一昨年の11月にわがやのバックヤードに植えたさくらが今満開だ。このさくらはあけぼのと呼ばれるアメリカでそめいよしのから改良された品種で、そめいよしのほど大きくならないそうだ。
木はまだ頼りないくらい細いくせに花の密度が高く、たわわに咲いている。遠くから見ると八重ではないかと思うくらいだが、近づいて花を見るとまごうことなき一重の花だ。朝食をとるテーブルからもダイニングテーブルからもよく見える位置にあり、いつもわれわれの目を楽しませてくれる。
さくらは成長が早いと言う。フロントヤードのそめいよしのも植えた時はこの木と同じくらいの太さだった。このさくらも数年を経ずして見事な花を咲かせてくれることだろう。
数日前にわがやでささやかな宴を催した。少しでも大震災の復興を支援したいと思い、以前KUMAさんが提案していたように東北の酒によるもてなしをすることとした。ベルビューに新しく開店した宇和島屋で見かけた月の輪という岩手の酒を購入し、また以前から蓄えていた宮城の一の蔵を供した。
インターネットによればどちらの蔵元も今回の大震災で被害を受けた様子、アメリカで少しばかり消費しても大してお役には立たないが、これらの蔵元だけでなく東北地方全体の一日も早い復興を願いつつ、たけのこ、あさりの酒蒸し、それにその日にわがやのバックヤードで取れたわらびなどをつまみに旨い酒をいただいた。
ネコは体内にたまった毛を排泄するために時々草を食べるが、花里子は草に加えパンジーが好きだ。そのためわがやでは冬でも室内で鉢植えのパンジーを育て、切らしたことがない。しゃれたヨーロッパ系レストランではパンジーは食べられる花としてサラダに添えられる。
フロントデッキに落ちていたさくらの花びらを花里子が食べようとしていたので、洋子さんが満開のさくらの小枝を取ってきて見せると、花里子は花びらを1枚づつおいしそうに食べる。さくらの花はさくら湯にしたり塩漬けにしたりして食に供するが雅なものである。さくらの花が好きな花里子も意外と風流なネコ?
アメリカでのある実験データによれば、外気温が氷点下12℃の時、1枚ガラスの窓では室内側のガラス表面温度は氷点下9℃であり、たとえ室内温度を21℃になるよう暖房を設定してあっても16℃に設定してあるように体に感じられる。窓ガラスは部屋の冷熱源となり、特に露出した腕や足がひやっとして不快に感ずる。これは輻射伝熱現象により温かい皮膚表面から冷たいガラスに熱が移動するためである。輻射伝熱は通常のカーテンやブラインドでは防ぐことが出来ない。
このような部屋で暖房の熱源が窓から遠いところに設置されていると、暖められた空気が天井付近に上昇した後、冷たい窓ガラスで冷却され床に下降して足元が冷えるという、不快なコールドドラフト現象を引き起こす。暖房熱源を冷たい窓ガラスの下部に設置して冷気が床に流れないようにするのはコールドドラフト現象を防止する方法のひとつである。
先の実験データによれば単なるペアガラスの窓の場合、前例と同じ条件では室内側ガラス表面温度は7℃となって1枚ガラスよりかなり改善され、室内設定温度が21℃だと体感室内温度は19℃となる。しかしこの場合でも窓に近づくとひんやりして快適ではなく、また暖房器具の置き方によってはコールドドラフト現象が発生する。
高性能なローイー(低輻射性)アルゴンガス封入ペアガラスの場合、同じ条件では室内側ガラス表面温度は20℃となり、室内設定温度が21℃では体感室内温度は20℃となる。また窓に近づいても不快感はない。
外気温が氷点下12℃というのは北海道でもない限り少し極端な条件だが、窓の話-その9『結露』で述べたように外気温が0℃の場合、1枚ガラスの窓の室内側ガラス表面温度は5℃程度なのでこれでは快適な窓とは程遠い。快適性という点でも高性能なローイー・アルゴンガス封入ペアガラスを選択する意義はある。
夏の強い日差しについてはどうであろうか。1枚ガラスの窓では室内側ガラス表面温度は38℃に、また単なるペアガラスの窓では室内側ガラス表面温度は32℃に達するが、高性能なローイー(低輻射性)アルゴンガス封入ペアガラスでは28℃程度である。、夏の窓を通しての熱移動はほとんどが太陽からの輻射伝熱によるものであり、室内側ガラス表面温度が上昇することと共に射し込む輻射熱によっても不快に感じる。アメリカ空調技術者協会(American Society of Heating, Refrigerating & Air Conditioning Engineers, ASHRAE)では、その基準55にて新陳代謝率、着衣の断熱性、温度、輻射熱、空気の流速、湿度などを勘案した居住者が快適に感ずる夏の環境条件を規定しているが、この基準によれば室内の空調を25℃に設定していても1枚ガラスの窓の部屋では68%の人が不快に感じる。また遮熱性の高くない単なるペアガラスの窓の部屋では56%の人が不快に感じペアガラスは遮熱にはあまり貢献しない。
