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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(11)『護られなかった者たちへ』中山千里(宝島社文庫)

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今年の読書(11)『護られなか...
本書は、2021年10月1日より公開されました<瀬々敬久>監督の『護られなかった者たちへ』の原作で、2018年1月にNHK出版により単行本が刊行され、加筆修正のうえ2021年8月4日に文庫本として発売されています。

仙台市内で誰もが口を揃えて「人格者」だと言う、仙台市の福祉保険事務所課長「三雲忠勝」が、身体を拘束された餓死死体で発見されます。周辺捜査では「三雲」は誰からも恨みを買うような人物ではなく、怨恨が理由とは考えにくく、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げてしまいますが、県警捜査一課の刑事「笘篠誠一郎」は、残酷な殺害方法から怨恨の線が捨てきれません。

続いて、人格者とまで言われている県会議員の「城之内猛瑠」が連続して「餓死死体」として発見されます。捜査の過程で「三雲」と「城之内」は塩釜福祉事務所での同僚だったことが判明、その過程で事件の数日前に、塩画家福祉事務所で暴行事件を起こし事務所に放火した「利根勝久」が仮出所しているのが分かります。

「笘篠」は必要に「利根」の周辺を捜査していきますが、殺害された上司の「上崎」が次なる標的だとにらみ、「利根」を追い詰めていきます。

生活保護問題に絡めたリアルな現実問題の社会福祉と人々の正義感が交差したときに見えるものは何か、著者<中山千里>の巧みな構成に、思わず「あっ!!」と真犯人が浮かび上がる文章の巧みさと、伏線の巧みさにも驚く一冊でした。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(9)『神林先生の浅草案内(未完)』神林桂一(プレジデント社)

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今年の読書(9)『神林先生の浅...
本書『神林先生の浅草案内(未完)』の著者<神林桂一>さんは、都立浅草高等学校の教員生活43年の国語教師で、食べ歩き、飲み歩き歴46年になるといいます。

<神林桂一>さんは、一元的な情報に頼らず、自転車でランチに繰り出しては新店開業の気配に敏感に反応し、酒場の店主や客との会話から生きたネタを仕入れ、実際に訪ねて、食べて、飲むことで、情報を蓄積していきます。

職場の若い先生や同僚たちに、浅草の深き食文化を知ってもらうべく、愛機のワープロ「文豪」のキーボードを叩き、わら半紙に刷り出した『ミニコミ』を発行。「ランキング」と謳ってはいるものの、載っているのは、自分の愛する偏愛店ばかりでどの店も違って、どの店もいいのです。

この本は、37号にわたって発行した『ミニコミ』より「浅草ランチ・ベスト100」「ひとり飲みの店ランキング」を元に、<神林桂>先生が足繁く通った店を、きれいな写真と共に紹介しています。

これからますます意欲的に飲んで、食べて、さらには情報発信を、と意気込んでいた矢先、神林先生は突然、この世を去りました。「あとがき」は、奥様が書かれています。
『神林先生の浅草案内(未完)』は、更新されることのない途中経過の記録であり、店へのラブレターであり、浅草の食文化が垣間見られる教科書の一遍であり、観光客の知らない浅草を知る案内でもあります。
#グルメ #ブログ #単行本 #読書

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今年の読書(8)『稼ぎ屋稼業』南英男(実業之日本社文庫)

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今年の読書(8)『稼ぎ屋稼業』...
著者<南英男>の作品としては、刑事を主人公とした作品を多く読んできていますが、本書『稼ぎ屋稼業』は、38歳にして着ぐるみ役者の「成瀬和樹」と72歳のゴーストライター「磯村暁」のふたりが織りなす裏稼業のクライムサスペンスとして、2002年7月に刊行され、2021年12月15日に本書の文庫本として発売されています。

元スタントマンでけがのため着ぐるみ役者をしている「成瀬」は、怪獣映画の撮影で監督と喧嘩し降板、恋人「響子」にも見放されます。同じくゴーストライターの「磯村」もトラブルで仕事を干されていました。

