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神戸:ファルコンの散歩メモ

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『先生と僕』坂木司(双葉文庫)

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『先生と僕』坂木司(双葉文庫)
語り手の<僕>こと<伊東二葉>は大学一年生の18歳、一人暮らしの下宿生活でまだ都会に慣れていない小心者の好人物です。

人のいい性格を見透かされたように中学1年生の<瀬川隼人>に声を掛けられ、成績優秀な彼は家庭教師など不要にもかかわらず、心配性の母親を安心させるために<二葉>を家庭教師として引き込みます。

<二葉>は平凡な学生ですが、一度目にしたものを写真のごとく瞬時に記憶に焼き付ける能力があり、推理好きの<隼人>と二人で、日常の事件を解決してゆく5篇の短篇が連作で納められています。

年若い13歳の<隼人>が推理の「先生」役で、<僕>は記憶力で<隼人>の手伝いをしながら、歴史的な名推理小説を下地とした作品が楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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【ミッシング・ソング】ジョン・ル・カレ(光文社文庫)

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【ミッシング・ソング】ジョン・...
『寒い国から帰ってきたスパイ』でデビューしたのが1961年、はや作家歴50年ですが、スパイ小説の第一人者として人気は衰えません。

本書の主人公は<ブルノー・サルヴァドール>、白人宣教師とコンゴの娘との間に生まれた28歳、通称<サルヴォ>というスワヒリ語をはじめアフリカ諸国の通訳を専門にしており、彼の視点から物語が語られていきます。
イギリス政府の秘密会議の通訳者として<サルヴォ>は、国防省の<ミスター・アンダーソン>の命である孤島に出向きますが、そこでの会議はコンゴ民主共和国の平和を目指す会議でしたが、裏側はクーデターを起しコンゴの鉱山資源を手中に入れようとするシンジケートの陰謀が働いていました。

会議が終ると録音テープやメモ帳は破棄されるところ、<サルヴォ>は秘密裏に持ち帰り、政府筋の人物たちに陰謀を伝えますが誰も彼の話を信用しません。

アフリカの患者の通訳で知り会いになったコンゴ出身の看護師の<ハンナ>と恋仲になり、二人して陰謀を阻止しようとするのですが・・・。
東コンゴ情勢を背景に、サスペンスタッチの軽快な展開が繰り広げられる国際陰謀小説が楽しめた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ギフト』日明恩(双葉文庫)

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『ギフト』日明恩(双葉文庫)
ある事件がきっかけで刑事を辞職した<須賀原>は、レンタルビデオ店で働き、社会から身を隠すようにつつましい生活をしています。

<須賀原>はホラービデオのコーナーで、連日涙を流す少年<橋口明夫>を気にしていましたが、ある日横断歩道で<明夫>を見つけ赤信号に気づかずに渡りかけようとする彼の手を引き寄せた瞬間、交通事故にあった老婆の幽霊を見てしまいます。
<明夫>は子供の頃からこの世に留まっている幽霊を姿をみる能力があり、<明夫>は彼に触れているときにだけ幽霊を見ることができます。

本書には5篇の物語が納められており、自分が亡くなった交差点で孫と同じ年恰好の子供に注意し続ける老婆、人間に虐待されながらも人との生活が恋しい子犬、自ら7歳で死を選んだものの残された弟の将来に気をもんでいる少女、エゴイストで嘘つきの派遣社員の女性、そして<須賀原>自身の背負っている過去の事件等、<明夫>と二人でこの世に未練を残さないように問題を解決していきます。

どの物語も切なくて悲しい内容ですが、どの物語も、何らかの希望を感じさせてくれるほんのりとした余韻が心に残りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『腕貫探偵』西澤保彦(実業之日本社文庫)

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『腕貫探偵』西澤保彦(実業之日...
7話の短篇が収録されていますが、タイトル通り探偵役として登場するのは、「櫃洗(ひつあらい)市役所市民サービス課臨時出張所」と張り紙された場所に座る、両腕に黒い<腕貫>をした奇妙な男で、名前はありません。

大学内や病院、さびれた商店街の一角、警察署等、奇抜な場所に現れ、悩める市民たちの謎に助言を与え、時間がくれば「はい、次の方」と話しを途中で終わらせ、解決は相談者側にゆだねるという形で物語は進んでいきます。

みずから現場に出向くことなく、相談された内容だけで安楽椅子探偵よろしく謎を解明、ユーモアにあふれたミステリーが楽しめる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『名もなき毒』宮部みゆき(文春文庫)

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『名もなき毒』宮部みゆき(文春...
当初は新聞小説として発表された作品ですが、2007年第41回吉川英治文学賞を受賞しています。

主人公は 『誰か Somebody』 に登場した<杉村三郎>で、今多コンツェルンの会長の娘<菜穂子>との結婚の条件として小さな出版社から、今多グループの広報室勤務になり社内広報誌『あおぞら』の編集作業に携わっています。

冒頭の出だしは、67歳の<古屋明俊>が、コンビニで買ったウーロン茶のパックの中に青酸カリが入れられており、犬の散歩中に死亡する場面から物語が始まります。

広報室でアルバイトに雇った<原田いずみ>が原因のトラブルを主軸に、青酸カリの4件の連続殺人事件を織り込ませながら、<杉村>の人の好い性格を通して、人の心の陥穽の毒気を見事な構成で描き切った一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『八丁堀同心殺人事件』風野真知雄(文春文庫)