これに対し遮熱を目的とした高性能なローイーアルゴン封入ペアガラスの窓を取付けた部屋ではわずかに15%の人が不快に感じるだけである。ここに述べたように、エコと言うことだけではなく快適性を得るためにも高性能なローイーアルゴン封入ペアガラスの窓は重要な役割を担っている。
今年のシアトルの春は天候が不順だ。因みにこのあたりの今年の月間雨量は1月が110ミリ、2月が91ミリ、3月が176ミリで、過去30日のうち24日は計測される量の雨が降ったそうだ。これほど雨が多く日照時間が短いため、わがやのそめいよしのが満開になるのは予想より遅れるかもしれないと思っていた。
昨日はシアトルの少し北では雪が降り、このあたりでも晴れたり激しい雨が降ったり突風が吹いたり雷が鳴ったり雹が降ったりとにぎやかな一日だったが、連日日中の気温は10℃前後のためかわがやのそめいよしのは予想通り本日満開となった。
そめいよしのの花はこのあたりに多いチャイニーズチェリーの桃色よりも淡く、上品で華やいで見える。わがやの前の通りはやや急な坂になっているが、坂の上からでも美しい花が垣間見え、少しでも花に関心のある道行く人たちの注目を浴びていると思っている。
これから1週間ほどは美しいさくらを楽しめるだろう。
主催者専属のプロの写真家が撮影した3月20日のマーサーアイランド10キロランレースの写真が届いた。
いつもはゴール近くの苦しいくせに愛想笑いしている写真が多いのだが、今回は約20枚の私の写真の中からスタート直後のやる気満々の写真を選んだ。
もしも今年中に死んだらこれを葬式に使おう。
東京の気象台は28日、靖国神社にあるそめいよしのの標準木での開花を認め、開花宣言を行った。昨年より6日遅いそうだ。
マーサーアイランドの標準木である(?)わがやのそめいよしのも今日、5、6輪以上の開花を認め、当地でも28日を今年の開花日と宣言した。(誰も認めない?)ブログル記録によれば昨年は3月4日、2009年は4月5日だったが、昨年はクロッカスと一緒に咲き出したので如何にも早すぎ、クロッカスの季節が済んで乙女椿が見ごろな今の開花のほうがまともだろう。
これから約2週間、美しく華やいだ桜が楽しめる。穏やかな天気が続くことを念願している。
今日、マーサーアイランド10キロランレースを走ってきた。気温は4℃と低めだが、このレースには珍しく晴天で気持ちが良い。
朝8時30分にスタートし、2マイルポストまではきわめて快調で少し飛ばし過ぎ。2マイルポストを過ぎた最初の長い上り坂はさすがにきつい。
3マイルポストを過ぎたあたりで左膝に軽い痛みを感じ、気をつけないと完走出来ないかもしれない、という不安がよぎる。3.5マイル(5.6キロ)付近にある2番目の長い上り坂はきついが、いつも走っている時と同じようなものだ。
2番目の長い上り坂のピークに達すると暫くは下り坂となるが、最初は穏やかな下りで4マイルポストを通過する。洋子さんがここに来て応援してくれる。その後かなり急な下り坂が続くが、ここでスピードを上げると膝を痛めるので押さえ気味に走る。この坂を下りきった比較的平坦な道路を走った後は難関の3番目の長い上り坂になる。今日はこの上りがことのほかきつく、スピードはかなり落ちるが絶対に歩かないで走り続ける。
この上り坂を過ぎると5マイルポストを通過して下り坂、上り坂が繰り返される。これが既に8キロ走ったランナーには結構きつい。しかし残りが少ないので元気を振り絞って下りではスピードを上げる。
6マイルポストを過ぎたゴール直前の最後の上りには大勢の観衆がいる上、レース専属のカメラマンも待ち構えているので、無理してスピードを上げ、元気にフィニッシュする。
結果は1時間1分39秒、練習の時は1時間3分を切ることが出来なかったのでそれよりは少し早いが、やはり1時間を切ることが出来なかった。昨年は56分50秒だったのでかなり遅い。加齢による体力の衰えなのだろう。
今回の10キロレースには559名が参加し、平均タイムは1時間1分22秒、男子の1位は35分37秒、女子の1位は38分49秒。私は全体では325着、65-69歳のエージグループ(男)では1位、60-69歳のエージグループ(男)でも3位だった。ただ70歳で48分39秒でフィニッシュした人がおり、このタイムは驚異的だ。