そんな失意の二人に便利屋の元刑事の「片岡」が、デリヘルをしていた娘「麻美」の盗撮動画を取り返してほしいという会社社長「矢吹」からの探偵仕事を持ちかけられます。

「矢吹」は、娘の盗撮動画をネタに恐喝を受けているということで、脅迫者の特定と動画データの回収を依頼され、「成瀬」と「磯村」は調査を始めますが、思わぬトラブルがふたりを巻き込んでいきます。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(7)『鬼嵐』仙川環(小学館文庫)

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今年の読書(7)『鬼嵐』仙川環...
『感染』で第1回小学館文庫小説賞を受賞し、医療ミステリーの第一人者として、『治験』『細胞異植』などを詠んできています<仙川環>の『鬼嵐』です。2018年に単行本として刊行され、2021年12月12日に文庫本として発行されています。

女医の「及川夏未」は、東京の大学病院での感染症研究者生活の軋轢から挫折し、北関東の父が経営するクリニックがある地元に戻ります。過疎化が進み、農業では外国人労働者の増加が目立つ地元では、町おこしの目玉にと、中国産の羊(シャオヤンカイ)を地元産の食肉として商品化しようとする動きが進んでいました。

そんな中、クリニックの患者や看護師が出血を伴う謎の感染死が連続して起こります。

感染病の疑いを感じた「夏未」独自に調査を始めるのですが、他県でも発病が確認され、先輩医師の「友永雄介」が国の調査チームの代表になり、「夏未」は助手としてチームに参加することになりますが、調査は思うように進まず妨害する出来事が次々に起こります。

感染源は何か、そしてその裏側には何があるのか。読み応え満載の社会派医療ミステリーとして最後まで面白く読めた一冊でした。
#ブログ #文庫本 #読書

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神戸ご当地(1404)今年の読書(6)『スマバレイの錆びれた時計塔』ゴンドーマサキ(石田絵本)

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神戸舞台にした絵本『スマバレイの錆びれた時計塔』(原作:<ゴンドーマサキ>・挿し絵:<hare>)が、1月26日より一般発売されています

絵本は、神戸の須磨・塩屋エリアをモデルにした小さな架空の町「スマバレイ」を舞台としています。町の象徴ともいえる時計塔は、時代の移り変わりとともに厄介なものになっていました。「時計塔の取り壊し」を主導する父親を誇らしく思う主人公の「ケイト」でしたが、クラスメイトの「ジェニファー」から時計塔が心の支えになっている人たちの存在に気付かされます。しかし、予定通りに時計塔は撤去され、「スマバレイ」から鐘の音が消え、ひとりの老婆が亡くなったことで、「ケイト」はクラスメイトたちと共に時計塔の代わりに「時を知らせる行動」を決行します。

ライターやコンテンツディレクターとして活動する神戸出身の<ゴンドーマサキ>さんが、2018(平成30)年に書いた短編小説を原作としています。挿絵はイラストレーターの<hare>さんが担当しています。

絵本の製作費は昨年9月からクラウドファンディングで支援者を集め、1カ月間で目標額の195%を達成しました。「絵本の世界に看板を出せる券」が完売するなど、販売前から関心があつまっていた絵本です。

「神戸カレー食堂 ラージクマール」(兵庫県神戸市中央区北長狭通3丁目2-16・月曜定休日)では、絵本に登場する「ヴィオラのカレー」を再現。現在店内の壁面を利用した原画展が、2月18日(金)まで開催されています。
#ブログ #絵本 #読書

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今年の読書(5)『ゆうれい居酒屋』山口恵以子(文春文庫)

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今年の読書(5)『ゆうれい居酒...
呑み助さんとしては「居酒屋」というタイトルで手にしました<山口恵以子>の『ゆうれい居酒屋』です。文庫書下ろしとして、2021年12月10日に発行されています。

著者の<山口恵以子>さんは、44歳のときに丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務(役職は調理主任)。新鷹会会員となり小説を書き、2007年、50歳のときに『邪剣始末』で作家デビュー。2013年『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞しています。調理経験を活かし『婚活食堂』シリーズや『食堂のおばちゃん』シリーズなどの人気グルメシリーズがあります。