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『八丁堀同心殺人事件』風野真知...
サブタイトルに「耳袋秘話」と付く、殺人事件シリーズで、与力同心組屋敷がある八丁堀で、2人の同心が座頭らしき人物に切り殺されたところから物語は始まります。

南町奉行<根岸肥前守鎮衛>は、町奉行の威信にかかわる事件だと考え、側近の<坂巻弥三郎>と同心の<栗田次郎左衛門>の二人に命じて調査を始めますが、次々と同心殺しが行われ、<根岸>までもが狙われてしまいます。

本書は5章からなる連作短篇の形式をとり、それぞれの章で江戸市中で起こる事件を解決しながら、並行して同心殺しの真相に迫っていきます。

62歳の<根岸>ですが、5年ほど前に妻<おたか>を亡くし、いまは船宿「ちくりん」にて芸者<力丸>と楽しみながら事件を解いてゆく様は、興味の尽きない主人公として楽しめる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『鬼の跫音』道尾秀介(角川文庫)

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『鬼の跫音』道尾秀介(角川文庫...
6話の短篇集が納められていますが、普通は収録作品の中からタイトルが決められていると思いますが、これはそうではありません。

作品を純文学やミステリーなどに分けるのはあまり好きではありませんが、この6話の短篇は、ジャンル分けができない内容で、また分ける必要もないほど完成された構成でした。

どの短篇にも主人公に対抗するようにキーワードとして<S>なる人物が登場、語り手は「私」もしくは「僕」で、心の葛藤や動きが作品の面白さを高めています。

わたしの文章力では、この驚くべき展開の凄さを伝えるのは至難の業で、ぜひ手にして読んでいただきたい<道尾>ワールドです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『しあわせのパン』三島有紀子(ポプラ文庫)

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『しあわせのパン』三島有紀子(...
東京の生活から離れ北海道有珠駅の近い場所「月浦」に移り住み、小さなオーベルジュ形式の「カフェ・マーニ」を<りえ>と<水縞尚>の夫婦が営んでおり、そこに訪れるわけありの客との心温まる交流が、連作短篇で描かれています。

沖縄でお誕生日を祝ってもらう旅行をトタキャンされた<香織>は、急きょ旅行先を北海道に変え、「カフェ・マーニ」を訪れ、<水縞>夫婦や、地元の青年<トキオ>や<地獄耳の陽子>たちとの交流を通して徐々に心を癒されていきます。

母親が出ていってあとに残された小学校4年生の<未久>は、仮病で授業を休んだりしていますが、母の想い出の「かぼちゃのポタージュスープ」を<りえ>が作り、<尚>の焼きたてのパンで父親との食事を通して心を開いていきます。

阪神・淡路大震災で一人娘を失くした<阪本史生>は、50年連れ添った癌に侵された妻と「カフェ・マーニ」の近くにある湖で自殺を企てていましたが、パン嫌いの妻が<尚>のパンを食べ、「あしたも食べたい」との一言で未来に目を向けて廃業していた風呂屋を再開させます。

最後の章はなぜ<りえ>と<尚>が、東京から「月浦」に移り住むことになったのかの事情が<尚>の日記形式で綴られ、<りえ>が子供の頃から大事にしていた絵本『月とマーニ』に重ね合わせるように、二人の関係が明らかに語られていきます。

巻末には著者自身の『月とマーニ』の絵本が、<ふじしまたえ>の装画で付けられており、2冊分の価値がある初の小説です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『君の望む死に方』石持浅海(祥伝社文庫)

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『君の望む死に方』石持浅海(祥...
多くの推理小説は、作者の書かれた文章中の手掛かりを探りながら、犯人を推理してゆく形をとるのが、一般的だと思います。
今回取り上げた『君の望む死に方』は、倒叙型の推理小説で、「刑事コロンボ」のようにあらかじめ犯人が分かっていてストリーが展開していきます。

冒頭、主人公が死んでいる描写から始まります。

癌告知を受けて余命6カ月しかない社長が、あえて自分の会社の社員に、自分を殺させる企みを考えます。
その社員の父親は社長と二人で会社を興した仲間でしたが、社長自身が過ちで殺した秘密があり、息子にかたき討ちをさせてやろうという設定です。

読み方を変えれば、一種の企業小説的な内容でもありますが、最後はどう終わらせるのかを先読みしながら、最後まであきることなく読めました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『おいち 不思議がたり』あさのあつこ(PHP文芸文庫)

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『おいち 不思議がたり』あさの...
江戸深川の菖蒲長屋で、医者である父<藍野松庵>の仕事を手伝っている<おいち>は16歳です。

<おいち>が他の娘と違うことは、この世に思いを残して死んだ人の姿が見える能力を持っていることで、自分が従事している医療の世界にこの能力を生かされないかと考えています。

そんなある日伯母の<おうた>が持ち込んできた見合い相手の<鵜野屋直助>の背後に、苦しそうな顔をした若い女の姿を見てしまいます。

父の義妹にあたる<おうた>、「剃刀の仙」と呼ばれる切れ者の岡っ引き<仙五郎>等の脇役人も人情味あふれ、複雑に絡み合う事件の謎解きに癒される一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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