昨日、定例の土曜ゴルフを欠席して孫息子の日本語補習校小学部卒業式に参列した。月曜から金曜までは地元の学校に通う子供たちは、日本では1週間で学ぶ科目を土曜日に学ぶ。そのため宿題も多く、金曜日はほとんどの家庭で宿題やテストの準備でおおわらわだ。加えて土曜日は地元の学校やスポーツクラブなどのイベントが多く、生徒たちはどちらを優先するか悩むことが少なくない。孫息子もリトルリーグのために途中で授業を抜け、試合終了後補習校に戻って授業を続けたこともある。
卒業式は日本のそれとほぼ同じ形式であり、卒業生はひとりづつ校長先生から卒業証書を受取るが、本年度は59名の生徒が卒業した。5年生代表の送辞、6年生代表の答辞も内容・読み方共に日本で行われるものと遜色がなく、6年間生徒たちも先生方も大変な努力をして勉強してきたことが伝わってくる。
この補習校は1971年に創設され、長男は小学校4年から高校3年まで、長女は幼稚園から高校3年までお世話になった。おかげで二人とも英語も日本語もほぼ完璧であり、在学中の彼らの苦労が報われている。
私も1980年代にこの補習校運営委員会の理事を2年務め、地元の学校の校舎借受け、教師の雇用などに及ばずながら尽力した。当時は留学生や駐在員の配偶者で教職資格があっても補習校で勤務するには米国移民局より特別な許可を取得する必要があり、運営委員会は苦労したものだ。この点では現在は以前に比べると楽になっているようで、限られた時間内に生徒たちを指導する優れた教師が多いと聞く。
将来の日本を担ってゆく日米二カ国の言葉と文化を学んだ補習校卒業生が頼もしく思えた卒業式であった。
今度の三陸沖を中心とした大地震は自然の驚異をまざまざと見せつけた。地震に耐えた家屋も津波にはあっけなく流され、鉄骨やコンクリート造りの建物も甚大な被害を受けた。いつものことではあるが、自然の猛威の前では人の力が及ばないことをつくづく思い知らされる。被災された方たちに深く同情すると共に、亡くなられた方々の冥福を祈るばかりである。
アメリカで見るテレビニュースでは津波に襲われ瓦礫の山と化した町や、避難所での不便な生活を伝えているが、救援物資を届けるために大勢の人たちが努力しているので、避難している人たちは希望を持ってもう少しだけがんばって欲しい。輸送ルートが復旧し、通信が回復すれば日本中の人たちが被災者を支援することを確信している。
福島第一原子力発電所の事故については、原子炉およびその周辺建屋がこのような甚大な地震に耐えたことは評価すべきだが、報道によれば海に隣接して設置されていた非常用電源設備が津波の被害で消失し、原子炉冷却および燃料棒貯蔵設備のための給水が不可能になって、現在、きわめて憂慮すべき状態になっているようだ。
元石油化学プラント設計の技術者として最初に思ったのは、なぜ非常用電源設備がもっとも津波の被害を受けやすい場所に設置されたのか?という疑問だ。バックアップ設備は一朝ことある時に稼動するものであり、あらゆる天変地異においてもっとも安全な場所に設置すべきものである。原子炉建屋よりも内陸側に設置されていれば今回の事故は防止出来たのではないだろうか。
また今日のニュースで東電が給水ポンプを復旧するために今日から発電所電源の回復を図る、と発表していたが、ヘリコプターで水をまくことを考えるより電源の回復の方がはるかに優先順位が高く、もっと早く計画されるべきではないだろうか。
現場の状況がわかっていないのにあえてコメントすれば、まもなく開始される予定の警視庁の機動隊による燃料棒貯蔵プールへの放水よりも、このプールへの通常の給水ラインに接続して給水した方が確実に思える。放射能レベルの高さによりこの給水ラインへの接続が困難、あるいは給水ラインのバルブが閉じていて給水不能な状態なのであろうか。
今回の原子力発電所事故により、世界中の多くの人々が原子力発電に否定的になることを憂える。確かに福島第一原子力発電所では甚大な事故となったが、隣接の東北電力女川原子力発電所は設計通りに停止している。十分な安全設計がなされた原子力発電所は今回のような大震災でも耐えられることを強調すべきである。環境に悪影響のある化石燃料消費を削減するためにも原子力発電、さらにはもんじゅのような増殖炉による発電は重要である。今回の事故を政治問題とせず、原子力発電が純粋に技術的に議論されることを望んでいる。
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