本書は、新小岩井駅南側の商店街の路地裏にある居酒屋「米屋(よねや)」を舞台としています。10年前に釣り好きの夫を亡くした後、女将の「米田秋穗」が一人で守ってきたカウンター七席の小さな居酒屋に、赤ちょうちんに惹かれて悩めるお客がやってきますが、「秋穗」の簡単な作り置きの総菜を味わいながら、女将さんとの会話を通して、偉大な料理人を父に持つ若者、女優として壁に当たっている女性、大学の研究室の師弟関係で悩む研究生、グルメレポーターの将来性に悩むタレントなど、食べて飲みながらに悩み事を解決してゆく短編が5話収められています。

彼らが後日お店に出向きますとその場所には「米屋」は見当たらず、近くのお店に入り尋ねると、「米屋」は30年前に女将さんがなくなってお店を閉めたことを知らされます。

小説のあとには、お店で文中に登場した簡単な肴のレシピが掲載されています。

赤ちょうちんファンの私には、ほのぼのとした居酒屋の雰囲気がよく伝わり、東京系らしく「ホッピー」などが登場し、面白く読み終えました。他のグルメシリーズと同様に続編を期待しています。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(4)『約束』葉室麟(文春文庫)

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今年の読書(4)『約束』葉室麟...
著者<葉室麟>(1951年〈昭和26年〉1月25日~2017年〈平成29年〉12月23日)ということで亡くなられていますが、没後の2020年秋に署名入りの原稿が発見された青春歴史小説『約束』です。2021年12月10日に文庫本として発売されています。

敗者や弱者の視点を大切にした武士や農民の生きざまを丁寧に描く<葉室麟>の作品は大好きで、「今年の読書」でも数多く取り上げてきています。本書『約束』は江戸時代を離れ、明治維新当初の明治6年(1873年)を舞台に繰り広げられていきます。

現代の高校生男女4人が雷に打たれ、その拍子に意識が時を飛び、明治6年に生きる青年たちの身体に入り込みます。明治人と現代人の二つの意識を持つ若者らは、「西郷隆盛」、「大久保利通」、「勝海舟」など明治維新の立役者たちの身辺に仕えながら、否応なく歴史のうねりに飲み込まれ、やがて西南戦争が起ころうとしていました。

日本近代史としての曙の時期の主要人物たちの考え方や行動が、征韓論から西南戦争に至る経緯を軸とした史実に沿いながら描かれ、過去の歴史を知る若者たちを関与させながらの構成、面白く読み進めました。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(3)『韓国カルチャー』伊東順子(集英社新書)

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今年の読書(3)『韓国カルチャ...
著者<伊東順子>には、『韓国 現地からの報告』(ちくま新書)、『もう日本を気にしなくなった韓国人』(洋泉社新書)、『ピビンバの国の女性たち』(講談社文庫)などの著書があり、2017年に「韓国を語らい・味わい・楽しむ雑誌『中くらいの友だちー韓くに手帖』」(皓星社)を創刊しています。

本書では、近年話題となった映画、ドラマ、小説などを通じて韓国のリアルな姿を論じています。韓国人にとっての「パワーワード」である「ヒョン(兄)」の意味、一般富裕層とは違う財閥の役割、挨拶代わりの「ごはんを食べましたか?」という問いかけなど、さまざまな文化を掘り下げています。

登場する作品は、映画化もされた小説『82年生まれ、キム・ジヨン』や、映画『南部軍~愛と幻想のパルチザン~』『ミナリ』『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』『パラサイト 半地下の家族』、ドラマ『サイコだけど大丈夫』・『愛の不時着』・『梨泰院クラス』・『Mine』・『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』・『賢い医師生活』、小説『もう死んでいる十二人の女たちと』・『こびとが打ち上げた小さなボール』・『野蛮なアリスさん』などが取り上げられています。

「キム・ジヨンはなぜ秋夕の日に憑依したか?」・「性的マイノリティと梨泰院」・「『ミナリ』は『パラサイト』とは真逆の映画かもしれない」といったテーマを、解説しています。

