンが「男の本文は仕事だ」の信念の元、バブル崩壊後の現実を<高澤>がどう生きていったのかが詳細に描かれていきます。

タイトルの「銀婚式」は、普通に言えば、結婚25周年の記念日だけに、夫婦の絆や人生が描かれているのかと思わせますが、物語の初めに主人公は離婚していますので、読者は物語の展開に戸惑いを憶えながら読み進めることになります。

日常の仕事の日々だけではなく、息子が成長していくと、受験の問題が出てくる。妻とは離婚したとはいえ、「高澤」が父親であることに変わりはなく、その都度相談に応じなければならない。認知症の義母の介護も、その家に息子が一緒に暮らしているかぎり息子と無縁ではないないから、それも重要な問題だす。つまり、ここにあるのは私たちの生活そのものです。私たちの人生の現実です。だから、この物語にどんどん引き込まれていきます。

文中に「銀婚式」という言葉が2回出てきますが、著者らしい場面での登場に、「にやり」とさせられ、タイトルの意味合いに納得させられました。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(62)『誤算』松下麻理緒(角川文庫)

thread
今年の読書(62)『誤算』松下...
著者の<松下 麻理緒>は、東京都生まれと福岡県生まれの女性2人による共同ペンネームです。東京女子大学心理学科を同期で卒業。2007年(平成19年)、本書『誤算』で第27回横溝正史ミステリ大賞・テレビ東京賞を受賞しています。受賞時は56歳でした。

主人公の看護師「川村奈緒」が勤務する病院にバイク事故で入院してきた3歳年下の男「敏也」と結婚したのはいいのですが、ヒモ的男で借金のために全財産を失った35歳の「奈緒」は、離婚して病院を辞め、76歳の大資産家「鬼沢丈太郎」の個人看護業務を住み込みで始めます。

「鬼沢」の娘二人は、莫大な財産を早く手に入れたいと考えているばかりで、「奈緒」の看病のおかげで、「鬼沢」は元気になっていきます。

そんななか2号の息子「西山恵太」が、欲に絡んだ娘たちに対抗して「奈緒」に「鬼沢」との結婚話を持ち掛け、遺産の山分け話を計画するのですが。

「結婚」という法的行為をうまく絡め、お金に絡む愛憎劇を描いています。何が「誤算」なのかは、読後にじわじわとしみてくる一冊でした。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(61)『錯迷』堂場瞬一(小学館文庫)

thread
今年の読書(61)『錯迷』堂場...
<堂場瞬一>の作品として(60) 『ラストコード』 に続き今月4冊目となる『錯迷』「2019年10月9日発行)です。

神奈川県警捜査一課生え抜きのエリート46歳<萩原哲郎>警視に突然、鎌倉南署に署長としての移動命令が出されました。前任者の女性署長<桜庭里佳子>が「心不全」という突然死でなくなり、報告等の経過が不自然で、自殺ではないかという噂もあり、<萩原>に潜入捜査が任されます。

突然の署長職、協力者もいない孤立無援の中、<萩原>は署員たちに秘密裏に捜査を進めますが、刑事課の新人刑事<尾崎夏見>が面会を求めてきますが、肝心の話は聞き出せません。

そんな折、管内で殺人事件が発生。それは、5年前に管内で憩った未解決事件へとつながっていき、<桜庭>所長の自殺の原因へと関連していきます

詠みなれた読者は、途中で殺人犯の予測ができるのですが、正義を貫く警察署内において、隠蔽された事実とは何か、所長という組織トップの孤独と葛藤、警察組織による肩書について回る人間関係が楽しめた一冊でした。

新人の<小関夏美>刑事が、鎌倉南署の再生に希望を持たせるエンディングで、またどこかの作品で登場してくる人物だと堂場ファンとしては予測しています。
#ブログ #文庫本 #読書

People Who Wowed This Post

  • If you are a bloguru member, please login.
    Login
  • If you are not a bloguru member, you may request a free account here:
    Request Account
Happy
Sad
Surprise