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主人公は、売れないタレントとして『ちょびっ旅』のレポーターとして活躍している「おかえり」こと<丘えりか>32歳で、社長の<萬鉄壁>と元アイドルで経理担当の<のんの>3人の弱小プロダクションに所属しています。
ある日スポンサーである「エゾソース」の名称を「エドソース」と言い間違えたことが原因で、番組を打ち切られてしまいます。
ある日電車内で鞄を忘れた<えりか>は、華道流家元の一人娘が不治の病に陥り、その娘<真与>の代わりに、角館のしだれ桜の取材に出向く仕事が舞い込み、旅好きな性格も相まって<真与>の意図を組んだ現地レポートに出かけていきます。
それ以降『旅屋』として、様々な理由で自ら出向けない人たちに変わって現地に出向き夢をかなえる仕事も順調に進んでいた矢先、「エドソース」の会長<江田悦子>から『ちょびっ旅』の番組再会を条件に、彼女の姪が住む愛媛県の内子町に出向く仕事が舞い込むのですが、姪は<萬>社長のもと別れた女房でもありました。
『旅屋』としての仕事の二話が納められていますが、旅を通して、人生の喜怒哀楽や家族の絆を結ぶ軽妙な台詞に、ホロットさせられる場面が多々ある旅物語でした。
主人公は16歳の高生生<仲石七果>で、希望高校に入学できずに、父の知人の紹介で入学した女子高でクラスメーツから「いじめ」を受けていますが、持ち前のプライドと自尊心のために阪関することなく過ごしています。
そんな<七果>は、バンドグループ<シェーン>のボーカル<和人>のファンでしたが彼の婚約発表があり、夏休みを利用して全国ツアーを巡ろうと考えます。
そんな旅に、テレビ局の追っかけで知り合った<ユリー>ファンの男子高校生<畑野葉>と<七果>は、まずは名古屋のコンサートを目指して自転車で旅立ちます。
<七果>はいじめグループから、夏休みに実行する「天国ゆきカレンダー」を渡され、最後の8月31日には自殺する予定を考えていましたが、旅の最後に<畑野>が、父親と妹を殺そうとしたことにより逮捕、<七果>は彼の母親を疑い始めます。
夏休みの<七果>と<畑野>の全国を巡る行動を通して、揺れる16歳の心の機微がうまく描かれており、大人と成長してゆく青春ミステリーとして楽しめました。
主人公<門川誠一>は、映画監督にあこがれ故郷を飛び出し、今はアパートの管理会社でアルバイトをしている29歳です。
ある日管理しているアパートに住む84歳の住人<帯川>が、孤独死で亡くなっているのを発見してしまいます。
遺体も引き取り手がいないということで遺品の整理をする<門川>ですが、映画雑誌や8ミリフィルムを発見、撮影されていたのはリヤカーを曳く行商の女性の笑顔でした。
<門川>は残された8ミリフィルムに興味を持ち、残された大学ノートに書かれたメモを頼りに独居老人の<帯川>の人生を調べてゆく過程で、戦争にまつわる隠された出来事にたどり着いていきます。
戦争という悲劇がもたらした一人の男の生き様が見事に描かれ、また<門川>の純粋な探究心と相まって、重く暗い話題になりがちな物語でしたが、最後は明るい希望が見える「エンドロール」で落ち着き、ほっとさせられる一冊でした。
美人獣医<柳まこと>の依頼で、世間を賑わした「世田谷猫屋敷事件」を解決した弁護士の<百瀬太郎>は、それ以降「猫弁」と呼ばれ有名になりますが、日本最大手の弁護士事務所「ウェルカムオフィス」を解雇になり、自分で弁護士事務所を開きますが依頼はなぜかペット関係です。
今回は大女優の<白川ルウルウ>から、家の中で飼っている猫が妊娠している真相を確かめ、相手に損害賠償を求めたいという依頼があり、<百瀬>は調査を始めていきます。
<柳まこと>の動物病院には、いらなくなったからと「ビルマニシキヘビ」が持ち込まれ、また車ではねてしまったというトラック運転手が灰色の猫を運び込んできたりしますが、ひとつひとつの出来事が物語全体の伏線になっており、最後にぴたりと納まる構成は見事でした。
<百瀬>の所員<野呂>の過去が、これまた大女優<白川>とクロスし、独身の<野呂>が結婚指輪をしていた秘密が、ほろ苦く心に残りました。
有名私立中学・高校「理奏館」では、「家柄・経済力・学力・運動神経・容姿・人望」等を鑑みて「クイーン」が選ばれ、二番手は「プリンセス」と呼ばれていました。
常に「クイーン」の座を保っていた<亜也子>は、二番手の<志穂>とライバルでありながら仲良く学生時代を過ごしていました。
東京に出てキャリアウーマンとして敏腕を発揮していた<亜也子>は子供は不要と考えていたのですが、ある日妊娠してしまい、産休生活の立場に追いやられてしまいます。
産院で知り合った<麻由>は、ママ友として常に自分がトップでいないと気が済まない性格で、<亜也子>は会合に参加するのをためらっているときに<時枝>が常に庇ってくれ、信頼を寄せていきます。
本書は<亜也子>の現在と、「理奏館」に通う<カツキ>という中学3年生の物語が並行に描かれ、銀行の儲け話を信じた父が借金で自殺、母親もすたれた生活で自動車事故で無くなる物語が伏線なり、読者をおもわぬ方向に導いていきます。