思想家の<内田樹>は「映画やドラマを見て、そこそこ隣国のことをわかった気持ちになっていたけれど、この本は韓国のほんとうにわかりにくいところ、『字幕にできない』ことをていねいに教えてくれる」と帯に推薦分を寄せています。
#ブログ #新書 #映画 #読書

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今年の読書(2)『夢の島』大沢在昌(集英社)

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今年の読書(2)『夢の島』大沢...
本書『夢の島』は1999年9月に双葉社から単行本が刊行され、双葉文庫・講談社文庫を経て、2021年11月25日565ページと厚みのある集英社文庫として発売されています。

母と離婚して24年間音信不通だった父が亡くなったとのその知らせを受け、駆け出しのカメラマン「絹田信一」は、父「洋介」の最後をみとってくれた静岡県三島市に住む女性「早坂妙子」のもとに出向き、画家だった父の形見として描き掛けの油絵を一枚を持ち帰ります。

すると、急にプロダクションから大きな仕事の依頼が舞い込んできます。さらに、ヤクザに脅され、"父の友人"だという男から妙な連絡があり、どうやら父が残した「絵」に描かれた「島」には莫大な「遺産」の鍵が隠されていることが判明してきます。

そんなおり、友人の「鯉丸」のゲイバーで知り合った「杉並」が麻薬Gメンだとわかり、彼の協力で「島」の宝物は、昔「アイランドスティック」と呼ばれた上質の大麻だとわかります。

「慎一」は、父の遺産を焼き払うべく、単身「夢の島」へ向かいますが、「島」では思わぬどんでん返しが待ち受けていました。

本書が『小説推理』に連載されました1998年は、<小渕恵三>による内閣が発足し、孤独死が社会問題となり、金融機関に対する「モラル・ハザード」議論やイラクで発生した武装グループによる日本人人質事件発生による「自己責任」論が課題として取り上げられていました。また、長野オリンピックが開催され、和歌山毒物カレー事件が発生し、明石海峡大橋が開通しました。夏の甲子園高校野球決勝戦で横浜高校の<松坂大輔>がノーヒットノーラン達成し、「ハマの大魔神」こと<佐々木主浩>投手が活躍した横浜ベイスターズが38年ぶりにリーグ優勝と日本一に輝いた年でした。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(1)『蟻の棲み家』望月諒子(新潮文庫)

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今年の読書(1)『蟻の棲み家』...
著者<望月諒子>さんの『蟻の棲み家』は、神戸市西区に在住と知り始めて手にしました著作です。2018年12月21日に単行本が刊行、2021年11月1日に文庫本が発売されています。銀行勤務を経て、学習塾を経営。2001年、『神の手』を電子出版で刊行し作家デビュー。2010年、ゴッホの「医師ガシェの肖像」を題材にした美術ミステリー『大絵画展』で第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞されています。

本書は、フリーランスの記者「木部美智子」を主人公としたシリーズの5作目になるようですが、それぞれ独立した作品のようで、過去とつながる部分の関連はなく楽しめました。記事を寄稿している『サイエンス』のメンバーや登場する刑事が前作に関連しているように思えるだけでした。

二人の女が別の場所で、連続して銃殺されているのが発見されます。どちらも、身体を売り怠惰な生活を送る母親でした。マスコミが被害者への同情を声高に語る中、フリーの記者「木部美智子」は食品工場の弁当クレーム事件を地道に追っていましたが、誘拐事件が発生、連続女性殺人事件へとつながり、事件を追います。

医者の息子で表の顔として「貧困撲滅NPO」で動いている慶応大生「長谷川翼」と、母親が売春婦の家庭で育った「吉沢末男」、「翼」に助けられたと思われる21歳の売春婦「野川愛里」を絡め、格差社会の典型とも思われる家庭の学生と、底辺から自力で妹と必死に這い上がろうとする男「末男」たちが犯した事件の真相を「木部美智子」の目線で追い求めていきます。

「木部美智子」の記者魂が読み解く、周到な伏線の骨太な犯罪小説で、最後の事件の大どんでん返しの圧巻のラストは、一気読みさせられました。
#ブログ #文庫本 #読書

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