読み終り、数々の女性が登場してきますが、どの人物が人間として悪意に満ちているのか、考えさせられる一冊でした。
本書は<大崎梢>さんのリクエストに応えてまとめられたアンソロジーとして、10名の作家<飛鳥井千砂>・<有栖川有栖>・<乾ルカ>・<大崎梢>・<門井慶喜>・<坂本司>・<似鳥鶏>・<誉田哲也>・<宮下奈都>・<吉野万里子>が本屋さんに関連する短篇を執筆されています。
編集者の<大崎梢>さんは、もと書店員という経験を生かして作家活動に入られ、デビュー作の 『配達あかずきん』 をはじめ、『平台がおまちかね』 などの書店を舞台にした小説が多々あります。
新刊書店は商業ビル内や空港、駅近などにありますが、それぞれの人間模様のドラマが展開して、面白く読めました。
特に<誉田哲也>は、刑事になる前の <姫川玲子> を登場させるなど、<姫川>ファンの心理をついたどんでん返しの作品が気に入りました。
第32回新田次郎文学賞(2013年)を受賞している本書ですが、多彩な登場人物を見事にまとめ、全476ページは圧巻でした。
治安2(1022)年法成寺金堂・五大堂の造仏の功績により、仏師として初めて「法橋」になった<定朝>の伝記小説ですが、<藤原道長>の時代を背景に、<定朝>16歳から天喜5年8月1日に52歳で没するまでが描かれています。
タイトルの『満つる月の如し』は、天喜2(1054)年に造仏した京都西院の丈六阿弥陀如来坐像が当時の公家たちを魅了し、「尊容満月の如し」と称賛されたことに由来しています。
平安時代の殺伐とした都を舞台に、<藤原道長>一族の権力争いを中心に据え、<定朝>の御仏に対する心の変化を機微に描き、また<定朝>の後見人として登場する比叡山内供奉の僧侶<隆範>もいい脇役として描かれていました。
<警視庁迷宮捜査班>シリーズとして、 『内偵』 に次ぐ4冊目になります。
それぞれ個性があるはみ出し者の刑事4人のために、窓際族として設置された部署ですが、通常の捜査でない方法でお宮入りの事件を解決していきます。
今回は2年3か月前に発生した猛毒「クラーレ」を塗った傘の先で足を刺され死亡した事件の再調査を命じられ、被害者<牧慎也>は当時発生したパチンコ店の現金強奪事件の誤認逮捕の過去がありました。
<能塚>分室長の命で<尾津>は相棒の<白戸>と再調査に乗り出しますが、当時誤認逮捕の指揮を執り、今は中古重機を販売している<林葉>元刑事課長の名前が浮上、会社を興す資本金の出どころに焦点があてられていきます。
著者の小説らしく警察の符牒が散りばめられ、女好きの<尾津>が一目ぼれした伝説美人SPである<深町杏奈>との男女関係が結末に生かされる構成で、面白く読み終えました。
主人公は、汐留にある『スマ・リサーチ社』の対探偵課に勤める21歳の<紗崎玲奈>です。
「対探偵課」とは、よく言えば探偵の自浄を求め、悪く言えば探偵業法に抵触する悪徳業者を潰すために、<須磨康臣>所長が暗い過去を持つ<玲奈>のために設けた部署です。
4年前に<玲奈>は妹<咲良>を犯罪が絡む事故で亡くしていますが、原因は「死神」と名付けている悪徳探偵のストーカー的な調査のためでした。
今回は妻に逃げられたDVの夫やストーカーを相手の商売をしている探偵の<堤暢男>と接触するうちに、「野放図」という半グレ集団の拉致事件に巻き込まれ、持ち前のタフさと博識な知識で妹の敵である「死神」の名前までたどり着きます。
拉致事件に関連して、正義感が強い<窪塚悠馬>警部補が殉職する場面もありましたが、スピード感のある文体、最後まで一気に読み終えれました。
最後のページに、<死神との決着『探偵の探偵Ⅲ』2015年3月13日発売>と書かれてあり、奇しくも本日なのに驚いてしまいました。
主な登場人物は、浅草の老舗呉服店の一人娘<結城麻子>と2歳年上の夫<誠司>夫婦と、京都の葬儀屋を営む婿養子の<桐谷正隆>と妻<千桜>夫婦です。
<麻子>は父<宗助>が病気になり30歳半ばで呉服店の『浅草ゆうき』を継ぐために会社を退社、祖母の残してくれたアンティーク着物を商売とする『遊鬼』を開店させます。
<麻子>は時代物の着物を買い取るべく<正隆>と知り合いますが、妻<千桜>とは違った女の性を感じ取った<正隆>は強引にもホテルの部屋に<麻子>を連れ込みます。
片や<誠司>は、ほの暗い過去の性癖を持つ<千桜>に初めて性の快楽を感じ取り、底深い官能の世界におぼれていきます。
4人が4人ともお互いに納得しての関係ならば、単なる夫婦交換の三文小説に終わるのですが、<麻子>一人が4人の関係を知ることなく、軽くなりがちな不倫小説に一抹の未来を感じさせる役割が光っていました。
<麻子>の祖母<トキ江>がいい脇役として登場、着物の衣装や作法、京都らしく貴船神社や安倍清明などの話題も散りばめられ、泥沼になりがちな男女間の心の機微の舞台として、うまく登場させていました。
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